ブルースジュニア改造その3

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Oct 242010
 

さて、10/23のライブを前にして、オレンジドロップ交換と中途半端な電解コンデンサー増量をやったところまでお話した。その後、秋葉原へ行ってさらに必要な部品を全部そろえることにしていたのだけど、どうしてもその余裕がない。そんなときにうちの奥さんが、そんなの通販で買えばいいじゃん、と言われ、たしかにその通り! 秋葉へ行くことばかり考えていて思いつかなかった。

ということで、若松通商であれこれ購入。ネット振込みができれば、こいつはラクだ、自宅で何もかもできちゃう。出歩く必要がまったくない、まったく世の中変わったもんだ。ただ、ちょっと困っちゃうのは、抵抗やコンデンサーなどの10円、20円の小部品が100本単位でしか売ってなかったりする。まあ、一本換算1、2円なんで買っちゃえば後々便利なのだが。

とにかく、そんなわけで、前回の秋葉で購入したPRESECE CONTROL用の小VRの取り付けと、通販で購入した電解コンデンサーによる電源フィルターコンデンサの正規増量をライブ前の駆け込みで前日に決行した。

PRESENCE CONTROLの取り付け

まずはプレゼンスである。前々回紹介したBillmさんのサイトにあるように、前面パネルのFATスイッチの下にあるスペースに穴を開けてそこにボリュームを取り付ける。スペースは狭いので、使うボリュームも小型のものを使う。今回は秋葉で探した次のアルプスの小VRを使った。

30kΩがなかったので、これは20kΩでB型である。お次は穴あけだが、今回は、FATスイッチの真下、パネルの下側の端から1cmのところに7mm程度の穴を開けた。次の通りである。

鉄の筐体の上にステンレスの板がかぶさっているので、穴あけはなかなか大変だけど、小さい径から始めて、順に広げながら開けて行く。最後にリーマーでVRの軸が入る径まで広げた。

このPRESENCEのVRをつける回路上の位置だけど、前々回の記事のように今回はR25の両端につけた。配線はあっさりと細いビニール線で以下のようにやっておいた。

Billmさんの改造では、ここに細いシールド線を使っているようである。さっき元記事を探して見たのだけど、見失ってしまったのだが。Billmさんの改造がR25の両端を使っているかも、実はよく分からない。ひょっとすると、前々回記事に書いたように、線の片方をグランドに落としているかもしれない。そのようにすると、PRESENCEを上げたときの高音がギラギラが少なくなり、比較的平均にディストーションが増える感じになる。このへんは好みなので、後でいろいろやってみようと思う。

電解コンデンサー増量

これは簡単である。電源回路の4つの電解コンデンサの値をすべて倍にする、というものである。場所は、C25の47μF、450V、C26, C27, C28の22μF、450Vである。これらの上に同じ値の電解コンデンサをパラに半田付けする。次の通りである。

基板の上にプラスとマイナスの表示があるので間違えないように半田付けすれば、それでOKである。

発振止め

もろもろの改造をした後、改めて鳴らしてみたのだけど、なんだかボリュームをゼロにしても低い音のノイズが聞こえてくる。フィルターコンデンサを増量しているのにハムはおかしい。うーむ、と思いあれこれ調べてもよく分からない。しかし、位相反転へ入るところの結合コンデンサに指を近づけるとギャーっと鳴り出す。これは明らかな発振だ。うーん、巨大なオレンジドロップを向きを変えて取り付けたせいかな、と思い、せっかく変えたのに悲しいが元のコンデンサに戻した。

しかしそれでも状況は改善しなかったのである。仕方ないので本格的に調べるべくオシロスコープを引っ張り出し、スピーカーの両端にプローブを当てて見てみた。

すると、なんだかほぼ正弦波に近い信号が見えている。あ、これがあのノイズか、と思ったのだけど、オシロの設定を見ると、いや違う。これって40kHz付近の超音波だ。しかもなんとなんとp-pで45Vもある。45Vで8Ωだとなんと33ワットである! ほんとかな? まあ、なんにしても、これはきわめてまずい。40kHzでは聞こえるわけじゃないが、パワー段の回路をそれだけ使いまくっているということで、いいわけがない。

これについては、ありがたいことにBillmさんのページに対処法が書いてある。Billmさんによればこの発振現象は、クリーム色の基板のBlues Juniorで、特に裏板を外したときに起こることが多いそうである。周波数も44kHzから48kHzていどで、僕の場合とぴったり合っている。位相反転段の不正発振だそうである。

対処法は、基板から真空管ソケットに伸びているリボンケーブルの形状を変えることである。まだ、自分の写真を撮っていないのでBillmさんの写真を流用させてもらうが以下の通りである。

手前の2つの細めのリボンケーブルは2本の6BQ5へ行く線だが、これらを下側にへこませる。そして、その次の広めのリボンケーブル(位相反転管の12AX7へ行く線)を、写真のように、手前に引き出すように手で変形させる。特に広い方は、山型にするのだが、真空管ソケット側の部分を裏板を閉めたときの、その裏板に沿わせるような感じに変形する。

裏板にはアルミホイルが貼ってあり、これがシールドの役割をするのだが、このアルミ箔とリボンケーブルの間に小さな浮遊容量(コンデンサ分)を作ってそれで超高域成分を逃がして発振を止める、ということらしい。

実際にやってみたら、3本のリボンケーブルを変形させるだけで、裏板を閉めなくとも発振はピタリと止まった。すばらしい! これで裏板を閉めれば完璧である。以上、詳しくはBillmさんのサイトのココにあるので参照していただきたい。

そういうわけで、以上で発振は止まったが肝心の低い音のノイズはというと、なんだか止まってしまったようである。

というわけで、これで今回は終了である。あとはこれをライブに持ち込んで実地テストだ!

ブルースジュニア改造その2

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Oct 102010
 

オレンジドロップ交換と電源フィルタコンデンサ増量

さて、前回に引き続きブルースジュニアの改造である。結局、前回の改造を加えたものをライブで使う機会もなく、ちゃんと評価できなかったのだが、そうこうしているうちに10月後半にライブの予定が入り、どうせやるなら他の改造もやってからライブに臨むことにしようと思ったのである。

そこで、今回は、Billmさんの改造に載っている以下の2点をやってみることにした。

  1. 結合コンデンサをオレンジドロップに交換する
  2. 電源のフィルター電解コンデンサを増量する

Billmさんによれば、オレンジドロップに変えることで、「音のこもりをなくし、失われていた低音部の倍音を呼び戻し、ディストーション時のとげとげしいエッジを取り除き、クリーントーンは甘く響くようになる」、とのこと。あと、電源フィルタコンデンサー増量によって、「低音部がソリッドになり、これは誰でもすぐに分かるはず」、とのことです。

ほとんかよー! という前に、やってみよう、と言うわけだ。

秋葉原へオレンジドロップを買いに行ったが、いつもの安い店が閉まっていて、しかたなしに色々探してようやくオレンジドロップを扱っている店を見つけ、そこで買った。しかし、ちょっと高かった。なにせ、結合コンデンサーを全部交換する、となると、全部で8個以上になり、オレンジドロップって平気で300円ぐらいしちゃうんで軽く二、三千円なのである。

交換後の写真は以下である。

オレンジドロップ交換、電源フィルタコンデンサ増量後

オレンジドロップに交換、電源フィルタコンデンサ増量後

写真で見るとおり、7個のオレンジドロップがついている。あと、電解コンデンサ増量だけど、なんかカネが無くなっちゃって、購入しなかった。左側の灰色の電解コン4つ分を増量するんだが、47μF、450Vはなかなかに高価なのだ。なので、とりあえず手持ちの33μF、450Vが2個あったんで、それを2箇所につけている。

しかし、このていどのカネをケチってるなんてね。カネさえあればいくらでも買っちゃうのに。。 もっとも、カネ持ちだったら、そもそもブルースジュニアなんていうしょぼいアンプ買って改造なんかせず、オールドのフェンダーの抜群のヤツをポンって買って終わりだよね。ま、そういう意味じゃ、貧乏だからこその楽しみ方ともいえるわけで、気を取り直して行きましょうw

今回、オレンジドロップに交換したのは、C2,C6,C7,C8,C10,C11,C15,C16である。それから、前回、結合コンデンサの0.002μFが小さすぎるっていうんで大きいのに交換したんだけど、これは元の0.002の値に戻した。また、トーンコントロール回路のC5の250pFはシルバーマイカの270pFにした。

