ノー マンズ ランド
(ダニス・ダノヴィッチ)

シリアスな戦争映画だった。全体のどたばたがブラックユーモアと取れないこともないけど、笑う気にはなれなかったな。塹壕で立ち往生する敵味方の二人と地雷の上に横たわった男、それを救助に行く国連軍、一時休戦している敵味方の兵士達、ふかふかの椅子に座って命令するだけの上官、あたり構わず進入する戦場ジャーナリスト達、政治家、テレビディレクター、どの人間も演出抜きのそのままの姿で振る舞っているように見えるせいで、あーあ、オレもこの内のどの人間にもなれるよな、とか、結局は人生、自分に振り分けられた役を演じるだけなのかなー、とか、見ていて、正直、かなり意気消沈したよ。たぶん「このどたばた劇のからくりは分かったよ、もうたくさんだ、いいかげんに止めようよ」と言いたそうな人間は、地雷の上に横たわって身動きできず、放置されたままで幕切れする。結局、これが人間社会のありのままの姿なので、僕らはこの「次」へ進まないといけない。社会問題の苦手な僕にはツライ映画だった。