さあ、これで課題の真空管ギターアンプに使うおおかたの部品について説明した。次は部品屋へ行って部品集めである。
まずはその前に、回路図から部品表を作っておこう。回路図から、部品名、型名、値、個数を読み取って次のような部品表を作る。これまでにあげた主要部品だけでなく、実際に製作を始めると、線材やらネジやら金具やら、なにかと細かいものが必要になる。部品屋が家からそれほど遠くないときは、いっぺんで全部そろえてしまおうとせずに、2回ぐらいに分けるのがお勧めである。まずは、主要部品を購入し、家に持ち帰り、作戦を練る。特に、回路図だけで実体配線図がなく、自分で配置や配線方法を考えないといけない場合、作戦タイムはどうしても必要である。
品名 |
数量 |
単価 |
真空管 6V6GT (Sovtek) |
1 |
1500 |
真空管 12AX7WA (Sovtek) |
1 |
1000 |
真空管 5AR4 (Sovtek) |
1 |
1500 |
電源トランス P-75(東栄)
1次側:100V
2次側:280V-250V-0-250V-280V (75mA)
0-5V-6.3V (2A)
0-6.3V (3A) |
1 |
5540 |
出力トランス OPT-5SR(東栄)
7kΩ:8Ω、シングル用、5W |
1 |
2660 |
1MΩ 1/2W |
1 |
15 |
1.5kΩ 1/2W |
2 |
15 |
100kΩ 1/2W |
2 |
15 |
220kΩ 1/2W |
1 |
15 |
22kΩ 1/2W |
1 |
15 |
56kΩ 1/2W |
1 |
15 |
10kΩ 1/2W |
1 |
15 |
470Ω 3W |
1 |
50 |
10kΩ 1W |
1 |
30 |
8Ω 10W |
1 |
80 |
ボリューム 1MΩ A型 |
1 |
160 |
ボリューム 10kΩ A型 |
1 |
160 |
0.022μF 400V |
2 |
60 |
0.047μF 400V |
1 |
60 |
電解コンデンサー 22μF 16V |
1 |
70 |
電解コンデンサー 22μF 50V |
1 |
120 |
電解コンデンサー 10μF 450V |
1 |
150 |
電解コンデンサー 22μF 450V |
2 |
200 |
真空管ソケットUSオクタル |
2 |
170 |
真空管ソケットMT9ピン |
1 |
160 |
モノ標準ジャック |
2 |
130 |
モノ標準ジャック スイッチ付き |
1 |
130 |
ツルーバイパス用SW |
1 |
520 |
電源スイッチ |
1 |
240 |
ヒューズホルダー |
1 |
170 |
管ヒューズ 2A |
1 |
20 |
ACケーブル 2m |
1 |
260 |
ACインレット |
1 |
140 |
パイロットランプ |
1 |
220 |
ツマミ |
2 |
250 |
ラグ板 立型6P大 |
3 |
100 |
0.8mm厚アルミシャーシ 250×130×60 |
1 |
956 |
線材 ビニール線 0.5VSF および 0.3VSF |
適量 |
|
線材 スズメッキ線 0.5mm |
適量 |
|
シールド線 1芯 |
適量 |
|
熱収縮チューブ 7mm |
適量 |
|
ネジ(3×8mm、4×8mm) |
適量 |
|
スプリングワッシャー |
適量 |
|
合計 約17891円
一応、値段を載せておいたが、これはあくまでも目安ていどである。「適量」と書かれているもの以外の合計がおよそ18000円なので、結局、正味2万円ちょっとで出来るアンプ、といえそうである。
さて、ここで、「実体配線図」というのは、実際の部品をどうやって配置し、結線するか、ということを本物をスケッチして描いた図のことを言う(実体配線図は
こちら、そして穴あけ図面は
こちら)。この実体配線図があれば、製作にあたって何が必要かは一目瞭然で、ほぼすべての部品を簡単にリストアップすることができる。部品を取り付ける箱をシャーシーと呼ぶが、このシャーシーの大きさもあらかた分かるし、取り付け場所も、配線の仕方も決まっているので、実体配線図は本当に便利なものである。
しかし、回路図だけから作る場合は、これは無いのだから、よほど慣れているか、家に細々した部品をストックしている人でないと、買い物は1回では終わらないものだ。
さて、フェンダーの回路図(例えば:
http://www.schematicheaven.com/fender.htm)をネットであさると、この実体配線図もだいたい一緒になって載っているので、その通り作ってみるのも手である。文末に今回のプロジェクトの元になっているFender Champ (5F1)の配線図を載せておく。ただ、見ての通りこれは業務用なので実体配線図とはちょっと違い、まあ、配線図ていどのものである。
それからこれは、おいおい説明して行くが、回路が同じでも部品の配置の仕方、配線の仕方で音は変わる。もっともそれ以前の問題で、配置や配線が悪いとノイズやハム(ブーンという雑音)が出たり、ビーッと発振したり、トラブルが発生するのが普通なので、これは一定のセオリーに沿って決めないといけないのである。初心者のうちは、回路がすべてで、回路が同じなら音も同じだろう、と思っている場合が多いが、それは真空管アンプのような超アナログものについては間違っている。
そんなわけで、フェンダー社が採用している配置や配線を真似るのにも、回路を真似るのと同じような意味があるわけだ。しかしここで一点、付け加えておくが、フェンダーとて神様なわけではなく、昔のフェンダーのアンプの配線には問題があるものもあるようである。フェンダーの技術も年月を経る中で、進歩したり、あるいは一時後退したり、といったことを繰り返している。また、アンプを商品として考えると、当然、品質だけでなくコスト計算が入ってくるわけだから、たいていの場合は色々な妥協が入り込んでいる。そんなわけで、逆に、我々アマチュアが一台ものを製作する方が制約も少なく、メーカー製よりよいものを作れる可能性がある。そんなところも自作の面白さなのである。
ちなみに、本プロジェクトではフェンダー配線図は使わず、独自のもので行くことにする。
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