さて、と。あともう少しで誕生日だな

ああ、55になるな

ということで、歳もとるわけだし、なんかここでしゃべれよ

そうだなー。いつもは、こういうヒマなときに気晴らしにこの「どうでもいいこと」を書き飛ばしてたもんだけど、なかなかしゃべりにくくなったな

なんでだ

なんか、この前、昔話したじゃん。そしたら一部の人たちに、面白い! とか言われて、まんざらでもなかったんだけど、そうなっちゃうと、次に書くときもなにかしら面白く書かないといけないかなー、とか思っちゃってさ。書くのが気が重くなっちゃった

自意識過剰、っていうんだな、それは

分かっちゃいるけど、物書きのサガで

おまえ物書きだったっけ

専門じゃないけど、ときどき文章で金もらってりゃ、物書きと言っていいんじゃないのか

物書きで生計が立てられりゃよかったのにな、そうはいかなかったな。そうこうしてるうちに55歳、と。

ま、いいさ。元来、小説とかをがんがん書き飛ばすなんていう芸当はできなかったわけで、評論だってやりはするけど分量が少ない。物書きは無理なのは分かってたさ

で、55歳を迎えてなんかいうことはあるのか。あるから書き始めたんじゃないのか

いや、55になってもヒマだから、こうして書いてるんだろ

まあ、いい、とにかく、なんか抱負でも、希望でも、愚痴でもいいから、なんかしゃべれよ

そうだなー 愚痴ぐらいしかないな

じゃ、愚痴でもいいよ

しかもしゃべってもどうせ面白くないし、冗長で退屈だぜ

つまらないことを書くからこのコーナーは「どうでもいいこと」、なんだろ? いい加減、人の目を気にするのはやめろっての、55にもなって

はいはい。そうねー、さいきんの愚痴ねー。あ、そうだ、あれがあったな

あれって、あれか

そう、あれ

あれをここに書くか。まあ、いいかもしれないな。こんな、文章、よほどの物好きじゃないと読まないしな。始めろよ

うん。ミクシィなんだけど、さいきんはもうほとんどやらないんだが、この前、ふと何を思ったか、5年ぐらい昔によく読んだりしていたコミュニティに、久々にスレッドを立ててみたわけだ。自作オーディオアンプのコミュニティなんだけどさ

何のスレッド?

この前、スウェーデンでいい音で音楽が聞きたかったんで、自分で設計試作した真空管アンプの部品を日本からスウェーデンに持ち込んで、現地で組み立てて音を出したら、とてもきれいな音だったんで、それについて

あのフェンダーのギターアンプ用の出力トランスを使ったオーディオアンプね

うん。ギターアンプ用のトランスはオーディオでもけっこういい音がする、というネタを投稿して、なんとなくまったりと話ができるかな、とか思ってさ

そういやここ4、5年ぐらい、ミクシィが不調になってから、あの自作オーディオアンプのコミュニティでたまに上がって来る投稿も、なーんにも面白いところがなかったよな。なんか、読む意味もないぐらい話題性のない、まったくに無難でどうでもいいことを誰かが書いて、どうでもいいやつらがそれに、どうでもいい返信してる

だよな。でも、なんかその日は何となく活発だった昔を思い出して、スレッド立ててみたんだよ。そしたら、すぐに2つぐらい、比較的好意的なコメントがついた。面白そうですね、とか、なんとか

それで?

オレもそれに返信したりなんかして、しばらくは平和に対話してたんだが、突然、変なやつが入ってきた。その話なんだけどな、その愚痴ってのは。あ、いや、別に愚痴じゃないか。オレは結局、その一連の出来事でかなり腹を立てたんで、その腹いせで、ここに書いてるんだけどな。もっとも、腹いせはすでにミクシィのクローズドな日記で書いたし、カミさんにも、こんな奴がいてさー、とかしゃべったんだけどな

まだ、腹の虫が収まらない、と。おまえ、けっこう、根に持つタイプだな。55になっても直らんのか、それ

うん、今回ばかりは、なんでここまでオレは引きずってるんだろうと、不思議になり、少し考え込んだよ

で、結論は? なんで?

