7月1日宴会中国料理のメニューと作り方

  1. タイの中国風刺身
  2. 豚の胃とピータンのあえもの
  3. 豚耳のタイ風サラダ
  4. ゆで鶏の2種ソース添え
  5. 鶏肉、セロリ、キュウリの角切り豆板醤炒め
  6. カニとタイとウニの卵炒め
  7. 有頭エビのチリソース煮
  8. 鶏手羽先のショウユ煮
  9. 冬瓜のカニあんかけ
  10. 焼きビーフン
  11. 酢とコショウのスープ


タイの中国風刺身

■材料と調味料

■作り方

  1.  ワンタンの皮は高温の油でキツネ色に揚げて油を切り、手でもんで砕いておく
  2.  タイは斜めに薄くそぎ切りにする
  3.  ミツバは3cm幅に、白ネギは細切りにする
  4.  ボールにタイ以外の材料を全て入れ、その上に薄切りのタイを乗せる
  5.  タイに油をかけ、手でタイが油にくるまるようにまんべんなくまぶし、残りの材料にも油をかけたら全体を軽く混ぜ合わせる。
  6.  ショウユを回しかけながら全体を混ぜ合わせ、味見をしてショウユの量を加減し、味が決まったら皿に盛る。
    [注] 
    • 油をかけるところからは、手早く行う。タイがショウユを吸って味が落ちてしまう。材料の回りに油の皮膜を作り、その上に生のショウユがかかった状態にする
    • 油は香りの良いピーナッツ油を使ったが、普通のサラダオイルでも十分おいしくできる。

■この料理について

この中国風刺身は日本人に人気のある広東料理で、広東料理店のメニューでよく見かけるし、家庭料理としても定着しているようである。おしなべて、皆ドレッシング系の、味に凝ったタレをかけているようだが、ここではピーナッツオイルとショウユというシンプル極まりない味付けにして、逆に特色を出している。副材料は色々工夫の余地があると思う。今回は最後までおいしく食べられるようにと、水気の出ない材料を選んで使った。ダイコン、人参、キュウリ、セロリなどを細切り、薄切りなどにして使うとサラダ感覚で食べられる。サラダ感覚にするならば、やはりタレはドレッシング系の方がいいのかもしれない。


豚の胃とピータンのあえもの

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 豚の胃袋は1.5cm角に切る
  2. ピータンは表面の泥を落とし、殻をむき、1.5cm角に切りそろえ、ショウガ汁をまぶしておく
    [注] ショウガ汁をかけると独特の臭みがやわらぐ
  3. きれいな油を鍋に入れて火にかけ、低温の内にカシューナッツを入れ、たえずかき混ぜながら、焦がさないように注意して薄いキツネ色に揚げ、油を切っておく
  4. キュウリ、セロリは1cm角に切り、少量の油でさっと炒めてお湯をさし、10秒ほどでザルにあげておく
    [注] 
    • こうしておくと調味料で和えた後も水気が出にくく、歯触りも良い
    • ここで火を通しすぎるといけない。ほとんど生で良い。皮膜を作るていどの気持ちで行う。
  5. ネギは白いところを荒みじん切りにしておく

■作り方

  1. すべての材料をボールに入れ、ゴマ油を回しかけてざっと混ぜ合わせた後、ニンニクソースとショウユを2:1程度の割合で入れ、全体を良く混ぜ合わせて皿に盛る。
    [注]
    ニンニクソースは甘いのでショウユで甘みを加減する。甘いのが好みならニンニクソースだけで和えても良い。好みによる

■ニンニクソースの作り方

  1. ショウユ2、砂糖2、老酒1の割合で小鍋に入れ火にかけ、水少々を加え弱火で静かに15分煮る。
    [注] あれば、八角、陳皮、桂皮、ネギ、ショウガなどを加えて煮るとより香りのよいものができる
  2. 煮上がり100ccにつき1粒程度のニンニクをすりおろして入れてかき混ぜ、冷ます。
    [注]
    • ニンニクは必ず熱いうちに入れること。ニンニクの臭みと辛みが抜け、油で炒めたのともまた違った芳香に変化する。
    • このニカワ状のとろりとしたタレを甜醤油(テェン・ヂァン・ユ)という(ただし通常甜醤油にはニンニクを入れない)冷蔵庫で数カ月はもつのでたくさん作って保存しておくとよい。このまま保存すれば、日が経つにしたがってニンニクの香りが強くなる。これを嫌う場合は一度漉してから保存する。

