どんなことでもできる代物ほどかっこわるいものはないよ コンピュータの見てくれが悪い訳


どんなことでもできる代物などというものが現れたのはつい最近のことで、そもそもがそんなものは、まず無かったし、本当は誰も必要としていなかったのではなかったか。パソコンが今のようになると皆があまり考えていなかった頃、未来を象徴する代物は「どんなことでもできるロボット」だったような気がする。ところが、こちらの方は予想を見事に外れて、今に至ってもたかだか二足歩行しただけで驚嘆しているレベルである。代わりをとったのがコンピュータ、というわけである。それにしても、どんなことでもできる代物の最たるものは「人間」だろうね。人間もコンピュータも、機能と、それを実現するのに必要な形態が、正しく一対一対応しないせいで、機能から生まれた形態美というものに欠けるんだね。ただし、人間は、もともとはずっとプリミティブな生物から進化したので、その昔の形態美を今でも保っている。あらゆる地上の生物が持っている最も原始的な事柄は、戦いと、生殖、であろう。今でも人間は、このふたつの機能を最大限に発揮するための形態美というものを持っている、そして、洋服に身を包んで、現代的なクリーンな生活をしている現代人の我々だって、この特別な形態美にはとりわけ敏感ではないか。その点、コンピュータにはそれがないんだね、それで、結局、決定的にかっこわるいというわけ。