ビートルズとストーンズ

ミクシィの独り言シリーズの一つ

この前、大倉山のMuddy'sっていうライブバーで3ピースバンドでライブをやったんだけど、これが、店内スゴイ盛り上がりようでビックリしたよ。その夜は5バンド出演で、6時半の開演と共に、3000円払って飲み放題食い放題が始まり、椅子席はあるにはあるが、みなほとんど座らず、外人のようにホールをうろうろしながら飲み食いするスタイルであった

ほら、椅子に座って聞くライブってのは、演奏が始まっちゃうとなかなか店の人に注文できないから、飲むペースがすごく落ちるじゃないか。それに対してスタンディングで飲み放題となると、演奏しててもお構いなしにハイペースで飲むわけだ、そうすると、もう、2バンド目が始まる頃にはみながけっこう酔っ払っている状態になる

それでオレたちは2番手に登場し、歪んだ音でブルースを演奏し始めたのだが、とたんに大騒ぎだ。ちなみに1番手はジャズボーカルのバンドで、わりと大人の雰囲気で始まったのである。そのタイミングで出たから余計だったのかもしれない。それで、オレはステージからはまったく気が付かなかったのだが、後から聞いた話だと、客同士でもみ合いがあったらしいのだ。「うるせえなこのヤロー」「なんだと?テメー」みたいな。

後から聞いて、へーえ、そうだったんだー、と答えたが、オレたちが演奏しているとき客がケンカ始めるってカッコいい! まるで、60年後半のローリングストーンズのライブみたいじゃないか!(笑) アメリカのどこぞの野外ライブで実際にヘルスエンジェルスが客を殺して大騒ぎしてたよな。何にしても昔のロックはワイルドだったよ、ホント。それを何だか彷彿とさせるよね。

この大倉山Muddy’sって店は店内に初期のストーンズのポスターがベタベタ貼ってあって、余計にそう思っちゃったよ。最近のお店って、全体にずいぶんと礼儀正しくなっていて、トラブルは、起きない、起こさない、起こさせない、が徹底してる感じだからなあ。オレの学生のころは、トラブルのない飲みも、飲み屋も、なかったよ(笑)

さて、30年以上むかし、中学生ぐらいのころ、初めて音楽に目覚めて、ラジオ番組であれこれ洋楽を聞き始めたころ、ラジオから流れていたのはカーペンターズやスレイド(?)やカーリーサイモンやなにやらであまり覚えてないのだけど、そのときのオレの友だちの集団がビートルズバンドやっていたりしていて、それにあっさりと影響されて自分もビートルズを聞くようになり、あっという間に夢中になった。

その友だち達は学校では劣等生組だったけど、いわゆる不良ではなかった。ちなみにオレは成績優秀(50にもなると自慢でもなんでもなくなるので、こう、書くが 笑)だったのだけど、いわゆる優等生なやつらとはまったく付き合わなかった。遊び相手はいつも劣等生。奥手なオレに、いろんな遊びや、ほっつき歩きや、そして音楽を、教えてくれたってワケだ。

そういや、やつらはビートルズだけじゃなく、当時の日本のフォークなんかも好きだったので、拓郎や泉谷や陽水もそれで知った。たしか、当時、どこか高校の文化祭だったっけか、オレらの先輩のやってるフォークソング部のライブがあって、フォークギターを抱えた先輩のお兄ちゃんたちが入れ替わり立ち替り現れて、弦が切れそうなギターストロークで物凄い大声でフォークをがなり立てるのを見て、子どもだった自分はすごい衝撃を受けた覚えがある。すごくカッコよかったのだ。

さて、それにしても、自分はビートルズファンで、来る日も来る日もビートルズを聞いていたっけ。弦高が1センチぐらいあるボロボロのフォークギターで初めて覚えたコードがゲット・バックのA7とD7、そして次はいきなりイエスタデイでFを必死で覚え、それでギター少年になっていったわけだ。