■この料理について

豚の胃は独特の香りと味、そして柔らかな歯触りがあって美味だが、あまり手に入らないし下調理に手間もかかる。豚の胃の代わりに、ゆで鶏(作り方後述)やチャーシューの角切りを使っても良い。ナッツ類を和えものに入れると香ばしくてアクセントになって良い。ただし水っぽくならない材料を選んだときに限る、さもないとナッツが水を吸い込んでぐにゃぐにゃになる。今回の甘み系の味付けなら、天津甘栗を加えるのも良さそうである。噛んだときの口当たり、そして味、の双方について口直しが欲しいところなので、キュウリやセロリを加えている。



豚耳のタイ風サラダ

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 豚耳は根元の厚い部分をそぎ切りにして厚さをほぼ揃え、はじから2mm幅の細切りにする
  2. レッドオニオン、セロリは極く薄く切り、軽く水につけて辛みを出したらザルにあげて水を切り、塩少々で下味を付けておく
  3. 赤パプリカ、黄パプリカは細切り、香菜は荒みじん切り、万能ネギは小口切りにする
  4. チコリは根元を落として、ばらしておく
  5. 干しエビはぬるま湯でよくもみ洗いし、お湯を捨て、改めてお湯を注ぎ15分ていどおいて戻す。
  6. 鷹の爪は半分にちぎり種を捨て、お湯少々につけて戻しておく

■タイ風ドレッシングを作る

  1. 戻した鷹の爪を細かく切り、さらに包丁で叩いてペースト状にする
  2. 戻した干しエビをみじん切りにする
  3. ナンプラー大3、砂糖大1、レモン汁1個分と鷹の爪、干しエビ、生ニンニク少々をすりおろしたものを混ぜ合わせてドレッシングを作っておく

■作り方

  1. チコリをボールに入れ、塩、レモン汁、油各少々で軽くあえて、皿の回りに並べておく
  2. その他の材料を全てボールに入れ、ドレッシングを加えて手で混ぜ合わせ、皿の中央に盛る

■この料理について


ゆで鶏の2種ソース添え

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 鍋に水を入れ、鶏の骨付きもも肉4本、叩いたネギ10cmを2本、ショウガひとかけを水から入れて中火にかける
  2. 完全に沸騰した時点で火を止める
  3. アクをすくい、ゆで汁の味を見ながら塩、老酒大1を加え、スープとして飲める程度、しっかりと塩味を付け、蓋をしてそのまま放置して冷ます。
    [注]
    • ここで塩味を十分にきかすのがポイントである。スープが鶏肉にしみこみ易くなり、肉が柔らかくなり、また適度な下味が付き、おいしく仕上がる。
    • 保温の利く厚い鍋ならこれで十分に火が通るが、薄い鍋の場合、心配なら10分後もう一度沸騰させて冷ます。
    • 十分に冷めるまで2時間以上はかかるはず。冷めたらゆで汁ごとボールに移しておいてもよい。いずれにしてもそのままゆで汁につけた状態にしておき、切るときに取り出すようにする。
    • このスープはとてもおいしいので、ネギを浮かべてトリスープとして飲んだり、他の料理に使う

■香港風ネギショウガソースの作り方

  1. ネギ1本の白いところを荒みじん切りにし、ショウガひとかけをすり下ろし、小さなボールに入れ、塩大1、ショウユ少々を加える
  2. 油大4を鍋で煙が出るまで高温に熱し、ボールの材料に一気にかけ、そのまま放置して冷ます

