インターネットラジオの出力をFM送信機で家庭内に放送


遠い外国の音楽などを聞き流したいとき、インターネットラジオはとてもいい。音質的にもまさにAMラジオといった感じで、BGMとして流しておくにはぴったりである。インターネットラジオが、むかしの短波ラジオのように、でっかいダイアルでチューニングできるといいなあ、と思ったことがある。新しい放送局が見つかると、国名とコールサインを書き込んでおく、そんなことがインターネットラジオでもできると楽しいではないか。しかしあの楽しさは、周波数、というひとつのアナログ量を変えて探ってゆくところにある気がする。URLでは味気ない。そこで、なんらかの規則を使って、URLを周波数にマッピングして、ダイヤルで選局する。

NTTの人にこのことを話したら、なんとその人の研究室で、もうこのダイヤル式インターネットラジオを作ったと言うのだ。しかし商品化はまだだ、という。そうか、もうあったか。その後、誰かに聞いたのだが、どこかで商品化されたそうだが売れなかったそうである。たしかに、専用のLANケーブルを差し込まないと鳴らない、というのも問題だ。ADSLがやっとの現在ではこれはきついだろう。それにラジオはどこでも持って行ける手軽さがいいのだ。キッチンや風呂場で聞くのにLANケーブルはないだろう。

そこで一計を案じたのが、このインターネットアナログラジオである。何のことはない、PCでインターネットラジオを受けっぱなしにしておき、その音声出力をFMトランスミッターに入れて、微弱電波で家庭内放送をするのである。これなら、家の中のどこだってFMラジオがあればインターネットラジオが聴ける。風呂場だって、トイレだってOKである。このアイデアをうちの彼女に話したら、まるで無反応で、あっそう、アートとしては面白いんじゃな〜い、と取り合わない。

そこで、さっそく決行である。秋葉原でFM送信機のキットを探して購入。せっかくなのでステレオのものを選び、2500円だった。そしてACアダプターを合わせて購入。PCは、むかし中古屋で1万円ちょっとで買って即お蔵入りになったThinkPadを使うことにする。うちはすでにHubはあるので、短いLANケーブルを買った。

さて、ある日の夜遅く、キットを組み立て、電源を入れチェックしてそれなりに送信できることを確認。Hubのある部屋の隅にPCを床置きしてLANを接続、彼女がよく聞いている南米のインターネットラジオ「batanga.com」に接続。ちなみに彼女は隣のリビングのソファーでうたた寝している。リビングのオーディオセットにトランスミッターにチューニングずみのポータブルラジオをつなぎ、ボリュームを上げておき、さて、別室の我が家のインターネットアナログ放送局の入力にPCの出力を突っ込んだ。とたんに隣のリビングで鳴り響くスペイン語、彼女はとたんに飛び起きて、なに?!何なの?!と驚いている。これはなかなか痛快であった。

さて、このシンプルなアイデアはけっこう良い。ワイヤレスで、ただのラジオで、インターネットラジオが聴ける、というのは実に手軽である。もっとも、今現在いろいろ問題があり、まずは、購入した安い簡易FMトランスミッターは電波の質があまり良くないのか、ステレオでは安定して受信できず、モノラルでやっと、それもけっこうセンシティブで、時間帯で受信状況が変わったりする。やはり、高い、もっとしっかりした送信機が必要のようである。あと、うちはケーブルテレビの常時接続インターネットなのだが、どうもPCが悪いのかReal Playerが悪いのかなんなのか、長時間放置するとコネクションがいつのまにか切れている。

まあ、これら技術的問題はあるのものの、基本コンセプトはOKである。特許を書くべきかな(ホームページで公開したらダメか)、それともNTTの彼に話したら、これももうやってるよ、と言われるだろうか