そうこうしているある日、やっぱり友だち関係で、もっと不良なヤツらと付き合う機会があった。オレが付き合っていた劣等生たちは不良ではなかったが、それにしたって当時からタバコは吸ってるわ、エロビデオ(ブルーフィルムっていう輸入もの見てたっけな)を見るわ、素行は不良であり、とうぜん別の不良グループとも交流があったわけだ。そこで、ある日、友だちについていって、別の不良グループの溜まり場の家へ遊びにいったわけだ。たしか、ピンクってあだ名の、へんちくりんなルックスのヘンなヤツの家だった。

さて、部屋に入ってみんなでたむろしているとき、まず、ピンクが音楽をかけ始め、それがローリングストーンズだった。自分はストーンズを聞くのはあれが初めてだった。感想は、なんてつまらない音楽だ、だった(笑) たしかその場でも、なんだこれ、ビートルズと比べ物にならないじゃん、とか言ったら、何言ってんだよ、すげーカッコいいじゃん、みたいな会話があった気がする。

その時に自分は何がカッコ悪いと思ったかというと、あのチャーリー・ワッツのドラムだった。リンゴ・スターの、あの曲に合わせた千変万化のドラミングに対して、このドラマーは単に

チチトトチチトト ダダダダダ チチトト・・

とやっているだけで、あまりといえばあまりに稚拙に聞こえたのであった。それで、不思議なことに、ドラム以外の、ミックの歌も、キースのギターも、ブライアンジョーンズのリードも、まったくと言っていいほど耳に入ってこなかった。聞こえないも同然の音楽の中で、あのワッツのチチトトドラムだけが耳に残った。

考えてみれば不思議なもんで、ビートルズもストーンズも同じ黒人音楽をルーツにしているはずなのだけど、まるで印象が違う。当時中学生のときも、おしなべて、ではあるが、ストーンズを聞いてるのは不良、ビートルズを聞いているのは優等生以下普通人、という感じじゃなかったかな。

その後、高校生になり、レッドツェッペリンやディープパープルや、クリームを聞き始めるにおよんで、ようやくストーンズの音楽が耳に入るようになった。そして大学1年のとき、ロバート・ジョンソンを初めて聞いて衝撃を受け、その後の大学生活は黒人ブルース一色、と、こう相成ったのであった。しかし、そうなってしまうと今度は逆にビートルズを忌み嫌い始め、それから十年ほどは、ビートルズは自分にとってのワーストバンドの一つになった。なんと恩知らずのヤツであろうか(笑)

しかし、それにしても、初めて聞いてから何十年もたったあと聞いたストーンズの初期のブルースの演奏には参ったよ。特にミックのボーカルの個性とテクニックとカッコよさは、その最初から完璧に完成されていて、スターになることを予定されている、みたいな物凄い才能とオーラの塊。当時中学生のオレには、こんな凄いものが、まったく聞こえなかったのだ。

かくのごとく、オレのような元々が優等生だったようなヤツは、不良の音楽を理解するのにすごく手間がかかるのであった。理解力の不足を心底感じる。さっき、50にもなると「優等生」という言葉に意味がなくなる、と言ったのは、優等生に理解できない世の中のあれこれの事柄があまりに大量すぎると思うからだ。まあ、優等生ってのは、単に「学校の勉強ができた」という以外の意味はない、ということだ。

さて、この前、テラのC.C.KINGさんが、何でこう高学歴なやつらってのはブルースやりたがるんでしょうね〜、って言ってたけど、確かに、そうなのだ。オレも、そうだ。ブルースには、高学歴なヤツには到底理解できないようなものがあって、そういう自分に無いものに惹かれるのであろう。それで、惹かれるのはいいのだが、結局、ブルースの方を自分に引き付けて、変質させて、高学歴ブルースに仕立てて、安定するのは、つまんないよな。

願わくば、オレのブルースがそうでないように。しかし、そのせいで、この前大倉山で自分の客がケンカしてたって聞いて嬉しかったワケだ。

それにしても、中学のときにオレに音楽と遊びを教えてくれた、マキノ、オオシロ、カワサキ、ピスのビートルズを演奏してた4人は今ごろどーしてるんだろーなー  あと、ストーンズを初めて子供のオレに聞かせた、あのピンクっていうヘンなヤツは!



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