なんでだろうな。たぶん、プライドを傷つけられた、ってことだろうな。われながら、そういうのにオレはことのほか弱いみたいだ。

ま、いい、先回りしすぎ。その奴の言った内容を紹介しろよ

ちょっと、まて、いまミクシィ、アクセスしてもう一回見てみるよ。もう、一ヶ月ぐらい前のことだしな

それ読んで、せっかく一月で気分が収まったのに、またぞろ腹を立てて気にし始めたりしてな

あ、だめだ。そういやあのコミュニティ脱退したんだった。もう見れないや。もう一回入るのもいやだしな。でも、日記が残ってるから、そこから引用するか

それでいいよ

あれこれそいつと何回かコメント往復した後、あいつがこんな風に書きやがったんだよ。いわく、「私は、申し訳ありませんが、客観性を欠くあなたの持論には興味がありません。 で、あなたがお作りになったアンプ、トランス単体、そしてオーディオ用と言われるトランスの各データを客観的にお示しいただけませんかねえ。 予想と想像はお腹一杯なので。」

ありゃー、これは厳しいなー 極度の慇懃無礼ってやつだな。しかも、相手を馬鹿にしきっているし、第一、相手の言うことは一切聞かない、と宣言していながら、一方的に自分の要求を突きつけて回答を迫っている、って、こういうわけね

そう。馬鹿な奴だよな。口の利き方を知らないまま大人か、あるいはジジイになった輩だろうよ。顔が見てみたいよ、どうせロクな奴じゃないのは分かりきっているが

ま、こういう馬鹿は相手にしないのが一番だな

ああ、でもね、オレはこれを読んだとき、さすがに頭に血が上ってさ、そんなことも久しぶりだったんで、参ったよ

それにしても、なんでこんなことを言われたわけ? その内容は?

ああ、実はこいつが最初に言ったのは、「ギター用のトランスは音がいい、と感想を言う前に、その客観的データを示すべきだ」という内容だったわけだ。それで、オレは、それに、「それは確かにそうですね。しかし、客観データだけで図れない音のよさというものはあるはずで、それに自分は興味がある」と答えたのだ

つまりまっとうに答えたわけだな? そんな風にまっとうに答えずに、その場で逃げてしまうこともできただろ。なぜ、そうしなかった。いつものおまえならそうしてただろ

ああ、そうなんだよ。その時、自分はちょっと練習してみようかな、って思ったんだよ。ほら、オレってネットで論争って、できないじゃん。ちょっと反論されると、真っ向から戦わず、話をそらして終わらせちゃうだろ? さすがに、これからは、それじゃいけないかな、って思ってさ、俺も腹を立てずに、しっかりとネットで論戦をはる練習になるかな、って思ったんだよ

ふーん。で、それに、失敗したんだな?

ああ、ただ、相手が馬鹿すぎた、ってのもあるぜ。もうちょっとマシなやつだったら、いい練習になったかもしれない。いかんせん、あの口調がひどすぎてね、論戦もへったくれも、ないよ、あれじゃ

工学系のアホなやつか、食えないな

ああ。客観データがすべてだと思ってるらしいな。周波数特性がどうの何がどうのとごちゃごちゃ言ってたけど、やっぱりところどころ「理由はいいません。自分でお考えください」とかなんとか、偉そうな口をところどころきいててさ、やっぱり、オレはそれにいちいち反応して、いいところなかったよ

馬鹿だなー、そんなやつとかかわるからだよ

うん。客観データ、とてしょせんは、これまでの工学という学問の中で、先人たちが見出してきたもので、その知見は当然ながら、工学的な意味での保障しかしていない、ということがこの馬鹿には分からないどころか、想像もできないんだろうな

ま、そんなやつは、どこにでもいるさ

で、最後にそいつが言ったせりふがこれだ「あなたが「ギターアンプ用トランスを使ったアンプでも良い音になる」と仰っているのですから、それを電子工学的に証明してくださいと申し上げているに過ぎませんので」

「よい音になるか否か」ということを「工学的に証明」か。それは馬鹿げたことを言うねえ。期せずして「電子工学」という学問名を口にするとは、愚かだねえ。電子工学っていう学問は、「音がよい」といった価値の問題には、主観評価実験を主とする統計的な方法でしかアプローチしたことがない。その学問によって保障される「価値」は、もう現代ではとうの昔に疑問視され、それを価値一般とみなすことはできない、ということになったはずだろうが

ま、そういう高級なことはこいつには分からないよ。勉強不足というよりは、単純に頭が悪いんだろう。思い至らないんだろう、工学という学問の哲学的な位置づけなんて

そういう風に言ってやればよかったじゃないか

うん。でも、そこが分かれ目だったのよ。ここで、アカデミアで仕事してる自分としてまっとうに相手するか、逃げるか。どっちにしようか悩んじゃったわけ

で、逃げたわけね?

