スウェーデンに住んで、どぶろくを作り始めたのは今からおよそ1年前だった。なぜ始めたのか忘れてしまったのだけど、そういえばひとつ思い当たることがあった。1年ちょっと前、「発酵美人」というマシンを日本から持ち込んで、これを使うと甘酒や味噌や納豆ができる、といって米麹も合わせて持ってきたのである。それで最初は言われる通り、ご飯と米麹をマシンにセットして甘酒を作っていたのだが、あるとき、あ、そうか、これでお酒ってできるのかな、と思ったのであろう。ネットを調べると、作り方はすぐに見つかった。しかも、なんにも難しくない。米と麹はあるので、あとはドライイーストを買ってくればすぐにできてしまう。どこのサイトを見たか忘れたが、最初はサイトに忠実に作ってみた。要は、米と麹とイーストと水を混ぜるだけである。それで半日ほど経つと、透明の瓶の中でさかんに発酵が進み、泡が出て、中身がゆっくり対流し、ふたを少し開けて匂いを嗅ぐと、まことに清らかなよい香りがする。

およそ二日間待って、それで、濾して、飲んでみたのだが、これはなかなか形容しがたいが、美味しくて本当にびっくりした。なぜかというと、それはもちろん「初めて自分で作ったお酒」だったからだと思う。しかも、味こそ違うが香りはまさに日本酒の香り。日本から遠く離れたスウェーデンで、こんなすばらしいものを自分で作れるんだ、と思った。実は誇張ではなく、最初に飲んだときは、涙が出るほど感動した。いまでも神社では、お神酒としてどぶろくを捧げるが、すごく神聖なものだと思った。僕ら日本人が遠い昔から造って飲んできたこんな素晴らしい酒を、自分で作らないというのは誠にもったいないことだと思う。なぜ、日本では作っちゃいけないかはネットを調べるといくらでも出て来るが、見ればわかるが下らない理由だ。

僕としては、はっきり言いたいが、日本人ならこのどぶろく、一度は自らで作ってみるべきだ。その神聖な感じに、きっと感動するはず。で、それだけじゃなくて、これが美味しいのである。もっとも酒をあまり飲まない人はだいたいまずくて飲めない、と言っているし、スウェーデン人の何人かに試飲させたが、ほぼ皆、だめって言っていた。わずかに、呑んべえの日本人数人が美味しい、と言ったのみで、それほど一般受けする酒ではないことは確かのようだ。でも、もう、僕はこれなしには暮らせないので、ずっと造り続けている。

造り方



材料

2カップ(400cc)
乾燥米麹100g
ドライイースト小さじ1/2
800cc