「中国家庭料理入門」調理法抜粋

実際の本はエキスパンドブックで書かれているので縦書きで、レイアウトも美しく仕上がっています。


芙蓉蟹 (フウ・ヨン・シェ)

〜カニタマ〜

おなじみ大衆料理のカニタマである。天津丼の乗せ物として出てくるが、上から甘酢あんやショウユ色のくずあんをかけたものが多い。ここでは、あんをかけない高級料理風「カニ肉入り卵の炒め」という感じのものを紹介しよう。

◆材料と調味料

・卵4コ
・カニ缶半分、生シイタケ2枚
・ネギ、ショウガ
・調味料─塩適量、コショウ少々、ゴマ油少量

◆下ごしらえ

 卵4コをボールに割り入れ、塩適量、コショウ少々、ゴマ油少量で味を付け、よくかき混ぜておく。よく味見をし、塩加減に注意する。

[注](1)あんをかけないので塩味はしっかりと付ける。なめてみておいしいなあという程度の塩加減。あたりまえだが少なくても多くてもいけない。経験による。
(2)ゴマ油は味付けというより卵の生臭さを消すために入れる。
(3)ここでの調味料は最低限に近い。隠し味の砂糖だとか、ショウユだとか酒だとか化学調味料とか入れたくなるが、入れたくなったときは入れて良い。ただし入れないでも大丈夫。要は気の持ちようである。

 生シイタケ、ネギ適量、ショウガ少量はすべて細切りにし、カニはほぐして一緒にしておく。また、カニ缶の汁は味がよいので卵汁に少量加えておく。

[注]カニ缶は値段が高いほど旨い。これは致し方ない。まあ、一缶千円程度のものなら十分だろう。調理のテクニックでかなり救えるが、最終的なカニの風味となるとこれはしょうがない。財政事情に応じて。

◆作り方

 鍋に油を熱し、卵以外の材料を入れ軽く炒め、酒小1、塩少々を加えて香りを出し取り出す。

[注]これは結構重要な操作である。カニの風味などが倍加する。

 炒めた材料を卵汁に加え軽く混ぜる。
 鍋をきれいにし、油大3の多めの油を強火で熱する。煙が出始めたら卵汁を一気に入れる。回りが泡立ってくるので、これを杓子で内側に折り込むようにして、全体を何重にも折り込むように混ぜ、真ん中にひとつにまとめる。

[注]これは非常に言葉で説明しにくいが、ここでの炒め方は非常に重要である。今まで見たとおり味付け自体は非常にシンプルであり、最終的な味はすべて炒め方にかかっている。不思議なことに失敗するとまるで違う味になる。ポイントは卵の何重もの層を作るような感じでさばくこと。基本的には卵を四方八方から大きく折り返すような動作になる。中国料理の場合高温処理なのでこの操作はあるていどすばやくする。ただし、ガシャガシャかき混ぜてはいけない、空気が入りスポンジのようになってしまう。

 少量の油を鍋肌から回し入れ、鍋をあおって裏返す。少し底を焼いたらもう一度裏返し、皿に盛る。

[注](1)卵は中が半熟ていどで鍋から下ろす。経験によるが、杓子で押さえてみて十分弾力がある程度。
(2)表面の焼き色は若干付く程度に留める。

◆応用

卵の炒め方をマスターすれば、色々と応用できる。

●蝦仁炒蛋(シャ・レン・チァオ・ダン)―卵と小エビの炒め―

小エビに塩、コショウ、酒、ゴマ油で下味を付け、湯通しし、これをカニ肉と同様に炒めて卵汁に加え、同様に炒める。

●滑魚炒蛋(ホァ・ユイ・チァオ・ダン)―卵と白身魚の炒め―

白身魚に塩、コショウ、酒、ゴマ油で下味を付け、湯通しし、これをカニ肉と同様に炒めて卵汁に加え、同様に炒める。