林正樹

Mar 172012

ここさいきん、いろいろなところでミニアンプの話題を聞くようになった。本番のライブやスタジオで練習するときはいいとして、家でギターを練習しようってことになると、通常サイズのアンプじゃ音がデカすぎてかなわない。20Wだ30Wだっていうアンプのボリュームをほとんど極限まで絞って音出して弾いていても、当然、いい音がするわけがない。

というわけで、これは昔から、自宅練習用、あるいはバックステージでの練習用のアンプっていうのが売られていた。一番有名なのは、かのFenderのChampであろう。フルチューブで、出力はおよそ5W。特にUSAなんかでは、このChampの回路を元にしたいろんなブティックアンプが作られていて、デザインもカッコよく、家においてもインテリアにもなっちゃう、というのがけっこうある。

Champは6V6GTのシングルで5Wぐらいなのだが、実は家で弾いてみるとわかるけど、5Wでも音はけっこうでかい。特にChamp系はふつうワンボリュームで、あってもトーンが一つていどなので、チューブで歪ませようとしても音がでかくなりすぎ、日本の家屋事情では無理な感じだ。要は、6V6シングルでも音、でかすぎるのである。実際に音を出してみると、自宅の部屋ではパワーは1Wぐらいでも十分な音量になる。

そんなこんなで、少し前から自宅練習用アンプがあの手この手で出てくるようになった感じがする。MarshallがJCM1と称した1Wアンプを出したり、VOXからアンプシミュレータがついたミニアンプが出てたり、あるいは最近ではYAMAHAから、やはりアンプシミュレータと各種エフェクトなど機能満載なTHRという自宅用ミニアンプが発売されたりしていた。特にこのYAMAHAのは飛ぶように売れているらしい。

しかしだ。やはりチューブアンプ派としては、エレキギターの練習はフルチューブアンプでやりたいものだ。アンプシミュレータ付きVOXは自分も持っていて確かに重宝したのだが、何だかしばらく使っていると飽きてしまい、結局、売っぱらってしまった。アンプシミュレータって、自宅ミキシングでラインで録音したりするのにはえらく便利なのだが、一人静かにギターの練習をするのには、自分的にはどうも役不足である。

というわけで練習用の自宅フルチューブミニアンプを作ろう、というプロジェクトを始めたのでその紹介である。

双3極管でプッシュプル

さっき書いたように、パワーは1Wぐらいあれば十分な感じである。シングルでもいいのだけど、プッシュプルの方がハムにも強いし、ひょっとして音もギターアンプらしく本格的でいいんじゃないか、ってことでプリアンプ用の双三極管をプッシュプルで使ってパワー段とすることにする。12AU7や12BH7なんかがちょうどよさそうである。それで、結局まずは、たまたま一本ストックがあった12BH7でやってみることにした。あと、アメリカのKendrickでもこの12BH7をパワー段に使った自宅用ギターアンプが販売されていて、その記憶もあった。

さて、まずはとにかく音を出してみよう、ということで、きわめて普通な回路を組み合わせ仮組みしてみた。回路は以下である。

12AX7を2本使って、一本目でGAIN付きの普通のプリアンプを構成して、こいつをトーンコントロールに送り込む。そしてトーンコントロール出力にMASTERボリュームをつける。ここでトーン回路に、今回はオーディオ用のものを使ってみた。もちろんこの回路はいくつかのギターアンプでも使われていて、別にギターアンプで珍しいわけでもない。

トーンといえば何といってもFenderのあの見慣れた回路がポピュラーだけど、実は自分はあれが苦手である。お店や練習ではFenderを使うことが多いが、あのTreble、Middle、Bassの3つのツマミをまともに扱えたためしがない。何をどうまわしたらどういう音になるのかいまだに分からない。なので、すでにとうの昔に諦めていて、さいきんは全部5にして弾いている。若いころは全部10だったが歳を取ったのであろう(笑)

これにはいくらかまっとうな理由もあって、Fenderのあのトーン回路は全部5にしても周波数特性はフラットにはならない。中域がボコッと落ち込んだ特性になっている。で、ツマミを回しても、いわゆるグラフィックイコライザーみたいな変化はせずに、なんとなく奇怪な変化の仕方をする。それが感覚的にもよく分からないのである。

