編集部に文体を全面的に修正された自分の原稿を、さらに著者校正をしているのだが、読んでいてだんだん腹が立ってきた。無味乾燥な文体になってしまっていて、読んでいてせっかくのワクワク感がまるでなくなっている、ヤレヤレ。たとえば野坂昭如の文章をこの人が校正したらどうなる? ゲラ刷りはおそらく面積比で85パーセントぐらい真っ赤になるだろう。
特に理科系の書物の文体軽視、しかつめらしい字面と、舗装道路のような平坦さ、といったものは、このへんで考え直した方がいいと思う。客観性というものが最重要視された時代は哲学的に言ってもすでに過ぎさったのだ。こういうことは理科系が一番乗り遅れる。
そんな意味で、本よりブログの方が面白い、というのはけっこういいところを突いている。ブログでは、筆者の精神が、書かれている主題に反応して楽しくて踊り出しているような、そんなリアルタイムな精神の躍動が伝わってくることがある。それを、文体、というのだ。文体とは作者の身体なのだ。