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毛虱をうつされた男

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男がちんぽこをびよーんと伸ばしてカミソリで陰毛を剃っている。後ろの女はやけに嬉しそうにしている。

詞書には

「陰毛に虫のいる女がいる。これを毛虱といい、男がこれに触れると、必ずうつる。一晩のうちに物凄い数に増え、髭とか、眉毛とか、まつげにまで上ってくる。その痒さは耐え難く、虱を取ろうとしても、肌に食い入っていて取れるものではなく、カミソリで毛を剃ってしまえば助かるという」

とある。うしろで嬉しそうな顔をしている女は、文面から言って、どう考えても、陰毛に虱のいる女であろう。

男は昨晩、この女と交わり、みごとに毛虱をうつされ、一晩たって起きてみると、さあ、そこらじゅうが痒くてたまらない、ということになったのであろう。

特に、オリジナル画に描かれた女はもう、むちゃくちゃ笑顔で、人にうつしておいて太い女である。

女の右手の指の形を見ると、どうやら、男の後ろに回って、頭の毛の根もとに食い込んでいる虱をつまんで、それを左手で受けているように見える。

「まあ、あんた、虱、こんなとこにもいるわよ! 髪の毛も剃っちゃいなさいよ、おほほほほ」

みたいな感じなのであろうか。それにしても毛虱持ちの女の方は、自分は痒くないのであろうか。なんかの耐性があるのか、毛虱と持ちつ持たれつで共生しているのか、よく分からない。

この時代、蚤、虱、ダニ、蚊のたぐいは今と比較にならない量だっただろうし、それを原因とする皮膚病は、ほとんど蔓延に近い状態だったのかもしれない。どこかで見たが、これぐらい古くの日本では、みなだいぶ早死にだったそうだが、その死因は、結核、脚気、皮膚病、と、三位に皮膚病が来るほどだったらしい。

現代日本など、逆に衛生が行き過ぎて、汚いものにじかに触れることがなく、かえってアレルギー症が増えたと言われるほど、クリーンになってしまった。

昔は、過酷である。でも、女は楽しそうで、なんだかこの絵、見てると癒されてしまう。