はい、それで、ヨナは神に呼ばれて、神はヨナに、ニネヴァという街があって、そこがモラルの堕落に陥っていると言ったんです。さあ、これはどういう意味でしょう。ま、これはユニバーサルないたるところにある物語で、すべての文化というものは、常にモラルの堕落に陥るもんなんです。それは文化ってもんのネイチャーなんです。エントロピーがそうさせるんです。ものごとは変化していて、世界は常にその環境を変えているけど、その変化に文化がうまくついて行けなくなって、それで、あと、もちろん、世界は堕落のタネを持っているしね。

だから、結局、これは人々を常に引きつける永遠の物語なんですよ。個人はいつでも、なぜだか堕落してしまった文化との関係のなかに置かれているんです。で、問題は、じゃあ、あなたはどうすればいいのかです。もし、その答えが、何もしない、だったら、ま、それで、単純に、それはもっと堕落してゆくわけですね。あるいは、もし、同じように堕落しよう、だったら、同じくもっと堕落してゆくでしょう? だから、その答えは、その堕落に立ち向かう、であるべきでしょう? だって、それだけがその堕落を止める道だからです。

さて、いま、神は、このままなら堕落しているその街を破壊するぞ、と脅してます。ここまでを理解することについては、僕らはなにも形而上的な解釈をあれこれ仮定する必要はないと思います。すごく見たまんま、そのまま理解すればいい。文化が堕落すればするほど、社会を信用できる可能性は低くなるし、その文化は非生産的になるでしょう? だって、何かをしたって、堕落した人間が来てそれをぜんぶ持ってっちゃうし。それどころか、文化が本当にあまりに堕落していると、もしあなたになにか得意なことがあって、それであなたが資産を作り出しているとして、そうすると、あなたがその価値のあるものを持っているというその理由で、あなたは殺されてしまう可能性が大ですよね。あなたはそれを持ってどこかに行くわけじゃないけど、もし、将来のしかるべき時のためにあなたの仕事の価値を蓄えておいてそれを使えるという感じが無いときに、誰が働きますか? だから、もし社会が堕落していてそこになんの信頼も置けなかったら、その社会は退化するんです。そりゃ、そういう社会も少しの間は持つでしょうが、そんなに長くは続かないでしょ、だから、結局、堕落した社会は崩壊するんです。これが往々に堕落というものが意味するものなんです、とにかく

で、ヨナは思いました「まさか、勘弁してよ、そんな街にオレは行かないよ」って。「自分が思うにやつらは地獄に落ちるわけだし」ってね。それが実際に彼が考えたことだったんですね。「だいたい、堕落した街のためになんでこのオレがなんかしないといけないんだ」、ってね。とにかく、これは当たり前の反応ですよね。つまり、なんでそうしないといけないんだ、という。

でもね、君たちはそういうことに直面しますよ、君たちの人生で、嘘じゃないから。実際、自分たちの人生の中でそういうことに直面しますよ、それもいつもいつも、常に、続けざまに。それは小さい事かもしれないけど、あなたを正当に扱わない人々とやっていかないといけない、で、それをあなたがするとき、それは、あなたの親かもしれないし、友達かもしれないし、一緒に働いている人かもしれないし、教授かもしれないし、彼らは不正なゲームを仕掛けてくるし、あなたはそれはイヤだ、で、あなたはそれが不正なのを知っている。で、結局、問題は、あなたはそれにどう対処するべきか。あなたは不正をしかけられてるのを知ってるんですよ、不正をね、で、それに付き合うのは良くないのも分かってる。で、あなたの価値基準ではそれは不正だって分かってるわけですよ。で、それに付き合うことであなたの価値を下げるってことも分かってる。じゃあ、あなたは、立ち上がって、それと戦いますか? 

で、答えはノーでしょ、ははは! たぶんしないよね。たぶんあなたは、そのヨナがしたように、そこから逃げ出して船に飛び乗るでしょ? ね、そうでしょ、それがまっとうなやり方だよね。でも、それは問題を解決はしないわけですよ。これは、僕は人間の倫理的責任についての話だと思いますよ、他にも古い物語があるんですよ、それらしいやつを話しましょう。

王様の息子がいました、ライオンキングね。その王様の息子が、哀れな思春期の青年で、どっかへ行っちゃって、彼は、彼の前に再び現れた昔の恋人が、あいまいな現実的な人間に変わっちゃたのにひどく失望して、それで、彼は目を覚まして、元に戻って、暴君のスカーと戦って、いや、それは火の海な地獄の光景で、スカーと戦って、彼の父はスカーに殺されたとわかって、彼を穴に投げ込んで、ざっと話してるけど、で、雨が降り始める。で、ムービーは、最初のシーンに戻るんだよね。基本的に、これって、パラダイス、パラダイス喪失、パラダイス奪還、という順で、それがその映画ね。で、で、それって人間の物語でしょ? 