それに対してオーディオ用のトーン回路は、見事にグラフィックイコライザー的に特性が変化する。なので、低い音が欲しければBASSを右に回せばいいし、高音のキンキンを無くしたければTREBLEを左に回せばいいし、非常に分かりやすい振る舞いをしてくれる。これなら自分でもトーンを使いこなせそうな気がする。

さて、トーンの後は、ポピュラーなムラード型の位相反転を経て、12BH7のPPである。とりあえずカソードバイアスにしておいた。

鳴らしてみる

音はあっさりと出た。なかなかいい音である。実際、測定してみるとこの状態でパワーは1W強なのだが、これでも十分うるさいぐらいに鳴る。GAINとMASTERの2ボリュームなので歪み系の音も作れ、なかなか楽しい。ただ、クリーンはよかったのだが、クランチさせるとどうも歪みの質がイマイチである。なんとなく濁っていて汚い。

シンクロで見てみたら、なんとなく全体に歪みが大きく、特にクランチ状態ではかなりひどいクロスオーバー歪みが出ている。ひょっとすると有り合わせの適当な部品で作っているからかもしれない。

あと、アメリカの掲示板で見たのだが、クランチでのクロスオーバー歪みはカソードバイアスではどうしても出るものらしい。というのは、クランチ状態ではパワー管への入力が過大になり、グリッドがプラスになり盛大にグリッド電流が流れる。それでこの電流は当然プレート電流に加算されてカソード抵抗に流れるので、カソード電位が相当に上がり、そのせいで動作点が狂って歪みになるそうである。なるほど、この辺の知識になると、自分はこのアメリカ掲示板で初めて知った。というのは、僕はずっと日本のオーディオ真空管アンプで勉強してきたのだけど、そもそもオーディオにはオーバードライブにおける動作の話など当然出てこないのである。

ところで、アメリカの掲示板を見るとすごい。チューブギターアンプに関するあらゆる知識や情報がこれでもかというぐらい、しかも、微に入り細に渡り、相当に深く追求した検討が、いくらでも出てくるのである。さすがエレキの本場、というかDIYの本場である。これに比べると日本のギターアンプ自作に関する情報はホント少ない。オーディオはそこそこあるけど、ギターチューブアンプについてはアメリカとはまるっきり比較にならない感じである。

さて、というわけで、パワー段のカソードバイアスはNGで、固定バイアスが良いようである。12BH7ならバイアスは15V前後なので、ヒータートランスの6.3Vを倍圧整流すれば作れそうである。

急遽プリアンプに改造

そうこうしているうちに、2週間後の3/31に久しぶりのライブがあることを思い出した。僕のバンドは少しロック寄りのブルースバンドなのだけど、ドラム・ベース・ギターの3人バンドなんで、ギターの音がけっこう決め手になる。で、今度のライブでは、ジョニー・ウィンターがやっているIt’s My Own Faultっていうスローブルースがやりたくて、彼のデビューアルバムを聞いていたら、あの音が出したくなってきた。

ジョニー・ウィンターの音って独特で、まあ、オレはストラトなのでその時点で間違ってるのだが、あのクランチがかった、でも歪み過ぎない、ちょっとギスギスした感じの微妙なトーンがすごくカッコいい。でも、あの音ってどうやって出してるんだろう? 調べてみると、Firebirdのフロントピックアップで、アンプのセッティングは、VOLとMASTERは10、TREBLEが10でBASSとMIDDLEが0だそうだが、ありゃーすごいセッティング、でも、まあこのまま真似してああなるわけじゃないよね。

それにしても、ストラトをいつものBlues Jrに通しただけであの音になるとは思えない。やはり、真空管でうまい具合に歪ませるべきだろうなー、などと考えているうちに、以前やったSoldano型アンププロジェクトを思い出した。試作したヤツのGAINを絞って弾いた音がけっこうジョニー・ウィンターっぽい歪みだったんだ。これは該当ページの音源にある感じの音である。歪み方が滑らかでなく、コンプレスはあまりかからず音が太い。

ということに思い至り、それまでのミニアンプ構想を放り投げ、試作したヤツをSoldano型に作り変えちゃった。それで出力を、フラットにセッティングしたBlues Jrに入れて弾いてみたら、あら、カッコいい、それっぽい音になってる! これは使えそうだ。かなり歪みがひどいけど独特なエグイ感じでいい!