それから、C3の100pFだが、これは前回にも書いた問題児でBRIGHT入りっぱなしコンデンサである。これは50pFのシルバーマイカを買い、簡単なスイッチを基板につけてオン/オフできるようにしておいた。

それから、コンデンサの交換だが、元々のコンデンサをまず外さないといけない。これは、けっこう大変である。慣れない人にはちょっと難しいかもしれない。というのは、そう簡単に外れないときがあるのである。やってみてわかったが、まず、半田吸い取り線の使用は必須な感じ。とにかく無理をせず、落ち着いてやることが重要である。僕も、結局、一箇所だけ基板のプリント銅箔を剥がして、痛めてしまった。

結果

さあ、お楽しみの結果だが、まだライブでやってないからちゃんとは分からないのだけど、自宅で小さな音で鳴らしてみた限りは、あんまり違いが分からない。なんか、残念感が漂っちゃう。ところで、BRIGHTコンデンサのC3は結局のところ外して弾いている。やっぱ、アレはない方がいい感じ。

さて、それで、実は、ここ最近、この改造ブルースジュニアで珍しくギターの練習をしている。ジミヘンの有名なスローブルースのRed Houseをクリーントーンでしつこく練習しているんだが、なんだか、1週間ぐらいたって、クリーントーンがやけにメロウな感じに響いているのに気が付いた。

おお、ひょっとすると、これはオレンジドロップ交換の成果かもしれない! この手のものって、交換してからエージングというものが必要で、きっと、エージングが済んで、本領を発揮し始めたのだ、そうだ、きっとそうだ、そうに違いない!

と、思いたい気持ちでいっぱいだが(なにせ3000円ぐらいかかってるし)、まあ、単にオレのギターが練習によってうまくなっただけかもしれない。あ、もっとも、そっちの方がよほど喜ばしいことだけど。

というわけで、次回は、ライブでの使用レポートと、行きましょう。

ブルース・ジュニア改造

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Aug 312010
 
Fenderの廉価版フルチューブアンプ”Blues Junior”

Fenderの廉価版フルチューブアンプ”Blues Junior”

さて、ここでは、さいきんのフェンダーのギターアンプでわりと売れてるらしい廉価版真空管アンプ「Blues Junior」の改造について紹介しようと思う。

実際の話、フェンダーのチューブアンプについて語るなら、BassmanだTwinだデラリバやなにやら、いくらでも正規ものがあるわけで、そっちが筋であって、ブルースジュニアなんてしょせんは初心者向きでまともに取り合えないぜ、という考え方もあるのは確かだ。

しかし、ここさいきん、いろんな中程度の広さのライブバーに出かけて、実際にそこでライブをやったり、ブルースセッションなどに参加することがあるのだが、このブルースジュニアを置いている店はけっこう多い。特別に「ライブハウス」と銘打った店ではなく、定員が50人以下で「演奏もできる店」というタイプである。これは、理由はたぶん簡単で、ブルースジュニアは、価格が安いのにフルチューブアンプでけっこう音がよく、あまり重くなくてでかくもなく15Wと小型だが音量が充分に出る、ということだと思う。フェンダーも、きわめていい線をねらってきたな、と感心する。

というわけで、ブルースジュニアは自分的に、けっこう身近なアンプなのである。

さて、先日とある小さなハコでライブをやることになったのだが、そこの据付けのアンプが半分以上へたっていることが判明し、ちょっと演奏のクオリティを出す自信がない、ということに遭遇した。おりしも、自分の使っている、ギター、エフェクター、シールドなどなどを次々新調して、せめて自分の演奏の音のクオリティを上げようとしていた矢先だったので、悩んだ末、自分専用のアンプを買ってしまうのはどうか、と考えた。

自分は車を持っていないし重くて巨大なギターアンプをライブごとに持ち運ぶなんて論外だと思っていたので、それまではアンプを買うなんていうのは考えてもみなかった。しかし、ここでブルースジュニアを思いついたのである。先に書いたように、さいきん自分が演奏するハコは小さいので、ほとんどブルースジュニアで間に合ってしまう。しかも、ブルースジュニアは14kgで、ガラガラのキャリーにくくればぎりぎり手持ちできる重量とサイズなのだ。

で、問題はひとつ、「音」、である。このブルースジュニア、なんだかんだで初心者用なのは確かで、フルチューブとはいえ、なんとなくイマイチ感が漂う。そうか、ならば、改造して自分好みのアンプにしちゃおうか、というわけで、購入+改造作戦を始めたのだった。

ブルースジュニア購入

まずは、とにかく買うのが先決だ。どうせなら中古ではなく新品から改造して行きたいので新品を探す。結局、6万円ちょっとで購入。フルチューブアンプとしては、えらく安いと思う。それで、まずはそのまま使って様子を見よう、ということで先に書いたお店のライブのとき、手持ちで持ち込んだ。いくら軽めだとはいえ、14キロはさすがに疲れたが、まあ、それほど重労働ってわけじゃない。

その日のライブは、新品のブルースジュニアに、74年のストラト、エフェクターは自作のFuzzFace、そしてVOXのワウである。わかりにくいと思うけど、音はこんな感じだった。この演奏は、FuzzFaceを踏みっぱなしで手元VOLで音量コントロールしている。

それで、ライブ1セットで弾いてみた感想である。まず、音量だが、満員で50人ぐらいのハコで、ギター、ベース、ドラムの3ピースバンドであればまったく十分である。実際、マスターボリュームは半分以下で充分な音量だった。肝心の音の方はどうかと言うと、どうも高音がきつすぎる印象である。単純にキンキンしていて、なんだか音に腰がない感じである。フェンダーらしいといえばらしいが、ちょっと音がキラキラしすぎである。

Billmさんの改造

さあ、以上いう実験結果を受けて改造である。回路図は購入すればちゃんとついてくる。以下の通りである。かなりでかいファイルなので見にくいが、元の図面もそもそも見にくい。

ブルースジュニアの全回路図

見ての通りフルチューブと言っても、いくらか半導体も使っている。まず整流がシリコン、まあ、これはいいとしてリバーブの反響音を作る回路がオペアンプである。あと、FATスイッチのところにFETが一つ使われていて、最初は「この半導体で歪ませてるのか」と思ったのだけどそれは違っていて、これは2本目のプリ管のカソードバイパスコンデンサを入れるか入れないか電気的に制御しているだけであった。

というわけで、ギターの音が通っているところは一応すべてチューブであり、フルチューブアンプと呼んでもいいと思う。

さて、こいつの改造だけど、回路図を見ているといろいろやりたくなるところはあるが、どうもやみくもにやってしまうのも道が長そうである。そこで、実績のある改造をまずはやってみようということで、ブルースジュニア改造記事をネット探した。日本ではさっぱり見つからないが、さすがにアメリカではぼろぼろいくらでも出てくる。その中でもけっこう有名なのが以下のサイトである。

Billm Audio

このサイトは、非常に詳しく分かりやすく写真入りでブルースジュニア改造を紹介していて、すばらしい。しかも改造キットも販売していて、ブルースジュニア改造実績1000台越え、とかすごいことも書いてある。この人、素性は知らないがたぶんプロではなくアマチュアであろう。そういう人が、詳細なサイト作成運営、改造キット販売、改造コンサル、改造作業も請け負っているとは、うーむ、さすがアメリカ、層が厚い、というか、DIYの精神がすごいというか、こういうところは感心する。

さて、ここでは、このBillmさんの改造で、自分がやってみたものを、改めて、その方法も含めて日本語で紹介してみよう、というわけだ。現在までで僕がやってみたのは以下のとおりである。

(1) トーンコントロール改造。Middleの利きをよくする
(2) Presenceコントロール増設
(3) 結合コンデンサの容量を変える(これはオリジナル)
(4) Brightコンデンサ交換(これもオリジナル)

サーキットボードの外し方

さて、まずは、サーキットボードの外し方である。Billmさんのサイトではココで解説されている。改めて、ここで写真入りで手順を紹介しておこう。

Billmさんのサイトでも、ここで但し書きが赤字で入ってるが(こんなことをここに書くのはshameだがと前置きしてw)、僕も一言。これを真似するときは自分のリスクでどうぞ。半端な知識でやると感電したり、アンプを壊したり、煙が出て燃えたり、いろいろあります。らに重要なのは、いったん改造してしまうとメーカーの保証は受けられなくなっちゃいますんで、そこんとこは、よろしく! 真空管の勉強については僕の「超初心者のための真空管アンプの工作、原理、設計まで」ってのがありますんで、是非。

