世渡風俗図会

はじめに

この世渡風俗図会は、江戸時代から明治時代にかけて巷にあったさまざまな職業を、絵付きで紹介しているもので、清水晴風という、明治時代の郷土玩具研究家の筆によるものである。僕はこれを、たまたま大江希望氏のホームページで知り、おもしろい資料もあるものだなあ、としばらく眺めていた。底本は、清水晴風が描いた絵と文の古い文書なのだが、そこでの文はくずし字による筆文字で、今の我々にはほとんど読めない。大江氏のページでは、この清水清風の達筆を解読し、現代文字に直して紹介されており、さらにそれぞれの職業につき、解説もついていて、とても面白い。

ただ、清水清風の文は、やはりそれでも明治時代に書かれた文なので、古文とまでは行かないが、現代人のわれわれにはだいぶ読みにくく、すぐに頭に入って来ない。そこで、この文をさらに完全な現代語に翻訳して、それで絵と一緒に紹介したら楽しそうだと思い、テストページを作って友人に見せたら、みな、すごく面白い、との反応であった。そこで、この際、と思い、大江氏に直接連絡を取って許可をお願いしたところ、快く許して頂いたので、ここに公開するものである。

というわけで、僕のサイトの底本は大江希望氏のサイトであり、大江氏の底本は清水清風の原本である。大江氏のサイトは僕のサイトと異なり、清水清風の描いた絵と文をそのまま載せ、また、いろいろ興味深い解説や、詳細な研究成果も付いている。また、当の作者と原本についても由来、成立そのほかが詳しく書かれているので、ぜひ、僕のサイトを入り口にして、そちらの方も見てみていただきたい。以下である。

http://dabohazj.web.fc2.com/kibo/note/YW-d/mokuji.htm

この世渡風俗図会は全8巻の膨大なもので、およそ580の絵図が載っている。僕のWeb公開は、一気に全部ではなく、少しずつやって行こうと思う。まず初回は、第一巻を飛ばして第二巻から始めることにした。二巻目の方が文が多く載っていて楽しく読めるためで、理由はそれだけである。


2018年 5月 林 正樹
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