■四川風怪味ソースの作り方

  1. 中華鍋に油大1を熱し、ここに豆板醤大1/2、芝麻醤大2を入れて焦げないように軽く炒める。ここにニンニクソース大2、酢大1/2を加えて味を見ながらこれをのばし、ボールにあける。これにゴマ油大1、ネギのみじん切り大1、ショウガのみじん切り小1を加え、軽く混ぜると、怪味ソースができる。
    [注]
    • 怪味ソースは、調味料それぞれの味が強くもなく、弱くもなく、複雑で不思議な味がする、というところから来た名前である。
    • ここで示した調味料の量はあくまで目安である。全体に甘みがかなりきつくなっているので、これを嫌うときはニンニクソースとショウユを半々で使う。

■上卓する

  1. 鶏肉をゆで汁から取り出し、骨を外し、1cm幅に切りそろえて皿に盛る
  2. 2種のソースを小皿に入れ、一緒に上卓する

■この料理について


鶏肉、セロリ、キュウリの角切り豆板醤炒め

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 鶏胸肉の皮を取り去り、厚いところを切り開いて厚さを均等にする。表面に軽く格子状の切り目を入れ、これを1.5cmの角切りにする
  2. 鶏肉をボールに入れ、塩適量、老酒大1、ショウユ、コショウ各少量、叩いたショウガひとかけを加え、よく混ぜ合わせ、下味を付ける
  3. ショウガを取り出し、片栗粉大3を入れ、様子を見て水を加えながら全体にからめる。最後に油大2を入れて軽く混ぜる
    [注] 最後の油は炒めるときほぐれ易くするため
  4. セロリ、キュウリは1cmの角切りにする。ネギ、ショウガ、ニンニクはみじん切りにする
  5. 調味料を合わせる ショウユ大2、老酒大11/3、砂糖大11/3、酢大11/3、コショウをボールに混ぜ合わせ、片栗粉小1/2を加えて混ぜる
    [注] ショウユ、酒、砂糖、酢の割合が3:2:2:2である。軽い甘酢の味付けになる

■作り方

  1. 鍋に油を多めに熱し、下味のついた鶏肉を炒め、取り出す
    [注] 炒めすぎると固くなるので注意。揚げ油程度の量の油で油通しをしてもよい
  2. 鍋をきれいにし、油少々を熱し、セロリとキュウリを軽く炒めて塩を振り、熱湯またはスープを注ぎ、かき混ぜながら火を通し、ザルにあげる
    [注] くたくたにならないよう注意。20秒ていど
  3. 鍋をきれいにし、改めて油大3を弱火にかけ、ショウガ、ニンニク、豆板醤大1を入れ、かき混ぜながらゆっくり炒めて香りを出す
  4. 強火にして、ネギを入れ、材料全てを戻し入れたら、合わせ調味料をよくかき混ぜてから、鍋の材料に少しずつ加えてからめ、皿に盛る

■この料理について

これは、魚香味(ユイ・シャン・ウェイ)という四川料理の代表的な味付けで鶏肉を炒めたものである。豆板醤、ショウガ、ニンニクの香りと、少し甘酢がかった味に特徴がある。豆板醤は普通のものでもいいが、今回は、たまたま中華街で見つけた、四川原産の代表的な卑県(ピー・シェン)豆板醤が手に入ったので、これを使ってみた。この卑県豆板醤は、普通、日本で出回っているいわゆる豆板醤と香りが異なっていて、豆鼓(トウ・チ)に近い香りの入ったコクのあるミソである。これを使ったからおいしくできる、という訳ではなく、また違った味が味わえる、という感じである。市販の豆板醤を使って同様に作ると、またこれとは異なる香りが楽しめる。ちなみに、本場四川で行われている魚香味の味付けを調べてみると、豆板醤は使われておらず、代わりに泡辣椒(パオ・ラ・ジャオ)という赤トウガラシの漬け物をペースト状に叩いたものが使われている。きっとこれはこれですさまじい味なのだろう。この魚香味には何故か、セロリやキュウリ、といった普通あまり炒めものに使わないような材料が良く合う。