さて、ブルースジュニアは、手配線(ポイント・トゥ・ポイント)ではなく、プリント基板である。まずはこの基板(サーキット・ボードとも言う)を外さないと、いけない。手順は以下である。

(1)ACプラグを抜いて裏板を外す

当たり前だが、まず、ACプラグを抜く。感電したらシャレにならない。それで裏板を止めている6本のネジを全部外し、裏板を取り外す。そうすると下のように中身が見える状態になる。

裏板を外した状態

裏板を外した状態

(2)電源回路の電解コンデンサーの放電

4つの灰色の大きな電解コンデンサが見えるが、これらに高圧がチャージされている状態だと感電するので危ない。ふつう、真空管がちゃんと熱くなっている状態(音が出るふつうの使用状態)で電源をオフにすれば20秒ほどでこれらは放電しているはずだが、電源を入れてすぐ切ったりすると残っていることがある。なので、まず最初に、テスターで一番大きな電解コンデンサの両端の電圧を測って、それが10V以下であることを確認してから作業した方がいい。もし、これが100V以上とかになっていると危険なので、10kΩていどの抵抗を介して放電してから作業する。

電源部の電解コンデンサー4つ

電源部の電解コンデンサー4つ

(3)束線バンドを切る

ケーブルを傷つけないように注意して束線バンドをニッパーで切っておく。

(4)ツマミとギターインプットジャックのナットの取り外し

パネルのツマミを全部抜く。ツマミは差し込んであるだけなので、ゆっくりと均等な力をかけて無理しないように抜き取る。中を見ると分かるが、ポット(ボリューム)はけっこうヤワで、プリント基板に直接半田付けされていて、壊れやすい。外れにくいツマミがあったときも無理せず、基盤側のポットをしっかり押さえて少しずつ抜く。あと、入力ジャックのナットを外す。

(5)スピーカーアウトとFATペダルのナットを外す

スピーカーの上あたりについている2つのジャックのナットを外しておく。

FATペダルとスピーカージャックのナットを外す

FATペダルとスピーカージャックのナットを外す

(6)電源トランスと出力トランスへ行くケーブルのプラグを抜く

赤、茶、青のケーブルの金属プラグが基盤に刺さっているので、これらを抜く。電源トランスからは赤2本、茶2本、緑2本の計6本、出力トランスからは赤1本、青1本、茶1本の計3本である。けっこう固いので、落ち着いて少しずつ力を加えて抜いて行く。このときケーブルを持って引っ張らないこと。ケーブルが断線してしまう。あと、電源トランスの同じ色2本は極性がなく逆でもOKなのでご心配なく。

出力トランス(OPT)と電源トランス(PT)のケーブル計9本を外す

出力トランス(OPT)と電源トランス(PT)のケーブル計9本を外す

(7)プリント基板のネジを外す

基板上のネジを全部外す。さて、この状態でプリント基板は外れるようになり、基板の裏面にアクセスできるようになる。この状態においてもまだ、リバーブタンクへ行く線やパイロットランプへ行く線などが残っているのだが、うまくケーブルをさばくことによって基板は外すことができる。ただし簡単には外れない。

基板にまだ接続されているケーブル類に余計な力が加わってしまわないように充分注意して、ゆっくりと全体のケーブルをさばきながら外して行く。なかなか外れないからといって、くれぐれも無理をしないように。ここで無理をすると、基板のプリント配線破損やケーブル断線など、かなりヤバイ事態に発展する。ここに来て、あ、オレやっぱ無理かも、と思ったらすみやかに自力改造は止めて、慣れた人を探すことをお勧めする(冗談抜きで)

プリント基板が外れると、こんな風になる。さあ、これで改造ができるようになったわけだ。

基板が外れたところ

基板が外れたところ

(8)元に戻すとき

以上のプロセスを逆順にする。ただし、ギター入力ジャックとFATスイッチはけっこう壊れやすいようなので注意する。特に入力ジャックのナットは締め付けすぎると基板側を壊してしまうようなので、やさしく扱うこと。

それでは、改造4種

では、今回改造したところを紹介して行こう。

(1)トーンコントロール回路改造

トーンコントロール回路改造には2つある。

まずはBillmさんの「Tone Stack Mod」である。これは、BASSコントロールへ行っている0.022μFのコンデンサの値を0.1μFに変更する、というものである。これはたとえばPrinceton Reverbで使われている値なのだそうだ。

トーンコントロール回路のTone Stack Mod

トーンコントロール回路のTone Stack Mod

どういう風に変わるかについてはBillmさんのココにあれこれ詳しく書いているが、要は「ベースを強調することでBlues Junior独特のこもった音を解消する」ということだそうだ。まあ真偽のほどは置いておき、昔のFenderのアンプではたしかにここの値は0.1μFが主流なことは確かなようである。

Tone Stack Modで交換するコンデンサ

Tone Stack Modで交換するコンデンサ

実は、もともとついているコンデンサを外すのもちょっと大変な作業なのである。重要なのは、巨大な半田ゴテでやらず30Wていどのものを使うこと、必要以上長時間コテを当てないこと、無理してやらないこと、である。基板の銅パターンを壊してしまうことがあるからである。

はい、お次は、Billmさんの「TwinStack Mod」である。トーンコントロールをFenderのTwin Reverbのタイプに変更する、というものである。これはけっこう簡単な改造で、トーンのMiddleのボリュームの一箇所をジャンパーでショートするだけである。Middleの裏側のところを下のように線でショートする。

TwinStack Modのジャンパー部分

TwinStack Modのジャンパー部分

これは何をやっているかというと、こういうことである。ブルースジュニアでは、トレブル、ミドル、ベースを全部ゼロにすると、なにやらもやもやっとした音が出る状態になる。これはミドルのレベルが落ちきらずに少し出てきているのである。それで、これを改造してツインリバーブタイプにすると、以上3つをゼロにすると音はまったく出なくなる。そっちの方がいい、という解釈である。

TwinStack Modの回路

TwinStack Modの回路

Billmさんのココのページの説明によれば、この改造によって「Middleツマミの利きがとてもよくなり、よりクリーンでブライトなクリーントーンが得られ、さらに、より面白いディストーションサウンドが得られる」そうである。

(2)PRESENCEの増設

これは、ブルースジュニアにはついていない、いわゆるPRESENCEコントロールを付加する、という改造である。実は、この改造によりトーンはかなり劇的に変わる。ブルースジュニアではまあまあな量のNFB(負帰還)がかかっており、このPRESENCEによりそのNFBを調整できるようにし、全開のときはNFBをほとんどオフにできる(無負帰還状態)のである。PRESENCEの原理については僕のサイトのココを参照していただきたい。

この改造はちゃんとやろうとするとかなり大変である。次の写真のように前面パネルのFATスイッチの下の場所に穴をあけ、そこにPRESENCEコントロール用のボリュームを取り付ける、ということをする。

Billmさんの改造での増設Presenceツマミ

Billmさんの改造での増設Presenceツマミ

これで自由にPRESENCEを調整できるようになり、かなり快適なのだが、それなりに大変なので、とりあえず自分は、こんな風にしてみた。30kΩの半固定抵抗をR25の7.5kの両端に半田付けする、という方法である。当然、これは裏板を外した状態じゃないと回せないので、まったくイマイチだが、これを自分の好きな位置にしておき、その状態で使おう、というわけだ。基板上ではこんな感じである。

半固定抵抗によるPresenceコントロール

半固定抵抗によるPresenceコントロール

実はこの可変抵抗を今はR25につけているが、これをどこにつけるかでいろいろ変わる。R25の両端だと最大にしたとき「PRESENCE全開」になり、高音が強調されたギラギラした音になる。

Presenceの回路図

Presenceの回路図

ここで、PRESENCE全開はギラギラすぎてイヤなので、高音だけでなく「全体に歪みっぽい感じを出したい」のであれば、半固定抵抗はR25の上側とグラウンド(C13の下側)に入れるといいかもしれない。まあ、とにかく、このへんは実際に音出ししながら試行錯誤が必要であろう。

(3)結合コンデンサ交換

Billmさんの改造では、結合コンデンサは残らずぜんぶオレンジドロップに交換する。そうすることで、こもった音をなくし、ディストーションをクリーミーにし、甘いクリーントーンが得られる、などなど、いろいろ書いてあるところは、ネット上に山のようにあるコンデンサ銘柄によるトーン作りそのものである。

