日の当たる田舎道の風景が描かれる。からからに乾いた土塀の向こうにしゃれた屋敷と藁葺きの家屋が隣り合っている。成長する塊のように描かれた緑の木々と、銀白色の空がある。屋敷に塗られた白と鮮やかな青は、思いもかけず現われた清流のように爽やかで、彼がオーヴェールの風景の中に見付けて喜んだ藁葺きの屋根は、すみれ色や濃いグリーンやイエローオーカーが混じり、まるで色の花束である。ここには溢れるような光と、濁りのない色彩以外の何ら余計なニュアンスもない。そして同じ色彩で、丘の前にうずくまる藁葺きの家屋が描かれる、斜面に広がるぶどう畑と遠くの家屋が描かれる、そして遠くに屋敷を望む若い麦畑が描かれる。どの光景も使われている色彩は同じで、一種恍惚とした光が画面いっぱいに広がっている。

 


ノート

オーヴェールの家々 1890年 オーヴェール トレド美術館