散歩する惑星
(ロイ・アンダーソン)
スウェーデンの映画だそうで、脈絡無く断片がつなぎ合わされたように見えたけど、それでいいのかな。ひょっとすると統一されたストーリーがあったのかな、分からない。ところどころ抜群に面白いシーンがある。気に入ったところは、へんなおっちゃんが破産して、店に火を付けて、自分も半焼けのままのルックスで街をうろうろしてひたすら毒づくところ。それから、失語症かなんかで精神病院に入っている息子のことを語り出すと、いつも「昔はああじゃなかったのに云々」と必ず同じセリフで怒鳴り、荒れ狂うところ。大量のキリストのタッケイ像を投げ捨てるシーンもきれいだった。でも、大量のスーツ姿のビジネスマンが、鞭撻教のように自分に鞭を打ちながら街を行進するところにはあまり反応しなかったりする。僕はダイレクトな風刺は苦手かな。精神病棟で、苦しんで、声も出せずに泣いている兄を弟が抱きしめて、こんな時代に生きていれば本当の人間なら兄さんのようになるのが正しいんだ、でもきっと次の新しい時代は兄さんの時代だよ、と慰めるシーンは、とってもダイレクトで、文学みたいで感動した。全体に、もう一回見たい。きっと上記、けっこう間違って覚えていたりしているんじゃないかな。