僕の場合、実は、最初の方で言ったようにブルースジュニアをそのまま使ったら高音がキンキンで腰がないように感じられたので、とりあえずちょっと結合コンデンサの容量を増やしてみようと、考えた。もっとも、こういうのってほとんど根拠なしで、容量増やしたからって「音に腰が出る」わけじゃないんだけど、ブルースジュニアの回路を見ると結合コンデンサはほとんど0.0022μFとかなり小さいので、これを試しに少し大きくしてみたのである。

C2を0.0022から0.01に、C8を0.0022から0.015に交換してみた。コンデンサはただの手持ちのフィルムである。これで一度実地で使って様子を見てみようと思う。オレンジドロップ化は、まあ、それからということで。

(4)BRIGHTコンデンサの付け替え

実を言うと、これこそがブルースジュニアが高音キンキンしすぎる原因じゃないかと思う。初段の12AX7の後の1MΩのVOLUMEコントロールだが、ここになんと100pFが入りっぱなしになっているのである。

入りっぱなしになっているBrightの100pFコンデンサ

入りっぱなしになっているBrightの100pFコンデンサ

これはどういうことかというと、「つねにBRIGHTスイッチが入りっぱなしになっている状態」あるいは、「常にBRIGHT CHANNELを使っている状態」で、高音がキンキンして当たり前なのである。

ためしにこの100pFを外してみると、音は劇的に変わり、なんだかそのへんのふつうのFenderのアンプを弾いてる感じである。とはいえ、さすがになんだかこもった音に聞こえてしまう。思うに、先の結合コンデンサの容量を小さくしたり、トーンコントロールのベースを落としたり、BRIGHT入りっぱなしにしたり、など、ブルースジュニアは全体に高音を強調する設計になっているようである。

ここで、BRIGHTスイッチを増設する、というのが正しい気がするが、取り合えず、この100pFのコンデンサをいろいろ付け替えられるようにして、いい感じの値を探ってみようと思い、100pFを外して代わりに付け替え用ソケットをつけてみた。ソケットは、ICソケットをニッパーで切り離したヤツを使った。

付け替えできるBrightコンデンサ

付け替えできるBrightコンデンサ

ちょっとやってみたのだけど、250pFにするとさらにキンキンしたので、逆に68pFにしたら少しおとなしくなり、まあまあな感じである。ここは、47pFあたりがいいんじゃないかと思えてきたので、今度、秋葉原に行ったときに47pFのシルバーマイカでも買ってくるか、ってことになった。

出力アッテネータ

こういう改造をやっていて切実に思うのが、音出しをどうするかである。自宅でやっているわけで、音量を大きくできない。ブルースジュニアで規定の音量を出すとうちの場合、まず1分で苦情がくるだろう。かといって小さい音で試しても、音チェックにはほぼまったく役に立たない。これにはほとほと困る。

やはりこういうのは音がちゃんと出せるところで改造実験をするべきであろう。たとえば行きつけのライブバーに置いておいて、それでそこに半田ゴテやら部品やら持って行き、そこで改造し思う存分音出しチェックをする。うん、絶対、そうするべきだ。というのは、分かっているのだが、まあ、かたぎの自分にはそれも難しい。

と、いうことで、せめてアンプ側の音量をガツンと上げてもスピーカーからでかい音がしないようにアンプの出力に音を小さくするアッテネータをつけて当面それでごまかそうと考えた。

パワーアンプのパワーを落とすアッテネータは本来ならトランスみたいなものを使ってきちっとやるんだろうが、大変だし、売りもののアッテネータは馬鹿高い。そこでエー加減アッテネータを入れることにした。これは、次のような、ヘッドフォンジャック増設用の簡易抵抗アッテネータそのままである。

スピーカーの音を小さくする簡易アッテネータ

スピーカーの音を小さくする簡易アッテネータ

アンプから見た負荷は8Ωの固定抵抗、それでスピーカーは音量ボリュームで落とした電圧で鳴らすようにしている。こうすればスピーカー音量はかなり落とせる。全部をフルテンにしても音量は落とせるので、アンプでどんな歪み音になっているかを聞くことができる、というわけだ。

ただし、これはあくまで苦肉の策の仮であって、こういう状態であれこれ調整しても、いざ音量全開にするとスピーカーとキャビネットの効果、そしてそれらがアンプ本体へフィードバックすることによる音質変化(インピーダンス変化、ダンピングなどなど)によって、音はまるで変わる。ということで、あくまで仮である。

さてさて、次回は、この改造アンプを実地に持ち込んだ結果をレポートしたいと思う。

それからBillmさんの改造にはまだまだたくさんあるので彼のサイトを見ていただきたい。あと、もちろんBillmさんだけでなくたくさんのアメリカ人がブルースジュニアをあれこれいじり倒して改造しまくっている。FENDER DISCUSSION PAGEのフォーラムなどを見ると、英語で見づらいがすごい数の発言に圧倒されるであろう。

それらについては、また別の機会に紹介しようと思う。

超初心者のための
真空管アンプの工作、原理、設計まで

チューブ ギターアンプ エフェクト

 チューブギターアンプエフェクト  Comments Off on チューブ ギターアンプ エフェクト
Sep 192009
 

※この記事はHPから引っ越してきました

真空管ギターアンプを音作りのエフェクターとして使うプロジェクトである。そもそもの始まりは、ふつうにチューブギターアンプをスピーカーとキャビネット込みで作る、ということだったが、あれこれやっているうちに結局、ギターアンプにはスピーカーはつけずに、一種のエフェクターとしてその出力を、たとえばライブスペースにあるニュートラルなアンプにつないで音を出そう、というところに落ち着いた。

しかも、思いっきりちゃんとしたパワーアンプを作って、ダミー抵抗で受けて、クランチの時のサウンドも、いわゆるパワー管での歪の音を作れるようにしよう、という作戦である。したがって、出来上がりはそこそこ重くて、でかく、はっきり言って機動性は無いが、まあこのていどならライブだったら運んで行っていいかな、というていどのものに仕上げる。

このあと、これに真空管リバーブ回路をつけて、リバーブも込みですべてここでアナログっぽい音作りをしてしまい、極端に言うと出力をPAに入れて鳴らしちゃう、というのも考えている。これまでテストした限り、かなりいい感じの音に仕上がるので、これでリバーブを深めにかけてオールドなブルース、特に僕の好きなMagic Samなんかをやったらとってもよさそうだ。

仮組みテストの状態である

最初のプロジェクト

もともと作っていたアンプがFenderのChampのコピーだったので、ここでもそれで行くことにする。一番最初に作った時は、Champ回路を参考にして、日本製のありあわせのトランスを使って回路定数を設計しなおして作っていた。もう数年以上前になるけれど、そのころは真空管アンプがそこそこに設計できるようになって間もなかったので、自分でやりたくて仕方なかったのである。しかしそんな時期もとっくに過ぎ、今では古典回路をまるごとコピーしても何とも思わなくなった。アナログ装置における「回路」というのはたくさんの要素の中の一つに過ぎず、実際は、配線や実装、部品選び、そしてキャビネットなど、総合的なものだということが分かってきたからである。楽しみどころが実にたくさんあって、ホントいい趣味である。おまけにそれでいい音がでちゃったりすると、2度おいしいといった感じ。

最初に作ったChampもどきは、オークションで落とした校内放送用のスピーカーに組み込んでコンボアンプにまとめてしばらく使っていた。これである。

校内放送スピーカーに組み込んだFenderチャンプ風アンプ

このアンプについてはこちらに詳細を載せている。そして、このアンプで録音した音がこちらである。
クリーントーン
オーバードライブ
ギターは写真に写っている安ボロストラトである。これをHPで公開していたら、なんと、とある知らない人からメールが来て、このサンプルの音は自分が追い求めていた理想の音だ。これは無理を承知で言うが私に譲ってくれないでしょうか、というのである。へーえ、そうなんですか、いいですよ、ということであっさりと一万円でお譲りすることにした。実はそのときは、回路自体を分解してしまっていたので、再び組み上げて、しまってあった校内放送スピーカーを引っ張り出し収めて、その人にお送りした。