カニとタイとウニの卵炒め

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 卵10コをボールに割り入れ、塩適量、コショウ少々、ゴマ油少量で味を付け、よくかき混ぜておく。よく味見をし、塩加減に注意する。
    [注]
    • あんをかけないので塩味はしっかりと付ける。ただし、あとでカニの塩味などが入るので、薄めに味を調える
    • ここでの調味料は最低限に近い。隠し味の砂糖だとか、ショウユだとか酒だとか化学調味料とか入れたくなるが、入れたくなったときは入れて良い。ただし入れないでも大丈夫。要は気の持ちようである。
  2. ネギ適量、ショウガ少量は細切りにし、カニは軟骨を取り除いてほぐして一緒にしておく。また、カニ缶の汁は味がよいので卵汁に少量加えておく。
    [注]カニ缶は値段が高いほど旨い。これは致し方ない。まあ、一缶千円程度のものなら十分だろう。調理のテクニックでかなり救えるが、最終的なカニの風味となるとこれはしょうがない。財政事情に応じて。
  3. タイはそぎ切りにして薄く切り、塩、酒、ショウガ汁、ゴマ油各少量で下味をつけ、片栗粉適量をからめておく
  4. 老酒大1と水大1を合わせておく

■作り方

  1. 沸騰したお湯にタイを一枚一枚入れて湯に通し、ザルにあげて、卵汁に入れておく
  2. 鍋に油少々を熱し、ネギ、ショウガ、カニ肉を入れ軽く炒め、老酒小2、塩少々を加えて香りが出たら、卵汁に入れて、全体を軽く混ぜ合わせる
    [注] これは結構重要な操作である。カニなどの風味が倍加する。
  3. 鍋をきれいにし、油大3の多めの油を強火で熱する。煙が出始めたら卵汁半量を一気に入れる。回りが泡立ってくるので、これを杓子で内側に折り込むようにして、全体を何重にも折り込むように混ぜ、真ん中にひとつにまとめる。
  4. ウニを乗せ、合わせておいた老酒大1を鍋肌から回し入れたら、鍋をあおって裏返し、皿に盛る。
    [注]
    • 卵は中がぎりぎり火が通ったていどで鍋から下ろす。経験によるが、杓子で押さえてみて弾力がある程度。
    • 表面の焼き色はなるべく付けないように仕上げる
  5. 鍋を洗い、残りの半量を同様に調理する

■この料理について

卵料理は難しいとどこの国の料理でも言われているがその通りのようである。これほど作る人で味の変わる料理もないかもしれない。ポイントは炒め方にあるが、これは言葉ではちょっと説明しにくい。調味料を見ると分かるとおり味付け自体は非常にシンプルなので、最終的な味はすべて炒め方にかかっている。要は、卵の何重もの層を作るような感じでさばくことである。基本的には卵を杓子で四方八方から大きく折り返すような動作になる。火加減は常に強火なので、この操作はあるていどすばやくするが、ガシャガシャかき混ぜてはいけない、高温の油と強火で処理する中国料理の場合、卵に泡状の空気が入りスポンジのようになってしまう。つまりゆっくりとした手つきで、素早くする、という矛盾した操作をしないといけない訳だが、自分の使うガス台との相性などが分かってくればうまく出来るようになるはずである。


有頭エビのチリソース煮

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 有頭エビは、足、ヒゲ、目をハサミで切り落とし、尻尾の先を落とす。頭の後ろで二つに切り離し、背中側の殻をハサミで切り、背わたを取ってザルにあげておく
  2. 白ネギは荒みじん切り、ショウガ、ニンニクはみじん切りにしておく
  3. レタスは洗って、水を切り、皿に敷いておく

■作り方

  1. 鍋に油を強火で熱し、エビを入れて色が変わるまで焼いて、取り出しておく
    [注]アクを取り、コクを出すために行う。中まで火を通す必要はない
  2. 鍋をきれいにし、油大3を弱火にかけ、トマトケチャップ大4、豆板醤大1、ショウガ、ニンニクをかき混ぜながらゆっくり炒めて香りを出す
  3. お湯100CCを入れ、塩適量、老酒大1、砂糖大1、酢小1、コショウで味付けする
  4. エビを戻し入れ、2、3分弱火で煮込む
  5. ネギを入れ、少量の水溶き片栗粉でとろみをつけ、全体を混ぜ合わせてレタスを敷いた皿に盛る