ちょうど翌日が金曜だったんで、このプリアンプを行きつけのバーに持ち込んで実地試験をすることにした。お店のアンプで鳴らして、ベースとドラムと一緒に演奏してみた。うーん、たしかに音はカッコいいような気はするが、実地でやるとイマイチだ。とにかく歪み過ぎていて、トップノートが出ていない。つまり、コンプレスがかかってしまっていて、ドラム・ベースと一緒に演奏すると音が引っ込んでしまう。あれー、おかしいなー。確かに独特の音ではあるんだが、今風に言うと、いい音とは言いがたく、たまたま来ていたお客もこれを弾いて、この音は俺じゃ使いこなせない! って言ってた通り。

やっぱい、あのエグイ歪みはなんかがおかしいみたいだ。というわけで翌日、アンプの動作を調べてみることにした。まずは各部の電圧を測ると、あれ? 最終段の3極管のカソード電圧がゼロだ、おかしい。よくよく見てみたら、カソードとグリッドを逆に配線していた。ありゃー、こりゃ、ダメだ! この回路でも信号は通るが、ほとんど半波整流回路みたいになっていたらしい。ああ、だからあんなにエグイ歪みだったんだ。なーんだ。

さっそく正しい配線に戻して、改めてギターをつないで弾いてみた。そしたら、なんと、まあ、ものすごくキレイなクリーントーンで拍子抜け。というか、これじゃただのどこにでもあるプリアンプだ。Blues Jrに直に入れて弾いた音となんら変わるところがない。ということは、ほとんど意味がない。それで、GAINを上げて歪ませてみたが、歪んでしまうと、これまたただの特段に変わったところのない滑らかなディストーションで、こんなのなら別に歪みエフェクターを踏めばいい話だ。

うーむ、がっかりだ。

プリの調整

というところで、回路をもう一度いじって欲しい音を追求してみることにした。まず、3つ目の3極管のカソード抵抗を33kから極端に100kに変えてみた、ちょと無茶だ。弾いてみたら単にゲインが落ちただけ。ダメか。ただ33kは小さすぎると思い、50kにしておいた。あと、初段と2段目のカソードバイパスを1μFにしてみた。これはSoldanoで使っている値である。弾いてみた、うん、ちょっと良くなった。次に、電源の平滑回路に入っている抵抗が、ミニアンプのときのままで10kだったのを1kまで落とした。ちょっと良くなった、でもGAINを上げるとどうも歪みが優先してしまいダイナミズムが出ない。

ところで、オレがどんな音を追求しているかというと、歪んだトーンなのにも関わらず、ピッキングのダイナミクスがきちんと保存されている音なのである。強くピッキングしたときの音がバキーン!と鳴って、しかも、全体にクランチがかかっている、というヤツである。これ、意外と難しいんだよね~ 歪むとどうしてもコンプレスがかかちゃうから。

というわけで、ひょっとすると終段(4段目)のところで歪んじゃうのかな、と思い、4段目を止めて、3段目から出力を取り出してみた。

これでやってみたら、うわ、すごくいい音! 上述した感じになってるし、Blues Jrで若干のリバーブをかけるとスローブルースのソロが気持ちよく弾けること弾けること。これはいけそうな音だ。

ライブはちょうど2週間後だが、この時点でこれを使うことに決定。で、本番は厚みのあるいい音で弾きたいので、2箇所から鳴らすことを考えた。以前、同じ大倉山のお店で自作のアンプで弾いたときは、アンプにマイクを立ててもらい、PAからもギター音を出してダブルにしたらすごくいい音だった。それを思い出したのである。ということで、このプリアンプに出力をもうひとつ増設して、2出力にした。本番ではギターアンプを2台使って、このプリアンプから分岐して2台鳴らすことにしよう。

ライブが終わったら、このプリアンプに12BH7のパワーをくっつけて当初の予定通り1Wミニアンプにすることにしよう。あと、2週間だ。

 