KendrickのRoughneck

さて、そんなわけで、最初に作ったアンプはなくなってしまったので、今度はFender純正の部品でもう一回、今度はまるごとコピーで作ってみよう、ということで、アメリカの電気のお店から通販でFenderChampの電源トランスと出力トランスを買った。アメリカのチューブアンプ関連サイトをあさると、すごく充実している。さすがエレキギター発祥の地である。チューブアンプを自作している人も山のようにいるし、回路だってほとんどすべて載ってるし、書籍もやたら出ている。部品だってどんなマイナーなものでもちゃんと揃っている。というわけで、僕が部品調達に使っているのは次のAntique Electronic Supplyというところである。

http://www.tubesandmore.com/

ふつうにWeb上でカートに入れて買い物をして、クレジットカード決算にすれば送られて来る。アメリカ以外は送料が25ドルかかるのでちょっとお高いけど、今なら円高でお得だ。

それにしても日本でFenderの部品って買えないんだろうか? 見つからないだけかな? 本当のところはパワートランスが問題で、100V仕様があるといいのだが。アメリカは119Vなので電源電圧が10%ほど減ってしまうのである。B電源は低く、ヒーター電圧も低くなるので、実はこれで音は変わってしまう道理だが、まあ、あまり気にしない。

さてさて、次に作ろうとした回路だけれど、ChampのMODEL 5F1というやつなのだが、実はアメリカのサイトで回路をあさっていたときにたまたまKendrickのRoughneckというギターアンプの回路を見つけ、それがすごく魅力的でそれにすることにした。これである。

KendrickのRoughneck回路図

Kendrickというのは、アメリカのテキサスのGerald Weberさんという人が作ったギターアンプ工房で、フェンダー系のオリジナルアンプを作るお店である。その頃、友人がこのKendrickのTweed アンプを買ったというので弾かせてもらったことがある。ストラトキャスターをプラグインしてボリュームを上げると、あのキラキラしたフェンダーサウンドでいっぺんに気に入ってしまったのである。ちょうど、スティービー・レイ・ボーンのデビューアルバムの1曲目のロックンロールのあの音そのものである。スゴイ!

そんなわけで、僕もすっかりKendrickが好きになってしまい、これまたネットでいろいろあさっていたんだけど、そのうち、このWeberさんがギターアンプの本を出しているのを見つけ、すぐに買った。これである。

「A DESKTOP REFERENCE OF HIP VINTAGE GUITAR AMPS」という本で、Fenderのチューブアンプを時代順に解説して、それ以外にも、改造ネタやヒントなどなどがたくさん載っている。なんと言ってもギターアンプの回路図が半端じゃない量収録されていて、とてもいい。たしかにネットにもあるけれど、やはり紙になっているのはいい。回路図については FenderだけじゃなくてMarshallやVoxなんかも載っている。これをずいぶん何度も読んで、かなり勉強した。

上記のKendrickのRoughneckは、本の中に書いてあるようないろんな改造ノウハウを使って FenderのChampを改造したものをオリジナル製品として売っているものである。上の回路図も、Fenderのオリジナル回路図のところどころを消して書き足して作ったもので、面白い。ついでに言うと、なんで僕はMarshallでもVoxでもなくFenderかというと、本に収録されたこれら手書きの回路図がFenderのものが一番カッコよかったから、というのもある。実は、自分は、回路図オタクなところがあって、カッコいい回路図じゃないとイヤなのである。たとえば、真空管とトランジスタを混ぜたハイブリッド回路ってのがあって、そういう新しい真空管の世界を追求している人たちがいるが、僕の場合、あれは、技術がどうだとか、音がどうだ、とかいうのはどうでもよく、なにより回路図が美しくならないので全てNGである。カッコ悪いったらありゃしない。

この性癖は、実は僕が小学生だったころの名残りのようである。小学生だった自分が初めてラジオ作りなど始めたとき、なんと言っても自分を惹きつけたのが、あの、当時の自分にはわけの分からない記号が絡み合った回路図と、手書きで書かれた実体配線図だったのだ。ひところなど、大学ノートに何も分からないのに本に載っている回路図や実体配線図を鉛筆できれいにスケッチしまくっていた時期があった。このように、電気については、自分は完全に視覚の美しさから入ったのである。それが、今でも残っている。

さて、Roughneckであるが、オリジナルのフェンダーといくつか違いがある。

  1. パワー管を6V6GTから6L6GCに変えてパワーが上がっている
  2. ドライバーは12AX7から5751に変えている。違いはよく分からないが5751は高信頼管で、ノイズなどに強いかも。あと、いくらか増幅度が小さい
  3. 整流管を5Y3からGZ34(5AR4)に変えてB電源を少し高くしている。あと傍熱管にしたことで電源オン時のチューブへの負担は小さくなるはず
  4. ギター入力にBrightチャネルを作っている
  5. 初段のカソードにバイパスコンデンサーを追加してゲインを上げている。5F1ではこれが無い(5E1には入っている)
  6. NFB抵抗をオリジナルの22kΩから56kΩに変更して歪み感を増やしている
  7. 段間コンデンサーをOrange Drop、電解コンデンサーをSpragueAtomにするなど使用部品にこだわっている
  8. スピーカーを変えている

ざっとこんな感じである。すごく興味のあることろだ。さて、ほどなくしてフェンダーの純正トランスが到着した。しかし、そのころは何に興味が移ったのだか忘れたのだが、なんか別のことをやっていて部品はずっとそのまま放置されたままだった。

チューブギターアンプ エフェクター

これまた気まぐれで、あるとき、せっかくFenderのトランスがあるんだから作ってみようか、という気になった。実は、ずいぶん昔に古物屋で買った、米軍の放出品で、いかにも戦争っぽいルックスの鉄の箱があり、これに全体を収めエフェクターとして持ち歩けるようにしたらカッコいいかな、なんて思ったのである。しかし、知り合いのギタリストに話したら、あのさ、そんな重いエフェクター持ち歩くの最初だけ。ミュージシャンは機動性第一。と言われ、なるほど確かに、と納得してしまった。だいたいが、オレってギアにこだわらず、しかも不精なので、練習にはギターは持って行かず店の借りるわ、あげくの果てにライブにギター持って行くの面倒くさいから店据え置きのボロギターでライブステージやっちゃうわ、と重症にテキトーなヤツなので、たしかにこんな重くてかさばるエフェクターを持って行くはずがない。

そんなこんなで、再び放置。

しかし、ヒマだったんだか、あるとき、とうとうこれを組み上げる気になった。とはいえ、正式組みではなく、そのへんに転がっていた穴の開いた使い古しアルミシャーシーに部品を乗せて、ジャンク箱の部品をあさって超いい加減に作ったのであった。それが、このページの最初にある写真のものである。回路はこれである。

Roughneckを元にした回路

ほとんどRoughneackだけどちょっとだけ違う。しかしたいした違いではない。一番大きな違いはパワー管が6L6じゃなくてChampと同じく6V6なことかも。ダミー抵抗が4Ωじゃなくて8Ωなのは単に手持ちが無かったからである。

できあがって、最初に試したギターはSGである。この頃は、古道具屋で6000千円で買ったネックが上の方で折れて内部回路が切れている韓国製偽SGに夢中で、まず、これをつないだのである。ちなみに、このニセモノSGをそのころ自力でリペアして、ライブとかで使っていたのである。さて、このSGをチューブエフェクターに突っ込んで、出力をVoxの安いデジタルアンプにつなぎ、セッティングをクリーンなフラットにして弾いてみた。そうしたらこれがスゴイいい音! ウォームでナチュラルなディストーションは、これはもう、ブルースブレーカーズ時代のエリック・クラプトンそのものじゃないか! すごいすごい、と一人で喜んじゃったよ。

しかし油断は禁物である。なぜかというと、こういう歪系エフェクターは、実際にバンドでドラムやベースとあるていどの音量で弾かないと分からないのである。往々にしてあるのが、一人で弾いてると抜群なのに、バンドで弾くと音が埋もれちゃって表に出てこない、という事態なのである。そこで、さっそく、行きつけの三軒茶屋のStage pfという演奏し放題バーへ持って行ってテストすることにした。ちなみに宣伝がてらに言っておくと、Stage pfは三軒茶屋駅前のキャロットタワーの道向かいにある店で、チャージを2500円(ワンドリンク込み)払うと、お店の楽器を演奏し放題というところで、手ぶらで行って演奏するには抜群のお店である。楽器は、ほとんど無いものがない、というほど充実している。ここに持ち込み、その日に来ていたドラムやベースの人たちとセッションした。結果は完璧。音が前に出て弾いていて非常に気持ちがいい。

というわけで、このチューブギターアンプエフェクターはかなり使えるヤツだということが分かった。家でVoxのアンプにつないで電子バッキングを流して演奏したブルースがこちらである。

