6BM8超三極管接続ステレオアンプ

 

電子工作を始めるきっかけになった真空管アンプである。今でも我が家の現用アンプとして使っている。きっかけから、製作、そしてその後オーディオに凝りだした様子など、真空管アンプ製作エッセイに書いてみた。

さて、このアンプのその後であるが、LチャネルとRチャネルの電源の取り出しを別々に分ける改造を行った。デカップリングを共通にすることによる低域でのクロストーク劣化を防ぐためである。100Ωで分岐し、それぞれ47μFのデカップリングを入れた。ちょっと聞いた限りの違いは分からなかったが、良くなっていることは間違いないであろう。きっと、何というか、ボディブロウのようにきいてくるのであろう。それから、真空管に次いでもっとも過熱するカソードバイアス抵抗にバイパス用ケミコンが接近しすぎており、うまくないことに気づき、ケミコンを取り替えて、リード線を長くとり、抵抗からかなり離した。また、シャーシーにいくつか穴を開け、放熱を良くするよう配慮した。これらは、最初にこのアンプを作ったときは何も知らなかったことである。当時追加したケミコンをエポキシでシャーシーに接着してしまったのも失策であった。遠い先、ケミコンがいかれたとき撤去できなくなる。

アースの引き回し、配線なども、新しい知識に基づいてチェックしたが、ほとんど正しく配線されており、部品配置などもなかなかうまくなされている。これは完全にまぐれで、運がいいとしか言いようがない。当時は「見た感じにバランスよく部品が配置されていればよい」という教訓にしたがって製作したのである。ほとんど初めて作ったアンプが、特に目立ったトラブルなしに実用品質にできあがったのも、この運の良さゆえである。

プリアンプの製作にともない、プリアンプ供給用の電源コネクタを取り付け、LEDをプリアンプに合わせて青色に変えて、これを書いている今も、Bud Powellの、ほとんど鬼気迫ると形容したくなるピアノがこのアンプから聞こえている。