居酒屋

居酒屋は食べて酒を飲む場所で、飲むことと食べることのウェイトがほぼ同じ場所と言ってもいいかもしれない。居酒屋の文化はかなり古くからあり、店舗のバリエーションも多い。食べ物については、チェーン店の居酒屋がしのぎを削っていることもあり、ほぼあらゆるものが提供されており、それらは本サイトの他の食とかぶるものも多い。

焼き鳥屋や串カツ屋などメインの料理をうたった居酒屋は別立てで扱っているので、ここではそれら特別な料理を除いた、いわゆる居酒屋に典型的な食べ物をピックアップして主に解説することにする。また、もちろん、提供される酒についても記しておく。

店舗

チェーン店の居酒屋がまだいまほど普及していなかったころの、典型的な居酒屋は、まず和風の定食屋に近いルックスであった。定食屋自体が酒類も提供しているので当然の成り行きなのだが、居酒屋の目的は酒を飲んで居座ることで、食事が目的の定食屋とは、その点、異なっている。

昔ながらの居酒屋の外観。赤ちょうちんが下がっている (*)

このように赤提灯が下がっているのもかつての居酒屋の特長の一つで、それゆえに居酒屋を「赤提灯」と称することもある。店内は、特に決まった形態はないが、椅子席とカウンターがあり、一人で入店してもカウンターで飲食できるようになっている。

居酒屋の店内  (*)

料理

それでは、大半の居酒屋で用意されている典型的でかつ特徴的な居酒屋の料理をいくつか写真で紹介しよう。まず、これは枝豆である。

枝豆 (*)

説明の必要はないだろうが、枝豆を茹でて塩をしたもので、手で皮をむいて食べる。最近ではヘルシー食として外国でもEdamameで通用したりする。

冷奴。豆腐に、ネギ、ショウガ、かつお節がトッピングしてある。醤油をかけて食べる (*)

冷奴は、豆腐をおおぶりの四角に切って皿に盛り、葱の小口切りとすりおろしたショウガ、かつお節などを乗せたものである。これに卓上の醤油をまわしかけて食べる。

ポテトサラダ。ニンジン、キュウリ、玉ねぎが入っている (*)

ポテトサラダは、じゃがいもを茹でて潰して、ゆで卵や少しのキュウリや玉ねぎ、ニンジンとともにマヨネーズなどであえたものである。

するめ。あたりめともいう。マヨネーズや醤油につけて食べる (*)

するめはあたりめとも称する。イカの丸干しを焼いて細く切ったもので、醤油やマヨネーズ、一味唐辛子をつけて食べる。ほかに似たものとして、エイのヒレを干したエイヒレもよく見かける。これら水気の無い酒の肴は「乾きもの」と称しており、これらのほか、ナッツ類やポテトチップスなどがある。

これはもろみ味噌と梅叩きの両方が乗ったものである (*)

もろきゅうは、きゅうりを生のまま切り、これにもろみ味噌を添えたもので、味噌をつけて食べる。梅干しとかつお節を叩いたものを添える「うめきゅう」も一般的である。

以上、昔からあるわりと単純な定番の料理を選んで載せた。居酒屋は元来、上述のような簡単な肴を出して酒を飲ませる場所であったが、それが現在に至るまでさまざまに発展し、およそあらゆる料理をそろえた飲食店になったものと思われる。以下に、現在の居酒屋によくある料理を種類別に分け、主なものを記しておく。

料理・おつまみ 枝豆、冷奴、もろきゅう、梅きゅう、塩辛、たこわさ、出汁巻き卵、揚げ出し豆腐、もずく酢、冷やしトマト(トマトを切って塩、マヨネーズで食べる)、じゃがバター、コーンバター、あたりめ(するめ)、エイヒレ、チーズなど
焼き鳥 別項に詳しいが、材料は、鳥もも、ねぎま、皮、砂肝、レバー、ナンコツ、つくね、など。甘辛い醤油タレか塩かを選んで注文する。
刺身 ところにもよるがすし屋と違って鮮度はイマイチで、種類は限られる。マグロ赤身、かんぱち、タイ、イカ、タコブツ(茹でたタコのぶつ切り)、甘えびなど
揚げ物 鶏もも肉、タコ、ナンコツなどの唐揚げ(材料に醤油などで下味をつけ片栗粉などをまぶして油で揚げる)、天ぷら、川エビ唐揚げ(小ぶりの殻付きエビを素揚げする)、チーズスティック揚げ(チーズを春巻きの皮で巻いて揚げる)、カレイの唐揚げ、さつま揚げ、コロッケ、カキフライ、フライドポテトなど
サラダ ポテトサラダ、大根サラダ、シーザーサラダ、野菜サラダなど
おでん 別項に詳しいが、大根、さつま揚げ、昆布、卵、はんぺん、こんにゃく、ちくわなど
煮込み もつ煮、土手焼き(牛のスジ肉を味噌やみりんで煮込んだもの)、肉じゃが、肉豆腐など
焼き魚 ホッケの姿干し、ししゃも、さんま、イカ焼きなど
 寄せ鍋、ちゃんこ鍋、モツ鍋など
漬物  ぬか漬け(キュウリ、ナスなど)、キムチ
外国料理  餃子、ピザ、ソーセージなど
食事  お茶漬け(梅、鮭)、おにぎり、焼きそばなど

