カントの純粋理性批判の文庫を買って読んだことがあるんだけど、最初の1ページからほとんど分からず、3ページぐらいで挫折した。そのときは、哲学って、本当にむずかしいもんだな、と思ったものだ。しかし、最近になって改めて哲学の解説書のようなものをいろいろ読んでみると、哲学は、実は、思ったより理解できるものだということが分かった。どうやら、日本語で読む哲学って、あの独特の漢語を組み合わせた用語のせいで理解できないことも多いようだ。
というわけで、最近、弁証法の入門書を読んでいるのだが、その中にカントの哲学の骨子を説明している部分があって、ほんの5、6ページなんだけどちゃんと理解できた。そっか、そういうことを言っていたんだ、って感じ。僕が読んだカントについてまとめると、以下の通り。
人間が論理的にいくら考えても、絶対に解明できない世界が常に彼方に残る。なぜかというと、彼方の世界を実際に論理的に解明しようとすると必ず矛盾した結論が引き出されるから。結局、宇宙は、人間が分かる現象界と、人間が分からない英知界に分けられている。ところで、「英知界は人間には分からない」、と言いながら、じゃあ、なんで「英知界がある」なんて言えるんだ、と言いたくなるが、これこそが、人間には論理を超えるものを理解する能力があることの証なのである。
かくのごとく、「論理」じゃなくて「言葉」を使うと、いろんなことが言えて、いろんなことを理解できる。いや、「いろんな」どころか「あらゆる」ことが展開できる。そんなわけで「言葉」というのは極めてヘンな存在である。そして、カント以降、「言葉」へ関心が移ってゆくのである。