フレットを全面的に使ったもの

譜面 


最後は、ギターの12フレット分をふんだんに使ったソロである。かなり色々なフレーズを1コーラスに詰め込んであり、全体に難易度が高いが、少しずついくらかはしょるなどして練習すればよいだろう。これは仕方ないことなのだが、ここで記譜したものには私の個人的な手癖風のフレージングがどうしても入っているので、あまり律義にこの通りやらなくてもよい。出来上がりがかっこよければいくらでも改変可である。

それにここまで来ると、ベース音を抜いてこのままピックで弾いてバンドで演奏すれば、立派なシカゴブルースギターソロになる。何を無理して弾き語りにしているのかという気もする。弾き語りというからにはもっと生ギター1本じゃないと出せないサウンドを作るべきのような気もするが、前にも書いた通り戦前ブルースが宝庫なのでぜひ聞いてみて頂きたい。

もっとも、この奏法は生ギターでひとりで延々といくらでもソロを弾き続けることが可能なので、歌が苦手な人、あるいは歌うのが面倒臭い人には良いかもしれない。しかし、歌が下手でもとにかくブルースを歌ってみることをお勧めする。

さて、1小節目の1/4音チョーキングの入った2音の和音は、シカゴブルースで頻繁に使われる典型的ブルース和音である。3小節目のベースランではコンスタントベースはお休みして、なるべくドライブするように弾く。それから1/4チョーキングがいちいち出てくるが、律義に1/4音上げる必要はなく、該当フレットに指が来ると何となくちょっと上げてしまう、という感じになればよい。もっとも1小節目の和音はしっかり1/4音上げた方がかっこいい。

5、6小節目の和音は、人差し指一本で弦2本を弾いてもいいし、人差し指で3弦、中指で2弦を弾いてもいい。後者の方ならアルペジオ風に指を動かせば色々なニュアンスが出せて便利である。これに対して前者は攻撃的な感じが出しやすい。

7小節目は1弦12フレットから6弦開放までの3オクターブを一気に駆け下りてくるアクロバット的フレーズで、こういうはったりフレーズが決まると聞いている人を驚かすことができる。もっともあまりこんなことばかりやっていると近年のヘビメタギタリストのようになってしまうが。

10小節目では、プリングオフを2回続けて速弾きしている。ここでは、弦を押さえた指を放すときに弦をはじいて開放弦の音を出す。これもはったりっぽい。

11、12小節はエンディングである。これはロバート・ジョンソンがやっているエンディングそのままである。