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6V6GTギターアンプヘッド |
さて、ここで最初に取り上げるギターアンプがこれである。フェンダーの小型の練習用アンプとして有名なChampをベースにしたものである。出力はおよそ5ワットだ。ギターアンプというのは、実はキャビネットとスピーカー込みで初めてギターアンプと呼べるものになるのであるが、それはまた木工の工作などが入り、大変なので、ここではアンプのヘッドだけ製作することにする。
しかも、このギターアンプヘッドを、いわゆるChampのアンプシミュレータみたいなエフェクターとして使えるように、出力ジャックを増設する。それも、単なるラインアウトではなく、ダミーのスピーカーを内部に持ち(ただのダミー抵抗だが)、その信号を出力するように作る。このようにすると、ボリュームを最大にしてフルテンにすれば、いわゆるパワー管の歪みをそのまま出力でき、かの魅惑のサウンドが得られるという寸法だ。
信用してもらうために、今回作るこのアンプヘッドにSGを突っ込んで歪ませて鳴らした音をここにアップしておく。
サンプルブルースプレイ
なかなかいい音である。ちょうど、ブルースブレーカーズ時代のエリック・クラプトンの音のようである。あるいはシングルコイルのストラトを突っ込んでオーバードライブさせれば、FenderのChampにマイクを立てて録音したと言われている、かの名盤Laylaの中のプレイを彷彿とさせるような音も出る。自分で言うのはなんだが、これはかなり作る価値のあるプロジェクトだと思う。
それで、この長い記事を丁寧に読んだ忍耐力のある皆さんは、真空管アンプ工作についても一通りのテクニックを身に付けられてしまう、という。すばらしくも一石二鳥である。
ところで、まえがきにも書いたがアメリカのサイトをあさると、あらゆるギターアンプの回路図がタダで入手できる。僕が一番参考にさせてもらったのがFenderの真空管ギターアンプであるが、もう、発表されたほとんどの機種の回路図が手に入り放題である。アメリカというのは、こういうところは、つくづく自由でおおらかないい国だ。
それで、回路図はいくらでも手に入るので、ああ、自分で作ってみたいな、と思う人もいると思うのだが、はて、回路図があるというのと、実際に作る、というのは大違いで、そうそう簡単には行かない。と、いうか、基礎知識のない人には、はっきり言うが、自作はお勧めしない。もし無理して作っても、だいたい失敗して思うように行かないものだ。
実は、回路図だけを与えられて、それで製作ができる、というだけでも、かなりの知識と経験が必要なのだ。これがキットであれば、説明書どおりにやれば、ちょっと器用な人であればけっこう難なくできるものだが、回路図だけから作れる人は、それだけでもうかなりハイレベルな電子工作人間と言ってもいいと思う。
と、いうわけで、始めよう。