まず、あなたは最初にとってもうまく行っているところにいる、で、何かが起こってあなたをその場所から叩き落とす、あなたはカオスのなかに落ち込んでしばらくそこにいる、それで、ひょっとするとあなたは抜け出せないかもしれない、でも、あなたはその落ち込んだところで何かを学ぶかもしれない、あなたの人格の中の強さかもしれない、で、あなたは再び浮上して新しい場所へ飛び出てくるかもしれない、で、たぶん、それは前よりいいでしょ、もっといい目的と、もっと良くなったあなた、でしょ。さあ、僕は、これについてそれほど過度に楽観的じゃないですよ、私はこれをよく知ってますけどね、その人生でたくさんの障害に遭遇して、そこから復帰するのがほとんど不可能になってしまうこともあるってね。でも、それがあなたの尽くす最大のベストだよね。だから、とにかく

ヨナは逃げ出すんだけど、神はそれを喜んでるんだよね、なぜなら、実際、ヨナの運命は、ヨナにとってその街を復帰させることが必要だってことで、で、神は嵐を起こして、波がすごく高くて、で、思うんだけど、この情景が何を意味してるかっていうと、水というのはしばしば人の無意識をシンボライズしてるんだよね。なぜって、物事は水の下に潜伏してるでしょ。で、あなたは、その中から役に立つものを引っ張り上げることができるでしょ? 巨大な何か、でも、あなたは何か役立つものを引き上げるよね、あなたは釣りあげることができるわけよ。あなたは釣りへ出かけるでしょ、自分自身の中へ答を求めてね、それは、あなたが何かを考えるときにあなたがすることでしょ? いい? あなたは自分自身に問いかけるよね? で、待つ、と。すると、答が現れる、これってどっから来たの? みたいに。で、あなたはその答えが現れる前にそれがどこにあったか知らないよね、でも、単に、それは、まったくの無から存在するために飛び出してきた? 分かんないよね。でも、だから、あなたはそういう釣りするんです。で、とにかく

高波が来て、船は沈みそうになる、そうなるわけね。で、あなたは、あなたがとにかく何かをしないといけないことを分かってるのよ。つまり、これって、誰もが同じ経験を絶対してるよね。たぶん、もしこの経験があなたに降りかかってきたら、あなたは両手を上げて降参したくなるよね、でしょ? これがあなたにあなたは行動すべきだと告げるけど、でも、それをするのはとても難しいし、すごい努力がいるし、たぶんあなたはそれが怖いでしょ。だから、あなたはそれをしないのよ、あなたはぐずぐず延期するのよ、でしょ?

じゃ、あなたじゃそのとき、それをどう感じる? いいと思う? でもあなたはあなた自身を裏切っているように感じるでしょ、実際、不安はさらにひどくなるし、よくなるはずないよね。さらにさらに先延ばしにできるって知ってはいるけどね、でも、それは救いにならないよね、だって、先延ばしにするたびに、その不安は少しずつ大きくなるしね。あなたは自分を誇らしくとか思えないよね、あなたは、あなた自身が物事を、それがあるべき姿じゃなくて、さらに混乱させているような感覚を持つでしょ? で、あなたがそれを長い間続けてるとさ、きっと君たちの多くのがそういう経験してると思うけど、それを長く続けてると、それはだんだん習慣化してきてね、で、物事はあなたの周りで嵐のように不安定になってね、結局、あなたはカオスの中に落ち込むんです、水びたしのカオスにね。たぶん、溺れちゃうよね。

だから、結局、自分の運命から逃げ出すのは、あんまりいい考えじゃないんです。

それが何であろうとね。あなたは運命が必要で、あなたは何か目指すものが必要なんです、だって、それがあなたに生きる意味を与えてくれるからね。で、あなたは人生の意味が必要なんだよね、なぜって、人生はあまりに大変だから自分を強化してくれるものが必要でしょ? ま、とにかく

