掘り返され、耕された土くれは、これから育ち、実り、収穫される、数々のタブローを生み出す彼のパレットの上に絞り出された絵の具のように、黄色からすみれ色、土色から緋色に至るごったがえった色彩のぬかるみである。ミレーからデッサンを取った種蒔く人は、今しも水平線から姿を現したクロームイエローの朝の太陽の光を受けて、色彩にまみれながら着実に自身の仕事を続けている。この、彼のあり余る理念をそのまま絵にしたような色彩のぬかるみから一体何が実るのか僕達は知っている。やがてあらわれる数々のタブロー  アルルの爆発する色彩の幕開けだ。

 


ノート

種まく人 1888年 アルル クレラーミュラー美術館

画面右の種をまく人は、ミレーのデッサンから取ったもの。