お好み焼き・もんじゃ

お好み焼きは、小麦粉などのつなぎにキャベツなどの具を混ぜ鉄板で丸く焼き、ソースなどをかけたものである。東京ではだいぶ昔から、お好み焼き屋というと、テーブル席に鉄板が組み込まれていて、そこで客が自ら焼いて食べる形態がポピュラーである。シンプルな料理なせいもあり、庶民の味という雰囲気を保っている。

店舗

これは典型的な昭和のお好み焼きの外観だが、この写真は大阪住吉のものである (*)

お好み焼きチェーン店も多くあるが、まだ街には個人営業のお好み焼き屋も残っている。店舗の姿はまちまちで、とくに統一された外観はない。この写真は、昭和の時代に典型的な街のローカルなお好み焼きの姿である。看板にかならずお好焼きの字が明記されているので間違えることは無い。

客席の鉄板 (*)

最近はもっぱらこの写真のように中央に鉄板をしつらえたテーブル席が主流で、火はガスを使うことが一般的である。お好み焼きは具を丸く焼いたあと、各種の調味料をかけて食べるものなので、テーブル席にはそれらの調味料がたくさん並んでいる。酒を飲みながら食べることも多く、ビールや酎ハイなどのアルコールは必ず用意されている。

お好み焼き

注文を受けると、この写真のようにご飯茶碗ていどの大きさの容器に具が入った状態で出てくる。基本的な内容は、小麦粉を水で練ったものに山芋のすりおろしと出汁などを入れたつなぎの上に、キャベツの荒みじん切り、天かす、さくらエビ、切りイカ、紅ショウガ、生卵などが乗っている。以上を基本の内容として、ここに注文の種類に応じて様々な具が入る。豚、イカ、などが入るが詳細は後述する。

海鮮お好み焼き。イカ、タコ、エビが見える (*)

客はこれをスプーンなどでぐるぐるとかき混ぜ、熱した鉄板に油をひいてその上に流し入れ、両面を丸いパンケーキ状に焼き上げる。丸く形を整えたり、ひっくり返したりするときは、写真のような金属のヘラでこれを行う。

焼くときに使うヘラ (*)

焼き上がったお好み焼きの上に、食卓のソースを刷毛で塗り、その上に、削り節、青のり(あおさ)、マヨネーズなどをかけ、適当に切り分け、めいめいがこれを取り皿に取って食べる。

きれいに焼き上げられ、調味料が載ったお好み焼き (*)

以上が基本のお好み焼きである。以下にその種類を上げておく。店舗によってさまざまな具を用意し、工夫をこらしている。

ぶた玉豚のバラ肉の薄切りが入る。肉はお好み焼きの片面に広げて、鉄板で香ばしく焼くようにする。なお、お好み焼きのネーミングには、内容の後に「玉」を付けるのがふつう
イカ玉イカが入る
タコ玉タコが入る
エビ玉エビが入る
その他  チーズ、コーン、キムチ、明太子、餅など。もちろん以上はミックスでも注文できる
モダン焼き  焼きそばの麺を炒めてソースをからめて、それをお好み焼きに乗せて焼くのをモダン焼きと称する
ねぎ焼きキャベツの代わりに青ネギが大量に入った大阪のお好み焼き

次の写真はネギ焼きである。これは大阪のお好み焼きとして有名で、キャベツの代わりに関西の青ネギの荒みじん切りが大量に入ったものである。なお、大阪のお好み焼き屋も同じく客席に鉄板があるが、店の従業員が焼いてくれるのが標準の店も多い。

大阪のネギ焼き。青ネギが大量に入る (*)

もんじゃ焼き

もんじゃ焼きは東京の味で、お好み焼き屋でもんじゃを置く店は多い。これは元々は、子供が食べる駄菓子の味に近い、極めて庶民的な食べ物だったが、その後、独特の進化をし、現在ではもんじゃ焼きを置く店舗がかなり増えている。

各種もんじゃ焼きの焼く前の状態 (*)

出された様子はお好み焼きと同様だが、つなぎが決定的に異なっている。もんじゃの基本は、小麦粉を非常にゆるく水気を多い形で溶いたものが使われ、ここにキャベツなどさまざまな具が入ったものである。水気が多いためお好み焼きのようにしっかり固まらず、鉄板の上で焼くとドロドロした感じのままとなる。