うん。最初は、きっちり自説を主張して、これ以上論争はしません、と一方的にこっちから打ち切るか、とか、なんか無難なことを言って逃げようかな、とか、相手を少しおだてて丁重に逃げようかな、とかいろいろ考えてたんだけどさ、この件、たまたま奥さんに話したらさ、「そんなの無視にきまってるじゃん」、て言うんだよ。でオレが「じゃあ、なんか一言書いてから無視するか」とか言ったら、彼女、「バッカねー そんなことしたらまたしつこく言ってくるよ。そのうちあんたの真空管の著書の書評とかにひどいこと書いたりするよ、そういうやつらって、そういうことするんだって。だから、完全に無視するの。返事しないの」って言うんだよ

彼女なら、そうするだろうよ。そういう性格だもん。でも、おまえは、それ、あんまりできないだろう

そうなんだよ。でも、その、書評で攻撃するかもしれない、とか聞いて、あ、そっかと思って、完全無視にすることにしたんだよ。先方のその最後のセリフに返信をせず、コミュニティも脱退して、まったく完全に切り離したよ。これもまた練習のひとつかもしれない

それでも、なかなかあきらめ切れなかったんだろう? 馬鹿だなー、ガラにもないことするからだよ。練習とか言っておまえ、二重に失敗してるじゃん

そうなんだよな。お前の言うように「腹の虫が収まらない」わけよ。もっとも、嫌な気分も半減期3日ぐらいで、急速に減衰して行ったけどな。しかし「半減期」ってのもうまい法則だよ、いつまでたっても決してゼロにはならない、と

それで、この、「どうでもいいこと」に書いてるんだな。でも、これ一般公開するんだろ? いいのか?

そうねー ほら、ミクシィってずいぶん前、足跡機能を廃止して、ものすごい不評をかって、ユーザーも離れ、閑散として元に戻らなくなり、ちょっと前に足跡復活したじゃん。で、いつもは見ない足跡を見てみたら、そいつがオレのページに2回アクセスしてんのね。

へえー、足跡を残すということは、本人、わりと順当におまえと議論してるつもりだったんじゃないのか? 最初から馬鹿にしよう、という気だったら、足跡残さないんじゃないか? だって、お前は、腹が立ったせいで、相手のページを踏まなかったろ

ああ、そうなんだけどな。ま、とにかく、オレのページのプロフィールには、この「どうでもいいこと」の載ってるホームページのアドレスや、FacebookやTwitterとかぜんぶ、実名で載ってるからな。あるいはこの文章を読むこともあるかもしれないな

いいの?

いいんじゃなーい? だってホントのことしか書いてないもん

でも、無視して終わらせたはずなのに、そうなってないじゃん

性格

ふむ。55になってもか

そう

しかし、どういうやつなんだろうな、そいつ。実生活では

知らなーい。意外とふつうな、腰の低い奴かもよ。だからネットで偉そうにしてんじゃない? 愚かだのう

さっき途中までしゃべった、「二流の工学屋は、工学という学問の哲学的意味について理解しないし、考えようとすらしない」、という命題について、ホントはもっと書くんじゃなかったのか?

めんどくさくなった

やっぱり物書きで生計立てるのは、無理だな、お前には

たしかに。それに、そんなこと書いても、だれもおカネくれないし

その考え方は、いけませんねー いつだったか、お前、「もう、有名になることはあきらめた。いかによいものを残せるかどうかに集中する」とか、いいこと言ってたじゃん

まーねー

だんだん会話がグダグダになってきたな

これでこそ、「どうでもいいこと」、さ。このスタイルを発明した30歳だったころのオレに見せてやりたいぜ

さてと、止めるか

うん、そろそろ眠くなってきたし。明日は朝の9時に学校行かないといけないだろう?

それにしても、せっかくのお誕生日で、55歳という、人によってはとても立派な人格者になってしかるべき年齢なのに、その記念の日になって最初に言ったのがこの内容か、先が思いやられるな

ま、いいじゃないか。ここ5年ぐらいかな、世の中のあらゆる価値がガラガラと崩壊し始めているように見えるんでね。人格が定まらないのは、自然の成り行きさ

達観するよりは、管を巻いていた方がまだいい、ということか

そう。オレはね、ドストエフスキーの「地下生活者の手記」で育った人間なのだ。だからじゃない?

なるほどね。でも、呪詛だったら、あそこまでくだくだくだくだ書かないと、ダメだぜ

おい、こら、いつになったら終わるんだ、これ。眠いっての

わかった、寝よう、10分で寝よう

じゃ、歯、磨いてくる

行ってらっしゃい



新どうでもいいこと22