前回、毎週水曜の夜のセミナー開催のアナウンスしましたが、人数が集まらず開催見送りになりました(応募いただいた方すみません)。

そこで、まずは皆様のご要望を聞いた上で、再度チャレンジしようと思います。以下についてもしご意見などあれば、この記事のコメント、このHPの掲示板、またはお問い合わせで直接私までお願いします。

  • 開催日: 平日夜、土日など
  • 開催時間: 2時間を1回、2時間を2回など
  • 開催回数: 数回に分ける、一回長時間で集中など
  • セミナー内容: 講義のみ、音出しながら、組み立て実習など
  • その他

よろしくお願いします! (上記、近いうちWebアンケート形式にします ^^;)

真空管ギターアンプセミナー
「超初心者のための真空管アンプの工作、原理、設計まで」

セミナー開催のお知らせです。会場費とお茶菓子ていどの受講料で、対象レベルは超初心者から初心者です。一方的な講義のみではなく対話しながら行いますので、もし、日ごろ色々な疑問などある方なども、ぜひ一度、いらしてみてください。
当日飛び込み歓迎です~

日時: 12/11(日) 開場13:15 開始13:30~15:30
場所: 「SO!Suidobashi02」
〒101-0061 千代田区三崎町3-7-12 清話会ビル 3F(1F:PRONT)
地図: http://www.sharing.ne.jp/meeting/img/map_suidoubashi02.gif
・JR            水道橋西口改札 徒歩30秒
・都営三田線        水道橋駅A2出口 徒歩4分
・都営新宿線/半蔵門線   神保町駅A2出口 徒歩7分
・南北線/東西線      飯田橋駅A5出口 徒歩10分
当日連絡先: 090-9235-8536
費用: 2000円
申し込み先: お問い合わせへご連絡ください。わたくし林正樹に転送されます。

現在、受講者2人です。よろしくおねがいします!

こんにちは~ 前回、Fujiyama Electricからアンプを販売する話をしましたが、今度はセミナー開催の知らせです。

とはいえ、われわれもこの手のセミナーは初めての経験なので、まずはリサーチとニーズなどを知るために、会場費とお茶菓子ていどの受講料で、受講したい人を募って試験的に始めようかなと思います。すでに、掲示板で連絡されたお一方が来られることになっています。

日時(予定): 12/11(日) 午後
場所: 水道橋のセミナールーム
費用: 2000~3000円

今回のセミナーの対象レベルは超初心者から初心者です。今回はリサーチの意味もあり、一方的な講義のみではなく対話しながら行いますので、もし、日ごろ色々な疑問などある方なども、ぜひ一度、いらしてみてください。

受講希望の方は、本ホームページの「お問い合わせ」でご連絡ください。わたくし林正樹に転送されます。

よろしくおねがいします!

このコーナーであれこれ紹介している「古いブルースの音が出るチューブアンプ」ですが、とうとう製品化に目途が立ちました。ずいぶんと時間はかかったけど着実に進んでいたのです。それで、一週間ほど前に、第一弾が2台できてきました、コレです。

前の記事で紹介した僕が作った試作機に、ほぼ忠実に作ったものです。シャーシー製作と組み立て配線を業者さんに頼んでやってもらっています。できあがって見てみると、さすがきれい。奥の方に見えているように、黒いカバーがつきます。けっこう軽いので、持ち運びとかは楽かも。

さっそく家で音出ししてみたけど、やはり、かなりいい音がする。さすがに完全手配線で、ベーク版すら使わずに立体配線しているだけあって、とても抜けのいい、反応のいいアンプに仕上がってます。このアンプでギターを練習したら、うまくなりそう!

いま現在は、僕を入れて3人ぐらいで細々とやってますが、製品にして世に出すっていろいろな苦労があって、一つ一つ経験しながら進めるのって、発見がたくさんあって楽しい。

あと、ネーミングですが、メーカー名はFujiyama Electricに決定。それで、この第一号のアンプは、いろいろ考えたんだけど、まずは無難に「Blues Classic」ってことになった。

まずはライブバーに持って行って音出しして、そこに常駐にしてプロの方たちに使ってもらって反応を見る予定です。こんど11/7(月)に目黒TIMEOUTでライブをやるんですが、そこでも本番で使用するつもり。楽しみだな~

Fujiyama Electricの今後ですが、ほぼ同じような構成でベース用のチューブアンプを出すこと。あと、Fuzz Faceのやはり手配線版を製品化すること。それから小型軽量のミニ真空管アンプを試作すること、など。

よろしくおねがいします!

