丸揚げとは普通の精進揚げと違って 少し塩で味をつけるもので この丸揚げを卸売りする問屋があれば また売り子もたくさんいて、女でも男でも みな売り方が異なっていた。 「蓮にゴボウ、日光日光唐辛子」 など、面白い節をつけて呼び歩く者もあった。
しじみ売りは、年少の者に限るようである。 しじみの本場というのは、清蔵しじみである。 平しじみ、神田川しじみをもって美味であるとした。 また、しじみ売りの商いは、行徳、堀江、猫実などから あさり、はまぐり、かき、しじみのたぐいを 積んで来る問屋船があり、この船から 直接、卸売りして、これをもって 町中を売り歩くものである。 「あさりからあさり オイ しじみ オイ おばさん、しじみを買ってくれねえか」
江戸のゴミ掃除は、ごみ掃除業の お株で、各町の差支配人に特約して市中のゴミを 掃除するものである。また、このゴミは下総の国 登戸毛美川、馬加あたりから五大力と呼ばれる船 が江戸へ薪やそのほかの物を積んで来て その船が帰るときにそこにゴミを積むのを生業とする。 このゴミは海岸に積んでおいて。あとで さつまいもの肥料に利用するという。
「まつや、まつや、まつや かざり松や、かざり松や」 毎年正月の飾り松は、江戸の市中のいろんなところに松市として12月25日ごろから 店を出すのが習わしである。また、この飾り松は一本二本、切留や鎌苅などの鹿島松 と呼ばれる上等のものがあるのだが、江戸に出てくる松は、下総常陸から出るものが多い。 また、松売りというのは、市で卸売りをしてこれを背負い、 「まつや、まつや、まつや」 と呼んで、街中を売り歩く者である。
この餌掘りは、釣り人に必要な物なので 常に、ミミズを掘って生活をする者が数多くいる。 また、ゴカイ餌と称して、川べりや 水気のあるところにいる虫のたぐいを 釣る魚の種類によって用いるものと言われている。