■この料理について

いわゆるエビチリだが、有頭エビを使うことで、エビの頭にあるミソがタレに溶け出して独特の風味のある料理に仕上がる。殻ごと調理して、エビミソの味が出るようにしっかり煮込んでいるので、エビ肉の柔らかさは出ない。食卓ではお手拭きなど用意して、多少手や口の回りが汚れても、殻ごとほおばって、中の汁を吸い出して、エビミソのおいしさを十分に味わってもらうところがポイントである。逆に、殻をむき、下味を付けてさっと湯通ししてチリソースでからめるやり方は、エビ肉の柔らかさと旨みがポイントになる。


鶏手羽先のショウユ煮

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 鶏手羽先は先端を落として、ショウユ適量をまぶして水気を切っておく
    [注] これは下揚げするときの色付きをよくするためで、特に下味の意味はない。表面にショウユ色が付けばよい
  2. タケノコは乱切り、シイタケは石づきを取って半分に切っておく
  3. ネギは5cmのぶつ切りにした後、縦ふたつ割りにする。ショウガは薄切りにしておく

■作り方

  1. 鍋に揚げ油を高温に熱し、鶏手羽先の水気を拭いて入れ、表面がキツネ色になったら、タケノコを入れて取り出す
    [注]
    • (1)表面に焼き色を付けるための操作なので、中まで火を通す必要はない。煮くずれを防ぎ、香ばしい香りが付き、臭みが抜ける、といった効用がある
    • (2)200度ほどの高温で処理する必要があるが、油がはねていくらか危険である。少量の油で両面を焼いてもよい
  2. 鍋をきれいにし、油大3を弱火にかけ、ネギとショウガを入れ、かき混ぜながらネギがキツネ色になるまでゆっくりと炒める
  3. 火を強火にし、ここにショウユ大1.5、オイスターソース大1/2、老酒大11/3、砂糖大1弱を入れてかき混ぜ、香りを出す
    [注]
    • (1)砂糖の量に気を付ける。少し甘目の方がおいしく、また色よくできる
    • (2)高温の鍋肌で調味料を焼くことで中国料理らしいコクが出る。お湯をさしてから調味料を入れる方法もあるが、ちょっとあっさりした感じになる
  4. 手羽先とタケノコを入れ、材料全体がかぶるぐらいまでお湯をさす
  5. コショウ、中華味各少々を振って、沸騰したら軽くアクを取って、フタをして弱火にし、30分煮込む。途中シイタケを入れ全体をひっくり返し、まんべんなく味がしみこむようにする
  6. 煮汁の味を確認したら、水溶き片栗粉を少しずつ流し入れてとろみをつけ、火を強火にして鍋をゆすりながら30秒ほど底を焼き、そのまま大皿に滑らせるようにして盛りつける
    [注] 最後に強火で火を入れることで、料理に含まれていた油が表面に浮き出し、料理が軽く、熱く、またツヤが良くなると共に、コクと香りが出る。中国料理の煮ものの最後に必ず行われる操作である。

■この料理について

ネギを色づくまで炒めて香りを出して煮込むここでの方法を葱焼(ツォン・シャオ)と言い、中国料理の煮物でよく使われる調理法である。ちなみに葱焼の「焼」は焼くことではなく、煮込むことを言う。今回、オイスターソースを使ったが、ショウユだけでも十分おいしくできる。来客の料理と言うこともありオイスターソースでコクを加えた。味付けは日本料理の煮物とほとんど同じで、ちょっとした操作が異なっているだけであるが、出来上がりはずいぶん中国料理らしくなるものである。今回手羽先で作ったが、鶏もも肉で柔らかく作っても良い。栗が出回る秋には、これにむき栗を加えて煮込むととてもおいしい。


