ベースパターンに高音部の装飾音を加えたもの

譜面 

お次は1ー1の基本パターンを弾きながら、1、2、3弦の高音部を使って、所々にちょっとした装飾的パターンを挿入したものである。主に各小節の頭、および次の小節への導入として、小節の終わりでプレイされる何気ない小さなフレーズである。これらをうまく入れることで、ビートのみだったシャッフルパターンがにわかに12小節1コーラスのひとつの流れのある曲といった趣を帯びてくる。

これら小さなフレーズはここに登場するものだけでなくいくらでも思いつくが、とにかくいくつか覚えて気の向くままに繰り出せば、バリエーションが広がるので色々やってみるとよい。

ロバート・ジョンソンを聞くと、ただのウォーキングベースビートだけのバッキングなのに、なぜ俺が弾くのとこう違うのだろうと思うことがよくあるが、これは親指のビートのすごさだけでなく、こういった聞こえるか聞こえないか分からぬような何となく鳴っている小さなフレーズのせいのことも多い。もっとも彼が弾くとまるでベースパターンを弾いている指と別の人の指で高音弦を弾いているように聞こえるのだが、まあ、これは名人芸ということで納得することにしよう。

また、ベースパターンにもいくらかのバリエーションを加えてみた。これについては付録2でいくつか紹介している。また、9小節目のB7の所では、B7のローコードポジションでのみ可能な変則パターンである。特に3拍目の5、6弦の2フレットを中指でバレーした所を親指でだらしなくドローンと弾くところは、あーくたびれた、という趣(?)があって見せ所であろう。このB7のパターンはコーラスの最後12小節目にも出てくる。

細かいことだが、例えば1小節目や2小節目の一番最後の半拍は次の小節のコードのベースを先取りして弾いている。いわゆるシンコペーションという奴で、うまく弾くとなかなかかっこよいものである。

コーラスの最後である11、12小節の2小節分のフレーズはターンアラウンドと呼ばれ、コーラスの終わりと次のコーラスの導入を同時に受け持つ役まわりであり、ここで格好のよいフレーズを弾くと実にうまそうに聞こえるという効果がある。主に7度から半音ずつ下がる、あるいは5度から半音ずつ上がるフレーズが多い、このターンアラウンドのバリエーションは付録3でいくつか紹介している。