何がジェーンに起こったか?
(ロバート・アルドリッチ)

1962年公開の、ちょうどヒッチコックのころの白黒サスペンス映画で、ひたすら、嫉妬に狂ったこわーい女を描いている。この女主人公を演じるベティ・デイビスは、その昔、超きれいな女優だったが、ここではもう婆さん、というかそれも通り越して、ノーメイクでホラーと言いたくなるほど、怖い顔と凄い演技である。しかし、この映画、見終わってどっとくたびれた。どうやら、僕が思うに、このころの映画って、白黒のせいもあるけど、ひたすら主題に沿って、わき目もふらずに描写して行くんだよね。最近のサスペンスって、映像の力に相当頼っていて、それゆえにリアリティが増したかというと、逆に、こう、物珍しい映像のインパクトだけで楽しめてしまい、当のリアリティが減っている気がするんだけど。それに対して、この映画は内容がひどく生々しくて、見てて憔悴してしまった、救いがない、というか。あとで調べてみると、妹役のベティ・デイビスと、ひたすら妹に虐待される車椅子の姉のジョーン・クロフォードは、実際の現実でもえらく仲が悪かったらしく、映画の中なみの嫉妬劇を現実にもやっていたそうだ。生々しさはそのせいだったのかな、それじゃ洒落になってないよ(笑)