プラン 9 フロム アウタースペース
(エド・ウッド)

1950年後半のれっきとしたハリウッド製のSF映画であるが、こちらは、史上最低の映画、というキャッチフレーズ付きのしろものである。監督のエド・ウッドは、作る映画作る映画ことごとく駄作で興行成績などゼロに等しいが、映画を作るのが好きで好きでしょうがない、という人だったそうである。その作品のあまりのひどさのせいで後年かえって有名になり、今ではかなりの人気があるらしい。さて、見てみよう・・うーん、たしかにこれはひどい、資料映像の乱用、脈絡のないカットチェンジ、昼夜の逆転、ヘタな俳優、ちゃちなセット、とあらを探したらまったくきりがないできばえである。実は、この映画、「メメント」という最新のサスペンス映画を見た後に見たのであるが、メメントが映画学校主席の作品だとすると、このアウタースペースは落第生の作品という感じで、その落差はまったく凄い。あまりに凄くて、書くことがいくらでもあるのだが、この辺で切り上げて、他のエド・ウッド作品の感想文で続きは話すとしよう。最後に、この映画の圧巻シーンを紹介したい。それは、三騎のUFOに地球軍が攻撃するシーンである。手描きの空の上に糸でつり下げたタイヤホイールがゆらゆらしている、これ以上ショボイUFOはあり得ない、という映像。それと、ホンモノの戦争の資料映像そのままの高架砲を発射しているド迫力映像。それから白バックの前ですました顔をして双眼鏡をのぞく大佐のバストショット。この3つがひたすら単に交互にカットチェンジしてるだけ。いやー、もうこうなるとシュールとしか言いようがない。かのアンディ・ウォーホールがエド・ウッドに目を付けたらしいが、納得である。