カントとニーチェ

カントの解説本を3回ぐらい読んで、なんだかずいぶん分かってきた。カントを分岐点として、なぜ自分がヘーゲル、マルクスの道へ行かず、ショーペンハウエル、ニーチェの方に来たか、その理由が分かったような気もした。ニーチェの、神は死んだ、という有名になり過ぎた言葉も、こういうカントの絶望紙一重の理性の深淵体験から出てきたんだな。ニーチェという天才の頭にあるとき閃いたというよりも、もっとずっと堅実な哲学研究の果てに現れたんだな、と思い、感慨した。

ニーチェのどの本に収録されているんだっけ。真昼間に提灯をぶら下げて走り回る狂人はこんな風に叫んでいるのだったよな。

「おまえたちは一体知っているのか、神が死んでしまったことを、そしてオレたちが神を殺したことを。世界は真っ暗だ、神が死んだ後、オレたちは、いったいどっちへ動いて行けばいいのか」

ところでカントは神を信じていたが、神が存在することの証明は、論理的に不可能である、ということを厳密に証明した。結局、人間の理性の範囲内から神はいなくなった。くだんの狂人はそのことを言っているんだろうな、神は死んであの世へ行ったのだと。

かくして、神というのは、ある人には信じる対象となったし、また、ある人にとっては人間とは金輪際無縁なものとなった。

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