サンプルブルースプレイ

SGのリアピックアップで、アンプのボリュームは7ぐらい、Voxはクリーンでフラット、弾きながらギター側のボリュームをいくらかいじっている。うん、なかなかいい音じゃないか。

いろいろいじる

うまくいったので、次は仮組みから本組みへ行きたいところだが面倒くさい。どうも自分は、工作が好きなわりにはそれほどでもないらしく、半田付けやらなにやら面倒くさくてかなわない。いろいろ構想したり、テストしたりするのは楽しいんだけど、本格的に組み上げるのが苦手である。というわけで、またまた放り出すことになった。そうこうしているうちに、別の工作で手持ちの部品が足りなくなり、仮組みのコイツの部品を取り外して他に使っちゃったり、解体寸前である。

なーんてことをしているうちに、友人のうちにお呼ばれしていった時のこと。彼のうちには、100万も200万もするギターやらアンプやらがたくさんあるのである。そこで、65年のオールドのストラトキャスターを、フェンダーのスタンドアロンのチューブリバーブユニットに入れ、それをSOLDANOのチューブアンプで鳴らしたところ、物凄い音で、改めて最高のギアで鳴らすギターの音の次元が違うことを再認識した。ネックの折れた6000円の偽SGで遊んでる場合じゃない、っていうか、もう、そんなことしてる貧民階級とは根本的に音のクラスが何段階も上、みたいな印象なのである。さすがに参った。こんな音がステージで出せれば、ふつうに弾いてるだけで、音でお客さんを魅了できそうな気がした。

しかし65年ストラトとSOLDANOは以前から知っていたのだが、このフェンダーのリバーブは初めて見た。これがフェンダーのリバーブユニットか。裏を見ると真空管が3本、それと馬鹿でかいリバーブタンクが見える。リバーブかけるしか機能がないくせに、キャビネットなんかむやみに大きい。100Wのギターアンプヘッドぐらいの大きさがある。この無駄さが気に入った。それで、リバーブのかかりだけど、やっぱり何だかおおらかでスケール感があってとてもいい。友人によれば、やはりあのバカでかいリバーブタンクがポイントなんだそうだ。こうなると、がぜんと自分で作りたくなる。回路図は持っているのだ。作れないことはない。これである。

フェンダーのスタンドアロンチューブリバーブユニット回路図

それで思いついたのだけど、あ、そうか、あの仮組みで作ったギターアンプエフェクターに、このリバーブ回路を組み合わせて音作りできるようなものを作ったらどうだろう。例の歪みエフェクターも、歪みとして使うより、むしろアンプシミュレータ的にフェンダーっぽい音を作るのに使ったらどうだろう。もちろん、ボリュームを上げれば歪み用にも使えるわけだ。

ということで、またあの仮組みを引っ張り出してきて、鳴るように元に戻して、今度はSGじゃなくてストラトキャスターをつないでみた。以前はSGをつないで満足しちゃったせいでストラトでは音出しすらしなかったのである。自分の持っている唯一のまともなギターである 74年ストラトキャスターをつないで弾いてみたら、なんだ! ストラトをプラグインしたこのアンプシミュレータ、すごくいい音じゃないか! これはこれでレイボーンみたいな音も出るし、Laylaの中のクラプトンみたいな音も出ている。そっか、これ、やっぱ使えそう、ということになった。

そこで、ちょっといろいろいじってリファインすることにした。まず、真空管だが、6V6GTをいろいろ変えてみた。 6V6GTは自分はなんだか好きな真空管で、すごく地味な感じがするんだけど惹かれるところがある。自分の部屋用のオーディオパワーアンプも6V6GTのプッシュプルである。このオーディオアンプはまたそのうち紹介したいけど、けっこういい音で気に入っているものだ。

ということで、秋葉原とかぶらついていて、6V6GTがジャンクとかで転がっていると何となく買ってしまう。といっても、まだ少ししかないのだけど、まず、Sovtekの新品6V6、それからRCAの一部壊れたジャンク6V6、それからどこのものか不明の汚いジャンク 6V6の3本持っていたので、とっかえて音を出してみた。ちなみに前述のサンプルプレイに使った真空管はRCAのボロいやつである。Sovtekは音はでかいが、どうも硬い音になる。あと、新品なくせしてオーバードライブするとバリッというノイズが入ったりする。使えない。RCAはなかなかいい。ちょっとクリーミーな感じ。最後の汚いやつは、これまたなかなかいい。RCAよりゲインが大きく、くっきりしていていい感じだ。ということで、この汚いやつが良さそう、ということなった。このページの最初の写真に写ってるのがそれである。

それから、それほどひどくないが、さすがにハムがちょっと気になる。ChampはB電源のフィルターコンデンサーの値が見ての通り小さく、ハムを取りきれないのである。じゃあ、でかくすりゃいいじゃないか、というとそうではなく、このCが小さいせいで電源のレギュレーションが微妙に悪化し、音をコンプレスする働きをするそうなのだ。微妙に歪み感が出る、というか。フェンダー系ギターのあの、しゃきっとした、ジャキーン、みたいなキラキラした音は、豊富なハーモニックスが含まれていればこそで、単に上下クリップのファズ系歪みではダメで、倍音の絶妙でリッチなブレンドから生まれるのである。こういった音作りにはハイファイオーディオの知識はあまり役に立たず、むしろ逆の事になることも多い。というわけで、電源のフィルターコンデンサーは考えなしに大きくしてはいけないのである。

とはいえ、エフェクターとしてハムは抑えないといけない。そこで、色々試して、結局スクリーングリッドのところに入っている10μを22μに増やすことでほぼ許容できるところまでハムが小さくなったので、それを採用することにした。あと、弾いてみるとストラトだと若干ゲインが足りず、ハーモニックス感がいくらか薄れるようだ。そのため、Roughneckと同じく初段のカソードには22μのバイパスコンデンサを入れることにした。

以上たいした改良ではないが、最終的にフィックスした機械のこの音は使える。近いうちに、こいつにフェンダーストラトキャスターをプラグインした音を録音して載せるつもりである。

現在は、リバーブに必要な部品がアメリカから届くのを待っているところである。あのバカでかい3スプリングのリバーブタンクと、フェンダー純正のトランス類、そしてリバーブタンクドライブ用の6K6あたりを購入した。届くまでに回路を考えておかないとな。

しかし、オレってヒマなやつだな! ヒマないのに!(笑)

フェンダー系ギターアンプの自作

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Sep 022009
 

6L6GCシングルエンドによる5Wギターアンプ

※この記事はHPの「真空管工作一覧」から引っ越してきました。

きっかけ

好きなブルースギタリストはMagic Sam、ここしばらくずっとJimi Hendrixに夢中だった僕としては、やはりギターはフェンダー、そして好きな音は、しゃきっとして、高音弦が鈴のように響く、あのフェンダーサウンドである。オールドフェンダーアンプにストラトキャスターをプラグインして、エフェクターを使わず、真空管のナチュラルディストーションだけがかかったギターのかっこ良さを再認識したのは、Stevie Ray Vaughanを初めて聞いたときだったかもしれない。彼のデビューアルバム、テキサス・フラッドの一曲目の頭に鳴り響くあのギターの音、これぞフェンダーの音、という感じがする。もっともあの録音で使ったアンプはフェンダーではないらしいが。

僕は元来、ギターにもアンプにもエフェクターにもかなり無頓着なのだが、そうは言ってもやはり欲しい音というのはある。ギターマイクをヴァンザントに付け替えたり、ディストーションをずいぶん買い換えて、最近は3万円もするHot Cakeを愛用していたり、と、ひと通りの努力はしているのである。しかし、ギターアンプとなると持ち運ぶのを最初からあきらめているので、スタジオ、ステージ共に、出たとこ勝負でそこにあるやつを使っている。そんなとき、たいていの場所に配備されているローランドのJazz Chorusに慣れておくことはけっこう重要で、練習でもたいていこれを使っている。このJazz Chorusだが、最近あまりに使うのが当たり前になってしまったせいで、考えもしなかったのだが、実際は、僕の好みとおよそ正反対の音がする。

そんなとき、ブルース好きの友人のギタリストから、Kendrickというメーカーのアンプを買った、というメールが入った。長年来欲しかったそうで、ついに入手し、音を出してみると、あまりの音の良さに、自分で弾いて自分で鳥肌が立ったほどだ、と感激している。彼はギターにも、ブルースにもとにかく博学で、何でも知っているやつである、ということはよほどすごいのだろう。今度、弾いてみてください、とある。そこで、ある日のジャムセッションで問題のアンプにストラトをつないで弾かせてもらったら、たしかに、凄い、これは、かなりぶっ飛びの音である。ツマミはボリュームとトーンがひとつずつあるだけ、両方ともフルにして弾くだけで、ほとんどレイ・ボーンの音そのものに聞こえる。

