天ぷら

天ぷらは古くからある国民食の一つだが、天ぷら専門店で食べるということになると、わりと高級な店になることが多く、お出かけ系に分類してある。天ぷらという料理だけを考えてみると、蕎麦屋や居酒屋など、さまざまな食堂でメニューに入っており、また家庭料理としても定着している、大衆食である。

天ぷら専門店

店構えは、ほぼ割烹に近い感じで、純和風でこぎれいである。天ぷら専門店の店舗数はそれほど多くはなく、おそらく寿司専門店より少ないであろう。

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天ぷら屋の外観(上野毛・天露)(*)

専門店は必ず揚げたてを出すので、寿司屋と同じように、店内はふつうオープンキッチンで、カウンターの中に揚げ油が置かれ、そこで揚げたものをそのまま客にすぐに出せるような形態になっている。

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天ぷら屋の中。カウンターの中で天ぷらを揚げる(上野毛・天露)(*)

天ぷら

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天ぷらの盛り合わせ。レンコン、大葉、カボチャ、ししとう、エビ、しいたけ、蟹棒、ナスなど(*)

天ぷらは、天つゆと呼ばれる、だし汁に醤油とみりんを合わせたものに、大根おろしや生姜をおろしたものを好みで入れ、それにつけて食べる。天つゆを使わずに、粗塩や、塩に抹茶粉や粉柚子、カレー粉などを合わせたものにつけて食べることもある。

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天つゆ。ここに、大根おろしや、生姜すりおろしを入れる(*)

小麦粉と水と溶き卵を合わせた衣に材料をくぐらせ、これをたっぷりの油で揚げる料理である。いかに、衣が重くならずに、軽くさくっとしていて、香りよく揚がっているかが大切である。材料は、魚介から野菜までさまざまな種類のものを揚げるが、それぞれ性質も異なり、すべてを均一にきれいに揚げるにはかなりの熟練が必要である。

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天ぷらを揚げているところ(*)

天ぷらはふつう単品の材料を衣をつけて揚げるが、複数の材料を合わせて揚げたのが、このかき揚げである。この写真では、エビ、小柱、三つ葉、コーンなどが使われている。

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かき揚げ(*)

以下に主な天ぷらの材料を挙げておく

エビ 天ぷらの定番。尾を残し殻をむいた小さめのエビを揚げる。高級店では新鮮な車エビを使う
キス、アナゴなどの白身魚を開いて揚げる
その他魚介 イカ、貝、蟹、など
野菜 ナス、レンコン、しいたけ、マイタケ、ししとう、インゲン、玉ネギ、大葉、サツマイモ、カボチャ、筍、など
その他 アイスクリーム、ウニの海苔巻き、リンゴ、バナナ、など変わったものもあり

その他の料理

天ぷらをご飯に乗せ、天つゆをかけたのが天丼で、天ぷら屋には必ずある。

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天丼。赤だし味噌汁とお新香のセットになったランチメニュー(*)

天ぷら屋は和料理店なので、ご飯と味噌汁と漬物は必ず用意されている。また、日本酒、ビールをはじめとして酒もある。高級店では、お任せコースとして、季節の材料を揚げて、次々と出すスタイルが多い。

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天ぷら蕎麦(*)

蕎麦屋には、ほぼ必ず、天ぷら蕎麦がある。大きめのエビを天ぷらにしたものを乗せた汁蕎麦である。この天ぷら蕎麦のため、蕎麦屋では天ぷらが作れるようになっていて、かき揚げを乗せたかき揚げ蕎麦や、天ぷら専門店のようなバリエーションは無いものの、単独の天ぷらをメニューに入れている蕎麦屋も多い。

チェーン店

天ぷら専門店は、街の寿司屋と同じで、個人経営でこじんまりとしていて、高級で値段も高いところが多い。そのため天ぷらは、気軽な大衆料理という感じではない。しかし昨今は、当然、天ぷらのチェーン店もある。東京では「天丼てんや」がもっとも有名である。

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高級店に比べると、値段も半額以下で、天丼の並が味噌汁が付いて500円で食べられる。チェーン店なので、ネタは一括仕入れして冷凍し、店舗に送られたものを、機械で揚げている。


(*) 画像はGoogleサーチで持ってきた無断転載である。写真撮影次第差し替え予定。