冬瓜のカニあんかけ

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. トウガンは皮をむき、5cm角の乱切りにしておく
  2. ネギ、ショウガは細切り、万能ネギは小口切りにしておく
  3. 卵白ははしでかき混ぜてコシをなくしておく
  4. カニは軟骨を取り去ってほぐしておく

■作り方

  1. たっぷりの鶏スープを煮立て、塩適量で味をつけ、トウガンを入れて10分から15分、トウガンが柔らかくなるまで静かに煮る
  2. 鍋に油大2を中火で熱し、ネギ、ショウガを焦がさないように軽く炒めたらカニ肉を加えて軽く炒める
  3. 老酒大1を回し入れ、スープ200cc、カニ缶の汁を入れ、塩適量、コショウで薄く味付けする
  4. 水溶き片栗粉でとろみをつけたら、タレをかき混ぜながら卵白を糸を引くように少しずつ流し入れる
  5. トウガンをスープから取り出して皿に盛り、タレにゴマ油少々を加えてトウガンの上からかけ、上から万能ネギを散らす

■この料理について

優しい味の野菜のあんかけ料理である。同様のカニあんを、ブロッコリー、アスパラガスをゆでたものや、炒めた青菜の上にかけるなど、色々な野菜に応用できる。塩味の料理なので、スープは良いものを使った方がよい。今回は、鶏肉をゆでたときのゆで汁を使った。鶏ガラスープの素や化学調味料を使ってコクを出すことは構わないと思うが、特に塩味の料理は、これらを入れすぎるとせっかくの風味が悪くなるので、少量を使うことを心がけた方が良い。今回はあえてこれら旨み調味料は使わずに、非常にあっさりと仕上げてみた。


焼きビーフン

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 干しエビはぬるま湯でよくもみ洗いし、お湯を捨て、改めてお湯を注ぎ15分ていどおいて戻す。
  2. 沸騰したお湯にビーフンを3分ほどつけて戻し、ザルにあげておく
    [注]若干芯が残るていどに戻す
  3. ネギ、ショウガは糸切りにする
  4. ホウレン草の根元を落とし、二つに切り分け、水洗いしてザルにあげておく

■作り方

  1. ホウレン草をさっとゆでてザルに取る
  2. 鍋に油大3を熱し、ネギ、ショウガを軽く炒めたら老酒大1.5を回し入れ、鶏スープ200cc、干しエビを戻し汁100ccごと入れる
  3. 塩適量、コショウ、鶏ガラスープの素適量で濃い目に味をつける
    [注]この後、戻したビーフンに、このスープを吸わせて味を付けるので、味はかなり濃いめに整える
  4. ビーフンを鍋に戻し入れ、スープを吸わせるようにしてかき混ぜながら炒める。途中ホウレン草を入れて更に炒める
    [注]
    • この操作は炒めると言うよりは、かき混ぜるという感じになる。いくらか鍋底にこびり付くが、あまり気にしない。もっとも焦げ付かせてしまうと、焦げた味が付いてしまうので注意する
    • ビーフンの種類によっては、炒めていると粉々に切れてしまったりする。スープを吸わせるだけで、早々に仕上げてしまって構わない。台湾の新竹ビーフンがコシが強くて良いようである
  5. ゴマ油小1を入れ、ざっと混ぜて皿に盛る。豆板醤を小皿に取って出し、好みでこれをつけて食べる

■この料理について

今回、色合いを考えて、白いビーフンとピンク色の干しエビ、緑色のホウレン草という、とてもシンプルな副材料で上品に作ってみた。春先なら、ホウレン草の代わりに菜の花などを入れるととてもきれいだろう。もっと一般的な焼きビーフンなら、豚肉、タケノコ、シイタケ、キクラゲ、ニンジンなどの細切りを炒め、スープを入れて同様に味を付け、最後にニラを入れて仕上げる。さらに、味付けにショウユを少量入れるとコクが出る。


