真夏の夜の夢
(イジー・トルンカ)
ストップモーションによる長編の人形劇である。たしかにストップモーションはそれだけで動きがとても面白い。人形、セット、構図、など実に美しいし、けっこう楽しんで見た。しかし、見ながらかなり頻繁に思うのが「あれ? この人なんでいきなり走ってるんだ?」とか「なんでくるくる回ってんのかな」とか、つまり、映画の筋書きに対する、たぶん装飾的な動きに相当する部分がよく分からないのである。そんな部分ではだいたい、バックでは軽快なピッコロかなんかの音楽が鳴っていて、まあ、走るは、回るは、こけるは、跳ねるは、と実に忙しい。そういえば、この人形劇、セリフもたまーに入るものの、ほとんど全編音楽が流れていて、それに合わせて進行している。思うのだが、この音楽と、人形の動きの、装飾的な、一緒に陶然とするような、ロマンチックな感情で映画の中で展開されている世界と一体になるような、そんな感じを持てなくちゃ、映画を本当に楽しんだとは言えないんだろうな。まだまだ修行が必要である。