タイムアウトと村さん

目黒タイムアウトに初めて行ったのはいつだろう、と調べてみたけれど、はっきりした日にちが分からない。メールをさかのぼってみると、2009年の10月半ばに、職場が新宿から目黒に移っているので、そのころということになる。ということは、ほとんどちょうど10年前で、僕が50歳のときだったんだな。

オフィスは目黒の権之助坂を降り切ったあたりにあったのだが、移転して最初に出勤したその帰りの夜、さっそくタイムアウトを見つけた。店へ降りる階段の入り口にポンコツギターが掛けてあったので、あ、こんな店がある、って思い、よほど入ろうと思ったけど、狭い入り口から中を覗くと奥の方に階下へ降りる階段が見えたが、だいぶ入りにくく、うーん、と思ってそのまま入らず、駅へ向かってしまった。

翌日、こんどは絶対に行こう、と決めて、夜オフィスを出て、権之助坂を上って、それで迷わず入り口を入った。ぎしぎしと狭い木の階段を降りて扉を開けると、狭いスナックのようなバーで、店内は雑然としていて、ギターや楽器が見えて、奥の方に小さなステージが見えた。客はおらず僕だけだった。

そのときオレは初めて村さんに会った。

いらっしゃいませ、って言っただろうなあ、村さん(当たり前か 笑) ビールください、って言っただろうな、オレ(これも当たり前 笑) 村さんの第一印象は、バーのマスター稼業はまだだいぶ慣れてないのかなあ、って感じで、なんだか客の前で身を持て余してるみたいに見えたっけ。

僕は、どんなシチュエーションでも、そういうふるまいをする人って、無条件ですぐに信用するので、なんだかほっとしたっけ。で、いつものように、ギター弾いてブルースとか演奏するんですよー、みたいに話して、ちょっと弾いてみていいですか、みたいにギターを取って、ステージで、たぶん、Robert Johnsonの、きっと、Kindhearted Woman Bluesを歌っただろう。

村さん、すごく褒めてくれて、もう、そのとたんに常連扱いになった感じ。村さんの推薦で、それから、タイムアウトでバタバタっとライブが決まった気がする。

あれから10年だったんだな。オレの50代の人生は、目黒タイムアウトとともにあったな。たくさんの人に会って、たくさんの人を連れて行った。行くといつも優しい目をした村さんがいた。

村さん、いままでありがとう。そして、さようなら。

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