酢とコショウのスープ

■材料と調味料

■下ごしらえ

  1. 鶏胸肉は細切りにして、塩少々を振り、片栗粉をまぶしておく
  2. トウフ、タケノコ、シイタケは2mm幅の細切りにする
  3. 卵を溶きほぐしておく

■作り方

  1. 鍋にスープを沸騰させ、ショウユ適量、老酒大1.5、鶏ガラスープの素、ゴマ油小1で濃いめに味を付ける
    [注]かなりの量のショウユが入る。塩適量で補っても良い
  2. スープの中に鶏肉を一本一本ばらばらに入れ、トウフ、タケノコ、シイタケも入れ、静かにしばらく煮て火を通す
  3. コショウ小3を入れかき混ぜる
    [注]かなり大量のコショウが入る。好みによって加減するが、コショウの辛みを十分に利かせる
  4. 水溶き片栗粉でとろみをつけ、さらに、スープをかき混ぜながら卵を糸を引くように少しずつ流し入れてかき玉状にする
  5. 最後に酢大3を入れてかき混ぜて上卓する

■この料理について

酢とコショウを利かせるこのやり方は、酸辣(ソァン・ラ)という味付けで、酸っぱさと辛さを互いに対照させるところに特徴がある。タイ料理のトム・ヤム・クンなどもこの系統である。コショウで辛みを出すのが一般的だが、豆板醤のトウガラシ系の辛さで作っても良い。この場合、最初に油で豆板醤を炒めて香りを出してからスープを加え、同様に調理する。この酸辣湯(ソァン・ラ・タン)は非常に大衆的な料理で、アメリカやヨーロッパなどのチャイニーズ・レストランのメニューにも、Hot and sour soupとして必ずと言っていいほど載っている庶民の味である。


豚耳、豚胃袋の鹵水(ル・シェイ)煮の作り方

■材料について

豚耳、豚の胃袋は、肉のディスカウントショップ「肉のハナマサ」(支店多数)で、冷凍の品が手に入る。ハナマサの品は冷凍で鮮度は落ちているが、あるていど下処理がしてあるので扱いやすい。香辛料で煮込む今回の料理にはこのていどの鮮度で十分である。その他、肉の問屋、アメ横などで内臓類の生のものを時々見かけるが、こちらは新鮮な代わり下処理をしていないので、それなりの覚悟で購入する。下処理の仕方はここには特に書かない(やったことがないが、かなり大変そう)知りたい場合、プロ用の中国料理調理書を見れば書いてあるのでそちらを参考にして頂きたい。

■豚耳の下ごしらえ

  1. 沸騰したお湯で湯通しする。水に取り、タワシやハブラシなどで、全体がきれいに白くなるように茶色い汚れをこそげ落とす。
    [注]
    • (1)茶色い汚れは、表面の毛をバーナーで焼いた焦げあとである。
    • (2)臭いをかいでみて、ただの豚脂身の臭いだけになるまでこすり取る
  2. 豚耳がきれいになったらお湯で1時間下ゆでする。

■豚の胃の下ごしらえ

  1. 豚の胃をお湯で2時間下ゆでする
  2. 取り出して荒熱が取れたら表面の脂肪を包丁でこそげ落とし、水洗いする

■煮汁を作る

  1. 香辛料入りの煮汁「鹵水」(ル・シェイ)を作る。鍋にたっぷりの水を入れ、ショウユ3、酒2、砂糖1の割合で味付けし、塩を適宜入れ、ラーメンスープぐらいの塩加減に調節する。
  2. 香辛料とネギ、ショウガを布に包んで口を縛り先の汁に入れ、そのまま15分くらい沸かし、香りを汁に移す。八角(スターアニス)、花椒(サンショウの実)、桂皮(ニッキ)を始めとして香辛料はあるものを多めに入れる。分量は全部で2掴みくらい。
    [注]香辛料はその他、陳皮(チンピ、みかんの皮を干したもの)、小茴(フェンネル)、肉果(ナツメグ)、甘草(カンゾウ)、丁香(チョウジ、クローブ)などが使われる。配分についてはあまり気にしなくて良い。全て同量ていどの気持ちで使う。

■鹵水で煮込む

下ごしらえした豚耳と豚の胃を鹵水に入れ、弱火で1時間静かにゆで、取り出してゴマ油をまぶして冷まし、冷蔵庫で保存する。
[注]



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