もんじゃ焼きを焼いたところ。この写真はベビースターラーメン入り (*)

客はこれを、写真のような小さなへらで鉄板に押し付け、鉄板側に焦がし付けたような状態ですくい取り、端から少しずつ食べる。

もんじゃを食べる小さなヘラ (*)

もんじゃも具によって多くの種類があり、元駄菓子という側面もあるのか、かなり変わったゲテモノ的な具の取り合わせのものも多く、なかなか楽しめる。現在のもんじゃは、たくさんある材料を複数組み合わせて、各店舗によって勝手に命名したものが多く、ネーミングの種類はおそろしく多く、統一されていない。なので、目に付いたもののみ、雰囲気が分かるように下に記しておく。

ベビースターもんじゃ      ベビースターラーメンが入る(味付きのインスタントラーメンの乾麺を砕いた駄菓子)
カレーもんじゃカレー粉が入っていてカレー味。インドもんじゃと称したりもする
明太子もんじゃ辛し明太子が入る。博多もんじゃと称したりもする
その他の材料豚、イカ、タコ、エビ、アサリ、ホタテ、チーズ、餅、コーン、キムチ、ニンニク、牛筋煮込みなど。ネーミングは色々。たとえば、スタミナもんじゃ(豚、ネギ、ニンニク)、四川もんじゃ(豆板醤や山椒が入る)、北海道もんじゃ(ホタテ、アサリ、バター)など各店で様々

もんじゃの焼き方には諸説あるが、大まかには以下の通りである。まず、容器に入った上の具の部分だけを鉄板に空けて、水っぽいつなぎの部分はそのまま残しておく。鉄板で具を炒め、しんなりしたら、ドーナツ状の土手を作り、真ん中の穴の部分につなぎを流し入れる。水っぽいつなぎを混ぜているととろみが付いて来るので、そうしたら全体を混ぜ合わせ、平均に薄く鉄板の上に広げ、ふつふつと泡が立っているような状態になったら食べられる。

その他のメニュー

お好み焼き屋には、お好み焼きやもんじゃ焼き以外の、いわゆる鉄板焼き的なメニューがほぼ必ず用意されている。炭水化物系では、焼きそば、焼きうどんがあり、それ以外、イカやエビ、牛肉などの鉄板焼きなどがある。また、お好み焼き屋は飲み屋的な性格もあるので、ちょっとした酒の肴を置いているのが普通である。以下に、お好み焼き屋の、その他のメニューの例をあげておく、

焼きそば   焼きそば中華麺、キャベツ、豚肉など。鉄板で炒めて、卓上のソースをかけて味付けする
焼きうどんうどん。焼きそばと同様
鉄板焼きイカ、イカげそ、牛肉、エビ、ホタテ、ウインナー、コーンバター、じゃがバター、エノキ、野菜(もやし、キャベツ、ピーマン、タマネギ、ナスなど)
牛スジ煮込み  牛筋を煮込んだ一般的なものだが、なぜかお好み焼き屋に置いてあることが多い

広島焼き

広島焼きは、広島で一般的な独特のお好み焼きで、最近、東京でもかなりの数の店舗がある。広島焼きは、先に紹介した一般的お好み焼きやもんじゃのように客が焼くのではなく、店の人が焼くもので、また鉄板を通常より広く使うので、一般的なお好み焼き屋とは店舗が異なっている場合が多い。したがって、その手の店はほぼ必ず「広島焼き」と看板に明記されている。

広島焼の焼き上がり。中華麺が見える (*)

こちらが広島焼きである。作り方の手順は以下の通りである。鉄板の左側にゆるめに溶いた小麦粉を丸くクレープ状に広げる。一方、鉄板の右側では、キャベツなどの具を炒めしんなりしたら、これを左のクレープの上に乗せる。空いた右側で中華麺を炒め、これをさらに上に乗せる。次に空いた右側に卵を割り入れ、半熟に焼いたら左側の全体をひっくり返して卵の上に乗せ、これでできあがる。最終的に、焼きそばと具を薄く伸ばした小麦粉と卵の皮で挟んだような形になる。

焼き上がったら、ソース、マヨネーズ、削り節、青のりなどをかけて食べる。


(*) 画像はGoogleサーチで持ってきた無断転載である。写真撮影次第差し替え予定。