みなはヨナがこの嵐は自分のせいだって、つまり、自分が自分がしなくちゃならないことをしなかったせいだと彼自ら告白するまで待って、神はそれに満足で、ヨナは自分を船から海へ放り出したらいいと言うんで、乗組員はそれはすごくいいと思うけど、波はホントに高くて船まで入ってはじめて、ヨナはほんとに自分がその原因だって言い張るので、彼らはくじを引いて、結局、ヨナがくじに当たって、乗組員はヨナを海に落とすんですね。そうしたら、即座に、海は静まったんです。つまり、ヨナはこのカオスの中心だったわけです。なぜなら、彼は彼がしないといけないことをしなかったから。はい、それで、今度は鯨が出てきて、ヨナを飲み込んじゃいます。彼は鯨の中に三日間いるの。

さあ、ここでです、すごく変なものがここにあるんです。鯨。鯨が彼を飲み込んだんです。それはドラゴンなんですよ。それは、人間が外へ出て行って価値のあるものを手に入れるために征服しないといけない、そのドラゴンなんです。さて、あなたたちが間違いを冒したり、道から外れたりしたとき、自分がするべきことを知っていてそれから逸れて行ったとき、それは、自分の中にカオスな状態を生んで、気がかりになって、何か自分の知らないものに駆り立てられる心配、何か知らないテリトリーとカオスに駆り立てられて、どうしていいか分からない、という感情を引き起こすでしょう? この状態というのはしばしば、怪物に出くわすという形でシンボライズされるんです。ドラゴンとか、水の中に住んでいる何かとか、そういうものです。

で、なんでそうなるのかという理由なんですが、私が教えられるのは、人間というのは、いつだって他の動物の餌食にされる動物で、僕らは、捕食するトカゲみたいなのと戦ってきたわけです、例えば、ワニとか、あるいは恐竜だって、というのは恐竜は、いまの人類のもっとも遠い祖先が暮らしていたころにはいましたからね。あと、ある種の猫ですらね、人間の頭蓋骨に噛みついて歯を立てるように進化して、で、その頭はちょうど人間の頭の前のここから後頭部に歯を立てるようにできてたりするんですよ、僕ら人間はホント大変な時間を生き抜いてきたんだよね。だから、僕らの心には、その自分たちを捕食する敵を検知するシステムが心の中に出来上がっているんです。

それは、小さい子が暗闇の中に怪物がいるって考える、あれですよ。なぜって、怪物は暗闇にいますからね、親はいつも、暗闇に怪物なんかいません、って言うけど、それは違いますね。暗闇は怪物だらけですよ。そりゃ、その場のその時にはそこには何もいないかもしれないけどね、でも、それは、暗闇に怪物がいない、ってことにはならないでしょ? 犯罪ってのは起こりますよね、いや、犯罪者が朝の6時に起きて、朝ごはん食べて、銀行を襲いに行かないよね? 彼らはそういうことを夜にやるでしょ。人は夜には夜にふさわしい事をするよね、で、捕食動物の多くは夜行性でしょ。で、人間は暗闇の中ではあんまり見えないでしょ、で、子供は馬鹿じゃないですよ、彼らは進化してるから、火にいちばん近いところにいるでしょ? なぜって、もし子供が火から遠ざかってうろうろしたら、彼らは、ハイエナやら、ライオンやら、ワニやら、なんでもいいんだけど、不用心なのを襲って食べちゃう動物に、やられちゃうでしょ? 

だから、我々が捕食動物から自分たちの身を守るための回路がね、僕らが大脳皮質を進化させてできたそういう回路がね、結局、なにか僕らの知らない一般的なモノというのを表象させるんですよ。だって、捕食動物は当然僕らの知らないところに巣食ってますからね。だから、進化というのは保守的な力なんです、そして、僕らは、何か新しいものを表象するように進化した回路を使ってますがね、だから、知らないもの、カオス、といったものはしばしば怪物として表象されるんです。その怪物は僕らを引きずりおろして飲み込むんです。

