ブルースのスケールについて

ブルースでアドリブをやるとき、使える音を知っていると便利である。いわゆるブルーノートと呼ばれる音階は基本的には次の5音である。ここではキーEで書いてある。

最後の1弦開放は4弦2フレットのオクターブ上なのでこれで5音という訳である。Eのブルースでとりあえずこの5音から選択して弾いていればコードから外れることはない。もっともこの音階は他の国の民族音楽でも使われているので、いきなりアラブっぽくなったり、中国ぽくなったりするかもしれない。この5音だけでソロを作るとかなり味気ないソロになるが、実際、ブルースの歌の方ではこの5音だけで十分かっこいい歌が作れる。やはり人間の声というのは優れた楽器なのであろう(もっとも、アルバート・キングのようにチョーキングとピッキングのニュアンスだけでブルーノート一発OKという人もいる)。また、ブルースの場合、3度の音(ここでは3弦の開放の音)を1/4音程度上げて使うことが多い。この3度の音はメジャーかマイナーかを決める音で、これをその中間に持ってくることで、どっちだか分からない雰囲気にする。ギターの場合、弦を少しチョーキングするなどしてこの音を出す。

さて、上のブルノートはかなりマイナーな響きのある音階だが、次のメジャーのペンタトニックも使える。こちらはいきなり明るい響きで、これもEのブルースで弾いていて外れはしない。ただカントリーウェスタンぽくなってしまうかもしれない。

そこでこのふたつのスケールを一緒にして次のスケールができる。ここで、3弦3フレットの音をひとつ加えている。これは5度をフラットした音で、5度の音の代わりに使うといきなりクールな殺し屋っぽい、ジャズ風の響きになる。

普通ブルーノートというとこのスケールを指すことが多い。もっとも、ここまで来るとオクターブ12音の中で使わない音はたった三つ(4弦3フレット、2弦1フレット、2弦4フレット)となってしまい、ほとんど自由ということになってしまう。一応、下に12フレット分のスケールを書いておくが、丸だらけで役に立ちそうもない。実際のブルース演奏に出てくるフレーズをこれでチェックしてみれば、あーなるほどね、でもやっぱり役に立たないね、とまあそう思うだろう。

結論を言うと、スケールの知識だけでアドリブを演奏するのは実際には無理で、やはり色々なメロディを聞いて、弾いて、それを自在に変化させられるようにするのが一番である。それにこれは山下洋輔が言っていたが、教科書の譜面上のブルーノートは静的なもので、時間の考え方(つまりメロディ)が欠けている、これは片手落ちなのである。