うちのサボテンくんに花が咲いた。いつもまったく動かないし、大きくもならないし、なんだか棘が少し伸びたかなあ、というていどだったけど、つぼみらしきものがこのくぼみに現れて、ひと月ぐらいで大きくなって、今日にはこうやって花が開く寸前になった。
その本体の動かなさに比べて、すごい速さで花がつくんだな。
これを見ていると、つくづく時間、というのは錯覚だな、って思う。
よく思うんだが、この僕は、寝てるとき以外起きてて、いろんなことを見たり聞いたり行動したりしているけど、起きているあいだじゅう意識があるわけじゃない。何か意味のある行為と行為の間の時間は完全に無意識で、それは麻酔とかで意識を無くしている状態と、なんら変わらない。だから、僕はたとえ起きていても、実は完全に意識の無い状態が平常で、その平常の中に、意味ある行動がぽつりぽつりと現れているに過ぎない。
ということは、僕はその、なんの意識もない状態のときは、この動かないサボテンとなんら変わるところはない。物理的時間の尺度は、人はせわしくて、サボテンはものすごく悠長で、大きく異なるけれど、それはただの物の相違なだけだ。
サボテンがなんで花をつけるかといえば、受精のためだろうが、そろそろ性行為のころだなあ、と、サボテンの中の意識が働いているんだろうな。僕は人間だけど、僕もふだんはつねにぼんやりとしていて無意識で、なんにもしていなくて、でも、なにかの愛を感じたとき、動き出して何かをする、という風に生きているんだろうな。
それにしても、こんな無骨な素気ないくすんだ緑色の身体に、なんでこんな鮮やかで若々しくてきれいなピンク色の花が咲くんだろう。