あのね、あなたが最悪の気分のとき、あなたは、あーあ、オレ、気分が上向きだな、って言わないよね? 気分が下向きだ、って言うよね。なんででしょう? なぜって、下ってのはより悪いでしょ、地面に叩きつけられて、あなたは落ちるか、穴かなんかに落ち込んで、あなたは穴の中に隠れて、そうでしょ、それは「下」でしょ? で、あなたは何かに脅かされている、それはあなた自身の不十分さに脅かされているのかもしれないし、それはひょっとするとその一部かもしれない、あなたが恐れて想像している怪物的なものの一部かもしれない。なぜなら、あなたの物事を先送りにしようとする性癖と、あなたの性格の弱さが、それらが、あなたがいま地下世界に閉じ込められてしまった理由なのかもしれないでしょ。それは地下世界なんです、神話的な地下世界ね、そこが、すべてがバラバラになったときに、あなたが行く場所なんです。

それで、あなたがそれを理解して、それが何を意味するか分かったら、それは、あなたに語りかけている古代の物語の秘密を明かす鍵のひとつを見つけたということなんです。あなたは物事を理解するようになり、あなたの人生はずっとうまくコントロールできるようになり、それで、何かがあなたの前に現れるんです、そして、バーン!っていったか思うと、すべてが変わるんです。あなたがこれまで信じて来た公理がね。それは、パートナーの存在かもしれないし、仕事かもしれないし、あなたの健康かもしれないし、それらすべてなんだけど、それがね、バン!っていってどっかへ行っちゃうの。そして、それが起こるとね、あなたは、どこか知らないところへ行くの、どこか知らないところへね。それは存在のある状態なんだ。それはまだ同じ世界だけど、もう、すでに元の世界とはぜんぜん違う世界で、すべては違っていて、すべてがネガティブで闇の中で、あなたはどうしたらいいか分からなくて、混乱するんです。

さて、では、あなたはすべてがバラバラになったその地下世界でなにをするんでしょうか。特に、もし、最悪なシナリオを考えるとして、自分に死が迫っていてそれを何とかしないといけないかもしれなくて、それは本当に嫌なことで、なんかあなたに悪い事が起こったときはあなたは自分が弾き臼で弾かれて粉々になった気分でなんとか一体自分に何が起こったのか考えようとして、で、それで、あなたは結局、自分への因果の巡り合わせだと思うんです。で、時にはあまりに憂鬱で、因果の巡り合わせだとあきらめて、でも、想像力を働かせて何とか分かろうとしても簡単じゃなくて、それは、何かひどいことをしている人々のせいだというんじゃなくて、時々、あなたは自分は道筋から外れて、なぜか、自分でもそれが分かってるのかもしれなくて、それに自分が対応してなくて、それが結局、すべてが大変な事態になっている理由なんですよね。

さて、それで、地下のそのカオスの中にいて、あなたは、あなたがしないといけないことをするという決心をするんです。その代わり、それで、もしあなたが幸運なら、あなたは新しくなって再び立ち上がり、で、先へ進んでその街を救いに行くんです。これが、このヨナの物語の意味なんです。

で、だから、私はこのイメージをこの授業のアイコン画像に使ったんですよ。なんでかって、それが、精神分析医の実際の仕事で起こっていることなんです。治癒への道っていうのはね、もしあなたがうまく行ってなくてね、というのは、もしあなたが世の中で行動してるのにそれに見合うものが得られないときね。それというのは、あなたの持っている前提やあなたの行動や習慣というものと、外界の世界があなたに返して来ることの、一致について問題が起こってるんです。それがあなたに明かされてない状態なんです。

で、問題は、あなたはそんなときどうすればいいのか、です。たぶん、その一つの回答は、あなたは自分自身を調べて、あなたにとってちゃんと役に立ってくれない、前提と行動の食い違いのパターンを調べて、で、それは何なのか、どうするかを見極めて、で、たぶん、その何かは、あなたが前に進めないのは、恐れのせいかもしれなくて、その恐れは、あなたが過去に経験した最悪のことで、あなたはそれが何なのか理解もできなかった最悪な経験から来ているかもしれません。たぶん、自分自身を元通りに組み立てなおして、自分の人間性を広げて、実際、正しく生きることが出来るようになるための道のひとつは、その過去の最悪な出来事にいったん戻って、それを解き放って、整理して、理解して、それで、それを振り落とすことなんです。

それが心理療法というものなんです。その大部分はね、精神分析の、とか、行動分析の、とか関係ない。あなたは何を恐れているのか、何を避けているのか、発達を妨げているのは何か、恐れかもしれない、拒否かもしれない、神のみぞ知るですよ、嫌悪かもしれない。どうやったら克服できるでしょう? どうやったら自分自身を取り戻すことができるでしょう?