ずいぶん間が空いてしまいましたが、ただの試作機じゃなくてもっと実用的なものを作ろう、っていう検討が進んでます。

今のところ部品の洗い出しをして、それに基づいて第一号機を試作がちょうど終わったところ。前回ライブで実際に使って、かなり音がよくてビックリしたんだけど、でも、あれって本当の試作機で、バラックに近い。なので、今回は、決定した部品で本番並みに組み直しました。製作が苦手な自分にとってこれは大変。。。

でも、GWにがんばってやったりして、ようやくこんなのが出来てます。

 

出力トランスがフェンダー準拠のやつになってます。以前はノグチのだったんだけど。横幅30cmの予定だったんだけど、そういうケースが無く、結局25cmになってるせいでちょっとせせこましい。小さいからいいと言うべきか、どうなのかは分からないですね~ ただ、裏面の配線はちょっと混み合ってる。コレです。

 

 

なんか、見た目、汚いですよね~ どうも、オレって整然とした配線が苦手みたい。

ただ、これってアース母線を張って、オーディオ的に最短配線になり、かつループ最小で配線した結果なのね。なので、よくある、「見た目は悪いけど味はいい」(笑)ってことになってるつもりです。つまり、オーディオアンプのノウハウで配線したギターアンプってこと。

結合コンデンサには割りといいものを使ったけれど、他の、抵抗、電解コンデンサーなどの部品は普及品を使ってます。特にオーディオ屋さんは部品にクラシックものを使ったり、いろいろですが、現代生産されている普及品の部品が結局信頼性も高くいいんじゃないか、との考えからです。線材も普通のものを使っちゃってます。この辺はこだわれば切りが無いんだけど、あっさりとまとめてみました。

さて、出来上がったアンプで弾いてみたんですが、回路がほとんど同じなので当たり前だけど、最初のバラックと同じ音で、いい音出てます。

近々にこれをライブバーに持ち込み、いま一度実地で使ってみて、それを最終チェックにして、それでOKだったら、これで最終実用版ってことにしようと思います。

この記事の前の記事にYouTubeの音源を載せましたが、かなり音は、いいと思います。独特な音がするので、こだわりの人は是非! と勧めたいですね~ ブルースもだけど、ジャズギターにもたぶんかなりいいんじゃないかと思う。あと、ベースを入れても、かなりいい音がします。ただ、ロックはダメだと思う~(笑)

大震災で大変ですが、いかがお過ごしでしょうか。

前の記事で紹介した古臭いブルースの音がするアンプを、とうとう実践で使ってきた~! 震災後の3/19に、大倉山Muddy’sっていう中ぐらいのハコのライブバーでこれを使って演奏してきた。その夜はブルースナイトってことで3バンド出演し、僕らはトリ。ドラム・ベース・ギターの3ピースバンドで、ひずみとか踏まずにクリーントーンだけで演奏である。

まず、スピーカーはPeaveyの12インチキャビを使い、音量にちょっと不安があったんでマイクを立ててPAから少し出してもった。ギターは74年のボロいムスタングにたしか1弦が012ぐらいの3弦プレーンセットの中では一番太いやつを張った。ムスタングはショートスケールなので、それほどひどくテンションは高くなく、ちょっと力はいるけどまあまあチョーキングOKな範囲になるんだよね。

セッティングは、GAINが半分、MASTERは3/4ぐらいだったかな。それでオーティスラッシュのAll your loveを演奏したのが、これ。

単弦弾きの曲はこれ。Somebody loan me a dime

ついでにVOXのワウを踏んで演奏したのが、これ。ロバートジョンソンの32-20 Blues

なかなかいい音なんじゃないでしょうか。

というか、案の定というか、ふつうのギターアンプとはぜんぜん違う音だわ、これ。何と言ったらいいか、ギターマイクの出力がそのまま音になって出てる、というか、音に飾りがまるでなく、もちろんリバーブもついてないし、弾き手としてみると「隠れる場所なし!」みたいな感じ。このアンプは普段エフェクター漬けの人は弾くのムリかも。でも、ブルースマンには、この音は、けっこうウケると思うな~

