いまのところ三冊ほど料理本を出版している。アマゾンの個人電子出版である。本当はどっか出版社が出してくれると嬉しいのだけど、そうも行かない。というわけでここに紹介する。

現在企画中の次の本は「孤独の中華」。一人暮らしの人に向けた中華本である。テフロンのふつうのフライパンで作る中華で、一口コンロでも、IHでもOK。一人暮らしに慣れない人のために、食のライフハック的な情報も載せて、気ままに書こうと思う。

中国家庭料理入門

この本はもう30年以上むかしにさかのぼる。僕が三十代のときに書いた本だ。中華料理を大学時代から始めて十五年ほどたって書いている。師匠がいなかったので正味それだけの修行期間がかかってしまった。その時点の自分の集大成がこの本。当時はけっこう硬派だったので、この本もほとんど「技術書」として書かれている。うたい文句は以下である。

「中国料理を家庭のキッチンで作ることを前提として、プロの調理法を見直し、そのポイントについて詳しく解説してあります。世に氾濫しているレシピブックとはひと味違う、家庭料理の技術書です」

最初にこれを出した当時は、エキスパンドブックという電子ブックの形式での出版だった。サイバーブックセンターに委託販売をして、ひところはちょっとばかり売れ筋だったこともあったが、もう、サイバーブックセンター自体がない。思えば先進的だった。悲しいことにいまじゃアマゾンに駆逐されてしまい、僕も結局アマゾンから出している。なんだか自国モノのネットサービスって定着しないね。



むちゃくちゃうまい 町中華を作ろう

僕がずっと追及して来たのは基本、高級中国料理だった。それなりにプロのように作れるようにもなった。そこで、今度はなんだか町中華という大衆文化にとても惹かれるようになり、そこで企画したのがこの本だ。

これを書いたのは今から五年以上前、実はそのころの僕はまだその大衆文化度がハンパで、この本も高級中華と町中華の折衷のような本になってしまっている。最近、町中華に純粋な興味を持ち始め、町中華に通って作り方を観察し、この、ほとんどドキュメント化されていない世界を残したい、という気になっている。そのうち書くかも。いまは調査中。

ところで、この表紙はやけにごたごただが、友人にこうしないと売れないよ、って言われ、やっつけでこうしてみた。デザインセンスがダメダメだが、このごちゃごちゃ感というかドン・キホーテ感が大事みたいで、たしかにいつもより少しだけ売上が上がった。おもしろいもんだ。



僕はなぜ中華料理が作れるようになったか

ホームページに自分の中華修行の様子を気ままに書いてたらまとまった分量になったので本にした。内容はだからけっこう硬派である。というのは僕の興味はひたすら高級中国料理だったのである。最初に中華を始めたときの参考書が、陳建民の「中国料理技術入門」という完全なるプロ向けの本だったから、というのもあっただろう。

それにしても、その当時の自分は、本当になぜ中国料理店ではあのものすごい美味しい味で出来るのか、不思議で仕方なかった。プロ向けの本も買いまくって、いまでもなんだかんだで五十冊近く料理本を持っている。

もちろん、完全に分かったわけではないが、だいたいのところは分かった、と言っていい。同時に、家のキッチンではどうあっても不可能、という限界もわりとはっきり分かった。いちばん大きいのは皆が言うように火力なのだが、火力があればいいってもんじゃない。その火力を自在に扱う料理人、そして厨房あってのことで、中国料理はあの猛烈な火力が厨房の空気を丸ごと変えるのだ、ということが分かって来た。

しかしこうなっちゃうとなんだか哲学的になっちゃってうまくないよね。僕も最近は、もっと大衆文化に目を向けるようになった。日本なら町中華に、そして中国の広大な田舎料理文化に。興味は尽きないね。