方法序説 (デカルト)


しかし、難しげな日本語題名をつけたものである。僕らも学校の倫理の授業で「方法序説」と習ったから変だとも思わないのだが、実際に読んでみると、難しいことはほとんど書いていない。有名な「われ思うゆえにわれあり」はここに収録されている。あとで解説を読んで知ったが、デカルトがこれを書いたのは、かのガリレオが地動説を唱えて宗教裁判にかけられ有罪となった時代であった。デカルトはまったく平易な書き方で、真実の探求とは、誰であるかを問わず、人間であれば、誰でもが理解でき、到達できるように為されなければならない、と説いている。つまりあらゆる権威主義を否定しているわけで、当然、デカルトの身にも危険は迫っていたらしい。ところで、この本の前半は自らの方法論をどのように築いたかに関するエッセイのような感じで、後半はその方法に基づいて行った若干の科学的検討について書いている。後半のデカルトが導き出した結論は、今では科学的に間違っているものも多いが、それは置いておいて、前半が感動的である。真理に対する情熱、この時代ではなかなか無かったであろう完全な平等の意識、自らの生き方を信念で律する厳しさ、どれもこれも超一級である。それでいて、本当に、そのへんのあんちゃんに話しかけるようにやさしく説明している、すばらしい。