演奏終わった後も、かなりたくさんの人からギターの音がいいと言われ、何人かのプレイヤーにこのアンプ欲しい、と言われた。売り出してみたら? なんて言う人もいたよ。

あと、リハスタジオにもこれを持っていってそのときはマーシャルのスピーカーキャビで鳴らしたけどホント独特の音だった。あと、ベースをこれに突っ込んで鳴らしてみたら、あら不思議、ベースの音もかなりいいみたい。うちのベーシストはこの音をいたく気に入ったようで、マジでこのアンプ購入を考えるって言ってる。

考えてみると、このアンプ、FenderのBASSMANに似てるっていえば似てるかも。回路とか。もう一度アンプの要点をまとめると以下のとおり

  • 初段はゼロバイアスで12AT7。この後GAIN。
  • 2段目は12AT7のもうひとつ。その後MASTER
  • 12AU7の古典式フェーズインバーター
  • 6V6GTの自己バイアスのプッシュプル
  • NFBなし
  • 結合コンデンサはほとんど0.1μFで、低域をほとんど削ってない
  • OPTは野口トランスの10Wオーディオ用
  • PTはフェンダーのChampのもの。119V用なので電圧は1割低い状態で使用

回路は1947年ごろのFenderがFenderと名乗る前のスティールギター用のアンプの回路に似ている。あるいは同じころのPAアンプに似ている。

うーん、これ、けっこういいかも。少なくともこんなチューブアンプはほとんどどこにも売ってない。かなりニッチなアンプである。

受注生産でも、するか~(笑)

50年代ブルースアンプの続きである。

前回、6BM8を2本使って、3極管接続したオーディオアンプでギターを鳴らす試作アンプを紹介した。家で鳴らしたらいい感じだったけど、実地ではどうだろう、というところで終わっていた。

で、先日、ジャズのジャムセッションの現場に持ち込み、少しだけだけどドラムやベースと鳴らしてみたのだが、やはりダメだった。一言で言ってパワー不足。ジャズっぽい音楽であれば音量は大丈夫なんだけど、生ドラムに対抗できるまで音量を上げると、パワー段で歪んでしまうようで、せっかくのペラペラのクリーントーンが出ないのである。

これは単純にパワーが足りなく、ヘッドルーム不足っていうやつである。ということで、もう少しパワーをかせぐべく、6BM8を止めて、6V6GTの5極管接続してやってみた。これである。

6V6GTプッシュプルにした50年ブルースアンプ試作機

ま、見た目は6V6になっただけで一緒である。回路は以下の通りで、位相反転は一番アホっぽい古典式を採用している。わざと古臭い回路を使おう、という魂胆である。

6V6のデータシートによるとPPで15Wまで取れるようだ。しかし、組んでみて測定したら10Wをどうしても超えない。マックスでも12Wであった。このへん、なんか自分の理解の間違いがあるのかもしれない。まあ、それはいいとして、6BM8では7Wだったのが、こちらは10W。うーむ、ちょっと心もとない。15Wは欲しいところだ。

ちなみに測定ついでにBlues Juniorを測ってみたら15Wちょうどだった、さすが、スペックどおりだ。

さて、この6V6のブルースアンプで、家で少しだけ弾いて録音したのが以下である。

6V6ブルースアンプの音

こちらは、74年のボロムスタングをつないで、フロント・リアのミックス、GAINは半分で、VOLはうるさくないぐらいに絞った音である。これを聞いている限り、けっこう古臭い、Lowell Fulsonっぽい音がしている。というか、これってムスタングの生音そのものが出てる、って感じである。

あとはやはり、これで生ドラムと一緒にやったときにどうなるかであろう。ライブまでもう1ヶ月を切ってるんだけど、うーん、このアンプ持込で音量足りなかったらマイクで録ってPAから出そうかな~

パワーをもうワンレベル上げるには、真空管を6L6かなんかにして、そうなるとさらに、電源トランスと出力トランスをハイパワーにしないとNGだ。これは大変だし、カネかかるし、どうしようかな、ってところ。

それにしても、現状で、結局、1947年ごろにFenderがプロ向きに販売し始めた「Fender Pro Amp」のTV Frontの初期のバージョンの回路ほぼそのまま、ということになったね。結局、落ち着くところに落ち着くのかな~

ではでは、また進捗があったら報告します!

