あのさ、今度こそ、ほんとにどうでもいいことだぜ
おう、なんだ
ずいぶん昔、たしか10年近く前のことだと思うんだけどさ、アメリカのスタンフォード大学からスコットっていうやつがしばらく職場に来てたんだよ。
スタンフォードって、すごい名門だな
うん、あいつ、ホントに頭がよくて、ルックスもいい、しかも性格もいい、いいやつだったな
で？
あるとき、職場の日本人の何人かとスコットで飲みにいったんだな。それで、あいつ日本語しゃべれないから、日本人はみんな得意でもない英語であれこれしゃべってたわけだ。
なるほど
オレの英会話レベルは微妙でね、難しいことでなければ何とかしゃべれる。それで、オレの英語の特殊性は、発音なんだよ。なにせずっと英語の歌ばかり歌っているせいで、オレの英語の発音は短い間であればけっこうネイティブ並みに聞こえるんだよ
わかる。外国人でときどき、いるね。日本語の発音がすごくよくて、あれ、この人ネイティブ？ って思ってしゃべってると、ところどころ発音が怪しいのがでてきて、ああ、外人か、って気づくやつ
そうそう、それ
で、どうしたの？
ごめん、ホント下らないんだけど、言っていい？
どうぞ、どうぞ
まあ、実はそんなにはっきりは覚えてないんだけどさ、そのみんなの英会話が少し途切れたときにさ、突然、何を思ったかオレが
PENIS ENLARGEMENT
ってね、カルフォルニア巻き舌を使って、完璧なネイティブ発音で、脈絡なく、でっかい声で発声したの。 ピーニス エンラージメント、ってね
なに？？
ま、そういうこと。で、それをいきなり完璧なネイティブ発音で聞かされたスコットの反応がさ、おもしろくてさ、一瞬、絶句してね、その後、なんだか二の句がつげなくなって、それで、なんか変な風にお茶を濁して終わらせたのがさ、おもしろくてなー
ホント下らない話だな、おまえ
うん、そりゃ、そうだよな。オレたちだってさ、外人といっしょにいて下手な日本語をしゃべってる最中に、その中のひとりがいきなり、完璧な日本語ネイティブ発音で
ペニス増大法
って言ったら、どう？
いや、そりゃね、笑うとか、なんとかより先に、絶句だな、たしかに
だろ？
それだけか、今日の話は
うん
下らないな
だから言ったじゃん
でも、ちょっと、ここでおまえに忠告を思いついたよ
なに？
オマエね、そういう、まあ、この場合ささやかだけど、たまには、いわゆる「奇行」をするような人間に、戻れよ、いいかげん
うん、むかしはできてたんだけどな
オレは戻って欲しいな
そうか
うん
でも、まあ、こういう日記に、友人限定とはいえ、こんな下らない話を書いてるってことが、ちょっと奇行してないか
ま、そうとも言う。でも、まだまだ全然だな
わかった、それをオレの当面の人生の目標にして、いいか
どうぞ、どうぞ、望むところだ
OK、じゃ、そういうことにしよう
がんばれよ！
新どうでもいいこと6