居酒屋の元の姿は和風なので、日本の酒を出すのが基本だが、昔からビールは外せない。

生ビール (*)

これはジョッキに注いだ生ビールで、いまだに一番人気な酒であろう。居酒屋では単に「生」と称する。大きさにより、大ジョッキ、中ジョッキ、小ジョッキとあるが、明確な内容量の決まりがあるわけではなく、店によってまちまちである。ジョッキ生ビールではなくボトルで提供されるものは「瓶ビール」といって区別される。むかし、日本によく来ていた外タレ(外国人のミュージシャン)が居酒屋好きで、最初に覚えた日本語が「Toriaezu Biru」だったという楽しい話がある。

日本酒 (*)

日本酒は当然のように必須アイテムである。常温のまま出すのが「冷(ひや)」、温めて出すのが「燗(かん)」である。さまざまなブランドの日本酒をそろえている居酒屋も多い。

焼酎。写真はオンザロック (*)

焼酎は日本の蒸留酒だが、これも極めて種類が多く、原料で分類すると、芋、麦、米、などいろいろある。焼酎ブランドもローカルものも含めて星の数ほどあり、日本酒に劣らず多くの焼酎を用意している居酒屋も多い。飲み方は、ストレート、オンザロック、水割り、お湯割りなどさまざまである。

各種サワー。左から、ウーロンハイ、レモンサワー、アセロラサワー、グレープフルーツサワー、オレンジサワー (*)

サワーは、ジョッキに氷を入れ、ここに焼酎を炭酸飲料で割って注いだものである。昔からあるのがレモンサワーで、レモン味のサイダーのようなものを使ったものである。アルコール度数はビールとほぼ同じで、かつてのビールがだいぶこのサワーに取って代わられたという経緯がある。

白ホッピーと黒ホッピーとあり、焼酎はくせのない甲類を使う。焼酎を「なか」と称し、焼酎だけのおかわり可 (*)

ホッピーと呼ばれるアルコールフリーのビールテイストの炭酸飲料で焼酎を割ったものである。ホッピーは元来は貧乏人のためのビールの代替飲料で、安いがゆえに飲まれていたものだが、2000年を過ぎたころから路線変更し、それが当たり、いまではかなりの居酒屋でこれを置いている。

ハイボール (*)

居酒屋でもウィスキーなどの洋酒を置いている店もあるが、無いことも多い。一方、このハイボールはジョッキに氷を入れ、そこにウィスキーを炭酸で割って注いだものだが、さいきん居酒屋では定番になっている。いわば上述ホッピーの、洋酒版ともいえるだろう。

以下に、居酒屋で出される酒類を表にまとめておく。

ビール 生ビール、瓶ビール、発泡酒、ノンアルコールビール
日本酒 各種あり。冷または燗で飲む
焼酎 芋、麦、米、黒糖、蕎麦、泡盛(沖縄の焼酎で、原料は米)など。ストレート、オンザロック、水割り、お湯割りなどで飲む
サワー レモンサワー、ウーロンハイ、グレープフルーツサワー、緑茶サワー、梅サワーなど。酎ハイとも呼びサワーとの違いは定かではない
ホッピー 白ホッピー、黒ホッピーを主に甲類焼酎で割り、氷を入れたもの。焼酎だけのおかわりができ「なか」という
洋酒 ウィスキー、ハイボール、ワインなど
その他 梅酒、カクテル(カシスオレンジ、レッドアイなど)
ソフトドリンク ウーロン茶(ジョッキに氷で出される)、コーラ、オレンジジュースなど

(*) 画像はGoogleサーチで持ってきた無断転載である。写真撮影次第差し替え予定。