例によって試作版のドブルース専用アンプ

これまたえらくマニアックでニッチなプロジェクトですいません、って感じ。ハイゲインミニアンプが途中のまま、こっちに手をつけちゃったので、まだあんまりまとまってないけど、まずはご紹介のみで失礼します。

なんでこんなことをやっているかというと、もう何回も出させてもらっている大倉山Muddy’sっていうライブバーがありまして、そこが去年からときどきBLUES NIGHTっていう企画をやってて、それに出たいなー、なんて思ってたんです。そしたら今年になってなにげにTwitterながめてたら、Muddy’sのTWEETが流れてきて「3/19ブルースナイトやります、出演者募集中!」とか書いてたんで、うお! ってばかりに、その場でTWEET返信で「林正樹、出ます出ます!」とツイッターエントリーしちゃったんです。

僕のメインのバンドはジミヘン調のブルースロックで、歪みを踏んでソロ、みたいな世界なんですが、実は、かなり前々から、いわゆる「どブルース」ってのをやりたかったんです~

僕はジミヘンに30過ぎで出会うまでは、黒人ブルース一本やりの典型的なブルース野郎で、ブルースロックですら認めない超偏狭なヤツだったんですよね。聞いたり演奏したりするのは全部、黒人ブルース、それも、1930年とかの戦前弾き語りブルース、あるいは1950年のシカゴブルースとか、そんなディープなのばっかり。

30過ぎてそれがイヤになっちゃったところにJmi Hendrixが救世主のように現れて、古い黒人たちのためのじゃなくて、オレのジェネレーションのためのJimiのブルースに出会い、頭をガツンと一発やられて目からうろこが十数枚落ちて、それで今に至る、なのです。

とはいえ、やっぱり自分のルーツの古い黒人ブルースを今、また、やりたい、という気持ちはずっとあり、いろいろアイデアを暖めてはいたんですね。でも、なかなかそれが実現しなくてね。で、新年になって、Muddy’sのアナウンス見て飛びついちゃったわけ。ライブ入れちゃえば、やらざるを得ないもんね。もっとも、バンド、まだ、無いんだけど(笑)

さてと。どブルースをやるからには、ギターの音をなんとしても「どブルース」にしたい、という気持ちが強く、ここでも紹介してるBlues Jrの改造版はちょっとダメなんだよね。あれはやっぱりなんだかブルースロックなんだわ。

というわけで、どブルースアンプが欲しいな、とあれこれ考えて、いま実験中で、それがこのアンプね。

話し始めると長いんだけど、上のこのアンプね、これただのオーディオアンプで、ギターアンプじゃないんです。なのでこのままCD出力入れていいスピーカーをつなぐと、けっこうオーディオ的にいい音がするんです。回路的には6BM8を2本使ったプッシュプルアンプでパワー段は3極管接続です。

結合コンデンサーのたぐいも大きな値を使ってギターアンプのように低域は削らない。さらに電源回路はシリコンで、チョーク使って、でかい電解コンデンサーを入れてレギュレーションをよくしてる。つまりあんまり信号を圧縮するコンプレスがかからないようにしてる。ホントは固定バイアスにしたいところだけど、とりあえず今のところ自己バイアス。参考までに回路はこんな感じ

カメラで撮った汚い回路図失礼! こんど差し替えます

まったく変哲ないオーディオアンプに3極管の電圧増幅が2段付いてる回路です。

いったいなんでこんなことやっていると言うと、いわゆるオーディオアンプにギターを突っ込んで弾いてみると、時々、わりと1950年代のブルースギタリストの音になったりする、という経験からです。