ギターアンプの回路あさり


調べてみると、ケンドリックはハンドメイドのギターアンプのメーカーで、友人の買ったアンプは、50年代製造のオールドフェンダーアンプをベースにして、プリント基板を使わず手配線で、部品、キャビネット材などを厳選して作られたものだと分かった。当然ながら、半導体は一切なく、オール真空管である。最近、真空管づいている僕としては、がぜん興味のわくところである。

そこでさっそくインターネットで、真空管ギターアンプの回路図を探してみた。真空管オーディオアンプの自作のページはやたらとたくさんあるのに対して、ギターアンプ自作はわずかしか見当たらない。ほどなくして、ふと気が付いてYahoo USで調べてみた。するとこれがまあ、出てくるわ、出てくるわ、山のようにある。メーカー品の回路図だって、ほとんど出回っているのではないだろうか、ふんだんに載っている。そうか、さすが、エレキギターの本場アメリカは違う、この充実ぶりは日本とは比較にならない。それ以来、ひたすらアメリカのサイトを漁り回って、いろいろ知識を仕入れにかかった。

オールドフェンダーアンプの回路図の大半は手に入った。見てみて驚いたが、これが非常にシンプルな回路なのである。弾かせてもらった友人のアンプのオリジナルはどうやら、5極パワー管6V6のプッシュプルで、初段に3極管12AX7を2、3段使っているもののようである。このオリジナルの回路に対して、さらに、ケンドリックの生みの親Gerald Weberさんの改造が加えられているのである。それにしても回路的には思い切り変哲ない。しかし、この中にいろいろな秘密がつまっているのであろう。なにせ、実際に弾いてみたときのあのゴージャスな音は尋常ではないからである。

こうなると、自分でもがぜん作ってみたくなる。特にギターアンプは、出てくる音の善し悪しが、オーディオアンプに比べてどう考えてもはっきりしている。いや、そうではないか、20年以上ギターを弾いている僕としては、ギターアンプから出てくる音に関しては、かなり耳がこえているわけで、数ヶ月前に始めたハイファイオーディオを聴く耳の比ではない。それに、ギターアンプの場合はどう考えても、音作り、という面が大きく、音の個性が最重要なので、いろいろいじって遊べそうでもある。そこで、最もシンプルなやつを練習用に作ってみることにした。

どんなギターアンプにするか

設計回路図

回路図はあるので、クローンを作っても良かったのだろうが、何となく自分だけのものが作ってみたい気の方が大きく、自前で設計してみた。とはいえ、ベースになる回路をFender Champシリーズのシングルエンドの小出力のものとし、電源電圧を下げ、整流管をダイオードにして、回路係数を設計し直したものである。今では、シングルエンドなら何とか設計できるようになっているのである。パワー管に6L6GC、プリアンプ部には12AX7を一本使い、二段増幅する、もっともシンプルな構成である。設計と言っても、ハイファイアンプじゃない、という意識があるので結構大雑把である。まず電源電圧を決め、後は、特性表を手に入れて負荷線を簡単に引いて、バイアス電圧を決めて、カソードの抵抗値を決定するていどである。オーディオの場合は、歪み率最小条件などいろいろあるようなのだが、すべて無視である。これは、後で聞いた話しだが、プッシュプルの片方の真空管を抜いて鳴らしたら、凄まじくいい音だった、などという報告まであるのがギターアンプの世界である。種明かしは、AB級シングルエンドになったせいで波形が上下非対称、その音が最高、という訳である。ハイファイオーディオとはかなり世界が異なっている。

また、僕が普段ひいているギターアンプはたいがいコンポタイプで、スピーカーそしてキャビネットとアンプが全て一体になっているものである。特にギターアンプでは、スピーカーとキャビネットの質で音が激しく変わると言われているので、アンプ単体で作るというのはあまり意味をなさないのかなあ、とも思ったが、これも練習ということで、家にあるオーディオ用スピーカーボックスで鳴らすと割り切って、アンプ部のみの製作とした。したがって、いつものボックス型アルミシャーシーで取りあえず製作することにした。前面パネルに並ぶ、ツマミや、スイッチ、パイロットランプなどは、今までのオーディオアンプのすっきりしたスリムな雰囲気と異なり、いかにも「高圧~ヘヴィーデューティー~ミリタリー」という感じのルックスにすることにした。

部品集め


秋葉原へ行き部品集めであるが、特にこだわったものはない。ただ、真空管だけは、同じ型式でも実に多種多様に出回っているので、しばらく店頭で悩んだ。ギターアンプはオーディオアンプと異なり、歪ませて使うことがむしろ基本で、その歪み方がいかに美しいかを追求するという面がある。高域は耳障りにならずキラキラと、中域は音痩せせずにしっかりしたボディを持ち、低域は野太く歪むが高域のキラキラを食ってしまわない、そんな音が欲しいのである。オーディオアンプでこれらあいまいな形容詞が出てくると、僕などはいまだに怪しんでしまうのだが、ギターの音となると、切実に理解でき、想像できるところは、まあ、現金なものである。さて、このころはまだ真空管の知識がなかったので、出たとこ勝負であるが、ラジオデパートの三階で、ちょうどSOVTEKの 6L6WGCが1200円で、同じくSOVTEKの12AX7WAが700円の安値で売っていたのを見つけ、購入した。後で分かったが、ギターアンプとしてはそれほど間違っていない選択だったようである。

もうひとつ重要なのがトランスであるが、いつもの東栄トランスで購入した。出力トランスはだいぶ迷って1次側2.5Kの5Wタイプのものを購入したが、これはちょっと失敗だった。設計上も、無信号時のプレート電流が75mAと、かなり大きい。このトランスでは定格ぎりぎりなのである。今後の改造の時にも問題になりそうなので、10Wタイプを買うべきであった。電源トランスは220Vで、そこそこ余裕のあるものを買った。ところで電圧をオリジナルフェンダーより低くしたのは、電解コンデンサの耐圧をけちったせいもあった。手持ちに450V以上のものがなく、実験の時困るかな、と思ったのである。

僕の好みの音は高音のキラキラが重要で、その場合、特にコンデンサーの質が取りざたされることが多いのは知っていた。そうなのである、あの、1弦の開放と、2弦の5フレットのユニゾンを思い切り弾いたときの、ジャキーンというキラキラした、それでいてボディのある響き、それが欲しいのである。レイ・ボーンがオーソライズしたあのテキサストーンである。それに対してボディの太さに関係するのは、抵抗なのだろうか、主役の真空管なのだろうか。こちらの音は、ジミヘンのエレクトリック・レディー・ランドの中のスタジオライブVoodoo Childで彼の出しているあの素晴らしく野太く、力強い、それでいてピッキングのニュアンスが失われていない、あのトーンである。今回、部品の質は取りあえず無視したが、回路や部品をいじって音色を追求するのは楽しそうだ。

製作は、オーディオアンプの実装知識に基づいて、ふつうに行った。モノラルなので楽である。シャーシーが少し小さすぎていて、実験がいくらかやりにくいのも失敗だったかもしれないが、まあ、あっさりと出来上がり、オーディオ用ボックススピーカーをつなぎ、ギターを差し込んで音出しすると、音はあっさりと出た。音色は、というと、いいんだか、悪いんだか分からないけど、まあ鳴ってる、という感じである。

調整や試行錯誤


まず、かなり重症のハムが乗っている、もろに100Hzというヤツである。今回、チョークは使わずにCRのリップルフィルターにしたが、オーディオアンプと異なり思い切りケミコンの値を小さくしてみた。僕の作ったオーディオアンプには600μFのCが投入してあるのだが、今回のギターアンプではたったの80μFである。というのは、電源レギュレーションの悪さが、また一種の歪み、すなわちハーモニックスを作り出すという説もあり、それに、そもそもオールドフェンダーアンプなどを見ると、下手すると30μぐらいしか入っていないのである。ただ、作ったアンプには問題があり、電源電圧が低いせいで、フィルタの初段のRがたったの100Ωだったのである、これではハムは避けられない。仕方ないので手持ちの200μをワニ口で突っ込んでみた。ハムはぴたりと静かになった。音は、というと、良くなったようである。中域が太くなったのはいいとして、高域のキラキラ感も増したような気がする。しかし、これも本当のところは分からない。音色はたぶん様々な要因のバランスであろうからである。この単純な事実も、やっているうちにだんだん分かってきた。

