■茶餐廰について
ミルクコーヒーとスープ
茶餐廰とは、日本で言えば、食事ができる喫茶店のようなところで街中にたくさんある。日本の古い喫茶店は何となくヨーロッパ調の重厚さがあるが、こちらはだいたいが、店内は明るくて、装飾は最低限で、むしろ機能的な店作りで、プラスチック調の軽々しい感じが主流のようである。
それと、何よりも違うのが、食べものの種類の多さである。茶餐廰という言葉自体が、茶を飲み食べる場所、という意味なので当然なのだが、メニューを見ると料理名が小さな文字でびっしり並んでいて、その種類は百や二百はゆうにある。日本の喫茶店や食堂との一番の違いは、この圧倒的なメニュー数かもしれない。
中国返還前(1997年)の香港の街中では、茶餐廰よりも、前の項に書いた大衆食堂の方が多かったが、ここ最近2008年に再訪してみると、「焼臘麺粥家」とか「麺粉」とか「牛汁専科」とか書かれた大衆食堂はかなり減っていて、代わりにこの茶餐廰と書かれたお店の数が圧倒的だった。おそらく、以前大衆食堂だった店が茶餐廰に姿を変えたものと思われる。
たぶん、そんなこともあり、メニューの数がそのまま引き継がれ、茶餐廰のメニューはさらに増えて行くのかとも思う。とはいえ、メニューに並ぶ料理や飲み物はだいたいどの店でも同じようなもので、昔からそれほど大きく変わってはいないようである。
ここではメニューの主な項目について以下に簡単に紹介しておこうと思う。ただし、自分はたしかに香港へは何度も行ったが、しょせんは旅行であり、住んで暮らしていたわけではないので、茶餐廰に入っても、たとえばハムエッグにトーストに紅茶みたいな注文はせず、ひたすら中国飯を食っていた。そのせいで、以下のメニューについては、実地にはあまり試しておらず受け売りもあることをお断りしておく。
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飲みもの
熱飲品 | 熱い飲みもの | 珈琲を何度か飲んだが、強烈に甘い練乳入りミルクコーヒーだった、紅茶も同じ |
凍飲品 | 冷たい飲みもの | アイスコーヒーにアイスティー、檸檬茶や檸檬コーラ(可楽)などいろいろ |
■食べもの
三文治 | サンドイッチ | ベーコンレタストマト(煙肉生菜蕃茄)、目玉焼き(煎蛋)、ハム(火腿) |
多士 | トースト | フレンチトースト(法蘭西)、スクランブルエッグ(炒蛋)、バタークリーム |
沙律 | サラダ | 野菜サラダ、卵サラダ、ハムサラダ |
麦片 | オートミール | オートミール自体を自分は食べたことが無い |
意麺 | スパゲティー | 昔、一度だけ牛肉炒意麺というものを食べたがスパゲティで作った醤油味の炒麺だった |
通麺 | マカロニ | 上記意麺とほぼ同じ事情と思われる |
即食麺 | インスタント麺 | 公仔麺、出前一丁(日本のやつの香港版) |
烏冬 | うどん | 日式と書かれたもの以外は怪しい感じ |
庵列 | オムレツ | |
咖喱 | カレー | |
焗飯 | ドリア | |
中式飯 | 中国式のご飯 | これは、前の項で紹介した大衆料理そのもの |
中式麺 | 中国式の麺 | 同上 |
西式飯 | 西洋式のご飯 |
以下は、尖沙咀にあった金潮粉麺茶餐廰というお店のメニューの例。もともと潮州料理のお店で定番のメニューに特有なものが加わっている。しかし、このメニュー量はやはりすごい。だいたいどこのお店でも品揃えは似ていて、これぐらいは用意しているようである。それからこれは1998年当時のものなので金額は当てにならないが、感覚的に言うと東京の半額ぐらいな感じであった。
尖沙咀にあった金潮粉麺茶餐廰のメニュー(クリックで拡大します) |