どんな音を目指しているかというと、こんな音です。

Reconsider Baby by Lowell Fulson

この音、変でしょう~? 録音は1950年あたりで、使ってるギターはたぶんフルアコ、で、アンプがまったくの謎なんだわ。このころの黒人ギタリストの、弾いているギターの情報は何となくあるので分かるんだけど、アンプは全然わかんないんだよね。いったいどんなアンプを使うとこんな音がするんだろう?? 音がぜんぜん伸びなくて、ダイナミックレンジが広そうで、歪んではいないけど何となくトップノートにちょっと歪みが乗って、独特だよね~

ってなわけで、この音を目指して現在、試作中ってわけです。上記写真のアンプでちょっと鳴らしてみたんだけど、なんかちょっと違う。でも、何となく、そのへんのギターアンプよりは近い気もする。難しいよね。うーん、どうすればあの音になるんだろう。

というわけで、このプロジェクトは始まったばかりですが、3/19にライブで使うというデッドラインがあるので、何とかそれまでになるといいな~

それでは、また!

SOLDANOプリに6BM8パワーを組み合わせたハイゲインミニアンプの仮組み

前回はSOLDANO型プリアンプを試作して、けっこうマニアックな解析をしてみたが、今回はそのプリアンプに小出力のパワーアンプをくっつけて「ハイゲインミニギターアンプ」にするというプロジェクトへ発展させる話である。

さ て、ミニパワーアンプ部であるが、ミニアンプというと定番では6V6や6BQ5のシングルで5Wていどというのがポピュラーだけど、それじゃ面白みがない のでちょっと変わったのにしたい。となると、12AU7や12BH7など比較的電流をたくさん流せる双三極管をプッシュプルにして2Wから5Wぐらいまで 出してやるというのが思いつく。12BH7のプッシュプルは最近、かのUSAのギターメーカーのKendrickが出しているそうで、ちょっといい感じ だ。

しかし、まあ、三極管ってのもなんなのでやっぱり五極管にしようかっていうところで思いついたのが複合管の6BM8である。6BM8は 三極管と五極管が1本に入ったもので、これ一本でオーディオアンプなら構成できてしまうという便利な真空管である。オーディオ自作キットでは売れ線定番の TU-870ってのがあるがあれが6BM8を2本使ってステレオアンプにしている。

まあ、そんなこんなで6BM8って何だかアマチュアっぽい響きがあるんだが、それがかえってSOLDANOプリアンプにつけたらミスマッチで面白いような気がして、今回はこの6BM8を使ってみることにした。

回路は次の通りで、別になんということもないそのへんに転がっている6BM8の推奨回路をそのまま使っている。

6BM8パワーアンプ部の回路図。だいたい2,3Wと思われる

写真の通り仮組みしてさっそく鳴らしてみた。ちなみに出力トランスは東栄のT-850っていう2Wシングル用の小さなのを使っている。あと電源トランスはこれは仮で、フェンダーのChamp適合トランスでUSA仕様なので1次電圧が119Vで実は100Vで使うと電圧がそこそこ落ちている。

さて、スピーカーはBlues Juniorのものをそのまま使って、ムスタングを突っ込んで弾いてみたら、なかなかいい音である。まずはVOLUMEをだいぶ絞ってなるべくクリーンっぽくなる音で弾いてみたのが以下である。

VOLUMEが1ぐらいの少しだけクランチ

それにしても上の音源のように、VOLUMEを相当絞っても完全にクリーンにはならず歪むので、このSOLDANO型プリアンプそのものがそもそもクリーンで使う代物ではないのであろう。

お次はVOLUMEを半分ぐらいまで上げた歪みの音である。

VOLUMEが5ぐらいの歪み

半分でもこれなので、フルにするとやばい感じ。仮組みのせいもありフルにするとノイズがでかく壊滅的な音だ。まあ、そういう音でメタル系のリフは弾くものなのかもしれないが、メタルリフを知らないので弾けない。今度、練習して弾いて録ってみることにしよう。

まあ、それはともかく、なかなかいい音で鳴っているので、SOLDANOプリに6BM8のパワーってのも捨てたもんじゃない。ゆくゆくはきっちりと組んで製作記を書くことにしよう。

それでは!

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