それにしても、大量のコンデンサーを投与する、というのはオーディオでは何となく分かるのだが、どうもやりたくない。恐らく、大きなハムはスクリーングリッドから来るのだろう、と考え、トランス直結をやめて、ここにCRフィルタを突っ込んでみた、10kΩと33μFである。するとハムはほとんど消え去った。これで行こう、ということで、Rを3kΩとして配線替えをした。

次は、当初から後付けするつもりだった負帰還をやってみた。ジェラルドさんの改造ノウハウによると、オリジナル回路の負帰還の量を減らすことでパワーと歪みによるハーモニックスが得られる、とある。ワニ口で、100kΩの半固定を、トランスの2次側から2段目のカソードへつないでみた。このとき始めて負帰還による音の違いがいかに劇的かが分かったのは収穫だった。半固定を絞って行くと、明らかに低域と中域が延び、丸い音になり、ノイズも減って行く。ちょうどオーディオシステムのマイク入力にエレキを突っ込んだような音である。そこで、負帰還をきつめにかけた状態で、入力にCDプレイヤーをつないでみると、うん、なかなかオーディオ的にも良い音だ。そうか、今度こういうオーソドックスなオーディオアンプも作ってみようか、と思わせるものがあった。

さて、入力をギターに戻し、弾きながら、ずいぶんといじっていたが、だいたい50kΩ以上がいい感じである。これより小さいと音がおとなしすぎ、しかしあまり大きくするとギスギスしすぎ。負帰還なしだと、さすがに少し高域のジャリジャリが聞きづらい。オールドフェンダーではここは22kΩ、ジェラルドさんの改造では、これを56kΩにするのだが、うーん、さすが長年の経験に基づいて決められた値というのはたいしたものだ。たしかに56kあたりがちょうどいい。そこで、ささやかな自己主張を加え70kていどとした。ところで、アンプのPresenceツマミはこの負帰還量をコントロールしている、とこのころ初めて知った。なるほど、Presenceとは良い名前を付けたものだ。プレゼンスを大きくする、すなわち負帰還を弱くすると、エレキの弦の振動の、輪郭がはっきりし、ビビッドで、自己主張が強くなり、音が前に出てくる。逆に回すと、録音されたギター音をハイファイオーディオセットで聴いた音のように、音が遠くなる。

次にやったのが、段間コンデンサーの調整である。ネットをサーチすると、ギターアンプでは60Hzあたりをカットオフにして低域を落とす、とある。単純に計算してみると、段間Cは0.01μFあたりが60Hzになる。ここは、オリジナル回路通り0.02を使ったのだが、これを変えてみよう、という訳である。実は0.02でもオーディオ的には少な目である。そこで、簡単に出来る実験として、ワニ口でCをパラ付けして、容量を増やしてみた。ギター音的にはあまり変わらない、なるほどそうか。そこで、ハンダを外して、0.01を付けてみると、これがかなり音が変わる。高域がシャリっとして、音は若干痩せ気味になる。さらに0.001など色々やってみると、音が変わって結構面白い。シャリシャリ感と、音のボディの強さのかねあいのようである。結局、0.015で取りあえず落ち着いた。

次は、入力にシリーズに入っている470KΩの抵抗にパラに入れるコンデンサーの取り付けである。高域が多く通ることによりブライト感が出る。250pF がジェラルドさん指定なのだが、これもなかなかうならせる値である。ボディが痩せないていどにブライト感が増す。このCは実際はブライトスイッチではなく、Cが入っていない入力が”Mellow”、Cが入っている入力が”Bright”という名前になっているのである。これについては小さなスイッチで切り替えられるようにしてみた。その他、音量ボリュームに100~250pFていどのコンデンサーを入れることによりブライトがかかる、とあるので実際に 200pFを入れてみると、確かにこれはフェンダーアンプなどでおなじみの、キンキンのブライトがかかる。この音は、僕はあまり使わないので、取りあえず対応するのは止めた。

この時点で、改めて少し音量を大きめにして、ストラトキャスターをつないで弾いてみると、いや、決して悪くはない。たしかにフェンダー系の音になっているから不思議というか、当たり前というか、面白い。木造の我が家では、音量を上げて思い切り弾くのはほとんど無理なのではっきりは分からないが、高音のジャキッとした感じ、低音の歪み具合など、そこそこいい感じではないか、これは驚きである。この他、バイアス替えや、真空管差し替え、などいろいろやってみたいことがある。それから、ハムは良いとして、いわゆるヒス系のノイズが気になることは気になる。フルボリュームにすると割とでかい。もっともこのていどは、よくスタジオアンプなどでも出ているのであるが。勉強して追求することにする。

キャビネットへの収納


取りあえず裸の状態で、スピーカーにつないでいつでも弾けるように部屋に置き、ときどきこれで練習したりしていた。自分のアンプで弾くというのも気持ちよいものである。これからさらにいろいろ回路をいじって、最終バージョンをスピーカーキャビネットに収納することにする。当初、中古のぼろいギターアンプのスピーカーキャビネットを使おうとオークションを漁ったが、なかなか適当なのがなく、結局、ものすごく古い、校内放送用の天井吊り型スピーカーボックスを入手し、これでまがりなりにコンボのギターアンプにすることにした。

購入したスピーカーボックスは、薄っぺらい合板でできた、実にちゃちな、古くさい代物で、スピーカーは20cm口径の5Wである。アンプに接続して弾いてみると、ミニコンポのスピーカーで弾いたときより、はるかに大きい音がする。5Wのアンプに定格5Wのスピーカーをつなぐというのはこういうことなのだろう、能率はかなり良いということである。ただ、オーバードライブ状態で弾きまくったら、スピーカーが飛びそうである。音質はというと、薄い合板が振動して、カラカラの独特な音になっている。クリーントーンでFenton Robinsonなど似合いそうである。

ボックスへの回路収納は、休みの日に一気にやってしまった。既製品のアルミボックスに適当な大きさがなく、前面パネルがちょっと狭すぎる結果になったが、まあまあの出来である。ルックス的にはかなり軽々しく、まずギターアンプにはとても見えないし、ここからいい音が出てくるような気はまったくしない。それにいかにも趣味の手作り、という感じである。できあがったアンプにストラトキャスターをじかに突っ込み、参考までに音を収録してみた、以下である。まずボリューム3ぐらいのクリーントーンで弾いたスローなやつ、それからボリューム10でオーバードライブさせて単弦で弾いたやつである。ボリューム10は思い切り近所迷惑なので、一瞬である。これを聞く限り、まあまあ使えるかな、というていどにはなっていると思う。

アンプの音収録
Vol.3のクリーントーン
Vol.10のオーバードライブ

さて、これいらい、ずっとアメリカのサイトを漁って、ギターアンプの勉強をしている。ウェーバーさんの本ももう一冊購入した。いろいろ調べて行くと、真空管ギターアンプの世界も、あっという間に、あのオーディオの世界で展開されているマニアックで、深くて、謎な世界へ同じく突入して行くことが分かる。ギターの場合、音源ソースはあくまでエレキギターで、その種類に限りがあり、オーディオのようにどんな音源でも通すものとは違うので、かえってマニアックぶりはひどいかもしれない。ギタートーンを説明する怪しげな形容詞が山のように飛び交っている。それにしても、何百万円もするオーディオの高級セットなどは、文字通り指でもくわえて見ているより他ないが、ギターアンプなど結局はその辺のやつを使って、あとは腕前で勝負である。指をくわえている暇などないのである。その点、なかなか健康的ではないか。

それにしても、すでに第2弾をあれこれ企画していて、歪みが多くて能率の良い6BQ5をシングルエンドにして整流管に5Y3を使ってやってみよう、とか、いや、ここはオーソドックスに6V6のプッシュプルで20Wぐらいはかせいでまがりなりにホール系のライブハウスで使えるようにしようか、とかあれこれ考えるのは楽しい。しかし、その前に、まがりなりにもできあがったこのアンプ、スナックバー系ライブスポットに持ち込んで、一度ブルースでも演奏してみよう。

※その後、この実験アンプを元に「超初心者のための真空管アンプの工作、原理、設計まで」というサイトを立ち上げて、そこの工作編で正規版を公開しました。

5Wギターアンプの最終回路図

超初心者のための
真空管アンプの工作、原理、設計まで