部品を集めて真空管ギターアンプを作ってみる
〜フェンダーChampをベースに日本の部品で作る〜
歪み系エフェクターとしても使える6V6GTギターアンプヘッドの製作


最近のプロジェクト紹介、質問掲示板などの真空管ギターアンプ製作センターを始めました
Fujiyama Electric
本サイトの筆者が設計・製作した
アンプやペダルを販売しています

本サイトが書籍になりました

2 部品表を作る

さあ、これで課題の真空管ギターアンプに使うおおかたの部品について説明した。次は部品屋へ行って部品集めである。

まずはその前に、回路図から部品表を作っておこう。回路図から、部品名、型名、値、個数を読み取って次のような部品表を作る。これまでにあげた主要部品だけでなく、実際に製作を始めると、線材やらネジやら金具やら、なにかと細かいものが必要になる。部品屋が家からそれほど遠くないときは、いっぺんで全部そろえてしまおうとせずに、2回ぐらいに分けるのがお勧めである。まずは、主要部品を購入し、家に持ち帰り、作戦を練る。特に、回路図だけで実体配線図がなく、自分で配置や配線方法を考えないといけない場合、作戦タイムはどうしても必要である。

品名 数量 単価
真空管 6V6GT (Sovtek) 1 1500
真空管 12AX7WA (Sovtek) 1 1000
真空管 5AR4 (Sovtek) 1 1500
電源トランス P-75(東栄)
1次側:100V
2次側:280V-250V-0-250V-280V (75mA)
       0-5V-6.3V (2A)
       0-6.3V (3A)
1 5540
出力トランス OPT-5SR(東栄)
7kΩ:8Ω、シングル用、5W
1 2660
1MΩ 1/2W 1 15
1.5kΩ 1/2W 2 15
100kΩ 1/2W 2 15
220kΩ 1/2W 1 15
22kΩ 1/2W 1 15
56kΩ 1/2W 1 15
10kΩ 1/2W 1 15
470Ω 3W 1 50
10kΩ 1W 1 30
8Ω 10W 1 80
ボリューム 1MΩ A型  1 160
ボリューム 10kΩ A型  1 160
0.022μF 400V 2 60
0.047μF 400V 1 60
電解コンデンサー 22μF 16V 1 70
電解コンデンサー 22μF 50V 1 120
電解コンデンサー 10μF 450V 1 150
電解コンデンサー 22μF 450V 2 200
真空管ソケットUSオクタル 2 170
真空管ソケットMT9ピン 1 160
モノ標準ジャック 2 130
モノ標準ジャック スイッチ付き 1 130
ツルーバイパス用SW 1 520
電源スイッチ 1 240
ヒューズホルダー  1 170
管ヒューズ 2A 1 20
ACケーブル 2m 1 260
ACインレット 1 140
パイロットランプ 1 220
ツマミ 2 250
ラグ板 立型6P大 3 100
0.8mm厚アルミシャーシ 250×130×60 1 956
線材 ビニール線 0.5VSF および 0.3VSF  適量
線材 スズメッキ線 0.5mm 適量
シールド線 1芯 適量
熱収縮チューブ 7mm 適量
ネジ(3×8mm、4×8mm) 適量
スプリングワッシャー 適量
合計  約17891円

一応、値段を載せておいたが、これはあくまでも目安ていどである。「適量」と書かれているもの以外の合計がおよそ18000円なので、結局、正味2万円ちょっとで出来るアンプ、といえそうである。

さて、ここで、「実体配線図」というのは、実際の部品をどうやって配置し、結線するか、ということを本物をスケッチして描いた図のことを言う(実体配線図はこちら、そして穴あけ図面はこちら)。この実体配線図があれば、製作にあたって何が必要かは一目瞭然で、ほぼすべての部品を簡単にリストアップすることができる。部品を取り付ける箱をシャーシーと呼ぶが、このシャーシーの大きさもあらかた分かるし、取り付け場所も、配線の仕方も決まっているので、実体配線図は本当に便利なものである。

しかし、回路図だけから作る場合は、これは無いのだから、よほど慣れているか、家に細々した部品をストックしている人でないと、買い物は1回では終わらないものだ。

さて、フェンダーの回路図(例えば:http://www.schematicheaven.com/fender.htm)をネットであさると、この実体配線図もだいたい一緒になって載っているので、その通り作ってみるのも手である。文末に今回のプロジェクトの元になっているFender Champ (5F1)の配線図を載せておく。ただ、見ての通りこれは業務用なので実体配線図とはちょっと違い、まあ、配線図ていどのものである。

それからこれは、おいおい説明して行くが、回路が同じでも部品の配置の仕方、配線の仕方で音は変わる。もっともそれ以前の問題で、配置や配線が悪いとノイズやハム(ブーンという雑音)が出たり、ビーッと発振したり、トラブルが発生するのが普通なので、これは一定のセオリーに沿って決めないといけないのである。初心者のうちは、回路がすべてで、回路が同じなら音も同じだろう、と思っている場合が多いが、それは真空管アンプのような超アナログものについては間違っている。

そんなわけで、フェンダー社が採用している配置や配線を真似るのにも、回路を真似るのと同じような意味があるわけだ。しかしここで一点、付け加えておくが、フェンダーとて神様なわけではなく、昔のフェンダーのアンプの配線には問題があるものもあるようである。フェンダーの技術も年月を経る中で、進歩したり、あるいは一時後退したり、といったことを繰り返している。また、アンプを商品として考えると、当然、品質だけでなくコスト計算が入ってくるわけだから、たいていの場合は色々な妥協が入り込んでいる。そんなわけで、逆に、我々アマチュアが一台ものを製作する方が制約も少なく、メーカー製よりよいものを作れる可能性がある。そんなところも自作の面白さなのである。

ちなみに、本プロジェクトではフェンダー配線図は使わず、独自のもので行くことにする。