(阪本順治)

なんといってもこの映画、主人公の不細工な姉を演ずるところの藤山直美が圧巻だねえ、ホントに、顔も体型も藤山寛美そっくりでびっくり、で、また、あまりに役柄そのものでびっくり。ブスで引きこもりな自分とまったく逆の、容姿がきれいで派手で意地悪な妹を殺し、あとはひたすら逃避行である。神戸からはじまって、果てはえらくマイナーな島へと、ヤバクなっては逃げ続け、もう、ブスも、卑屈も、引きこもりもへったくれもない、って感じで、不器用そのものの格好で世間の裏街道まっしぐら。それにしても、ラブホとか、田舎スナックとか、島のばあさんの家とか、次から次へと日本の、目立たないどこでもにでもある生活と風景が出てくるけど、ホント、日本人そのものだねえ、特に田舎スナックでカラオケやってるシーンなんか、もしオレが長い外国暮らしでもしてて、これ見たら、郷愁のあまり涙するだろうなあ。