物質主義

天才科学者フォン・ノイマンは、僕らの世界を根本から変えたコンピュータの生みの親で、かつ、かの原爆開発と使用にも大きくかかわっていた人だが、「科学者として科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない」と言ったそうだ。彼からこういう発言が出て来るのがよく分かるな。

自分はここしばらく、科学を信じない、とか、物質主義の行き着く先はもう定まっていて、それは地獄への道だ、と時々書いたりして、物質科学的な発言にことごとく反対していたけど、やはり、僕の言うことは飛んでいて、中間の推論過程がなく、まるっきり空言や暴言に近い響きになってしまい、閉口する。

しかしこの地獄への道は、実はまんま、かのジョーダン・ピーターソンの思想のひとつなのよね。彼の主著Maps Of Meaningの序文が原爆開発を辿る話から始まっているのは、少しも偶然じゃない。

日本のいまの若い(自分より)知識人の中にも、物質信仰への危険を分かっているように見える人もいくらかいるので、あとは彼らに任せる。

オレは、真空管ギターアンプの本でも書いてるよ。あと、懸案だった「現代美術雑感」も近日、自家出版します。自家出版ってヘンだけど、Kindle Direct Publishingで出版が個人でタダでできるようになったので、自費出版じゃなくなったのよね。

フォン・ノイマンが創ったコンピュータもこういう風に使えるようになるので、科学は倫理と込みで世界を正しい方向へ向かわせる、という理想が生まれるんだろうな。これに反論するには大きな力が要る。科学の道にはその側道に大きな落とし穴が常に開いていて、それは人を物質へと引きずり込もうと待っている。

物質に引きずり込まれる心は分かる。それは不安からだ。不安だから確固とした存在である物質に頼ろうとするのだ。ところが物質は頼られると、さらに心に新しい不安を産み出す。そういう構造に最初からなっているのだ。そういうものを称して僕らは「物質」と言うのだ。

だから危険だ、と言っているのだけど、これじゃ通じないだろうな。だから最近は面倒なので、僕らには「南国」が必要だ、と言って済ましてる。

北国スウェーデンから帰還して、オレ、今度は南国へ行きたいな。もう専横的な北の思想にはうんざりした。

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